ナニワの大家族には学歴なんて必要ない・・・

　「○男○女の大家族、何々家」といった大家族のドキュメンタリー番組を時々見ることがあるが、昨夜も「嵐も吹き飛ぶ大家族！ ナニワの11男4女17人　ガンコ親父も泣きたいよ・・・ 18歳長女ができちゃった婚!?」という番組を、途中からだったが、ついつい引き込まれて終わりまで見てしまった。
　少子化の昨今、これほどの大家族は珍しく、また貴重な存在である。ただ単に大家族ということだけでなく、この家族の絆、家族愛というか、よくできた子ども達で、久しぶりにほのぼのとした温かい家族を見たような気がした。
　恒岡一家は新聞販売店のお父さん、お母さん、そして29歳の長男を筆頭に末っ子４歳まで、男11人、女４人の17人というにぎやかな大家族である。父親は、親父ギャグを連発する愉快なガンコ親父、母親は明るくてさっぱりした女性である。これだけの子どもがいれば1人や2人はワルがいそうなものだが、どの子ども達も素直で、明るく、両親を軸によくまとまった明るい大家族である。
　親父は子ども達が間違ったことをするとゲンコツで殴る。それに対し反抗もしない素直さ、いまどき体罰が通用するなんて、親子の信頼関係がなければとてもできないことである。そして、長女の出来ちゃった結婚というアクシデント、年に一度の家族旅行、運動会の様子などに家族の絆の強さを感じる。両親の結婚30周年に、アルバイトに精を出した四男がグアム旅行をプレゼントする。普通ならこれだけの子どもを置いて旅行などとんでもないと断念するところだが、この両親はさっさと旅行に出るのである。これがまた子どもを信頼しているから出来ることで、子ども達も次女を中心に留守中を無事に乗り切った。
　1人２人の子どもでも教育に失敗し、持て余し、子どもを殺す親、親を殺す子どもの事件が多発する現代で、このような家族もあるのかと驚かされた。カミナリを落とし、ゲンコツをふるうガンコ親父を認め、それをサポートする母親のもとで、道をそれることなく成長する15人の子ども達、立派というか、アッパレというか、見事なチームワークである。年末には恒例の、父親が男の子の頭を順番にバリカンで丸刈りにするのであるが、文句も言わず素直に従う子ども達、昔の懐かしい親子の姿を見るようであった。
　この家族を見ていると、高学歴など全く必要ないものだと思える。家の借金のため中学卒で就職する兄達、また高校への進学を決心する弟、様々な道を選びながらも家族の絆はいつも強く結ばれている。上の兄たちは結婚し子どももいるそうで、孫が４人になった父親は「孫が４人でマゴマゴする」と相変わらずの親父ギャグを言いながらうれしそうに笑う。
　ワンマンなガンコ親父でも女房には頭が上がらないというが、夫を立てながら底力を発揮する母親の存在は大きい。金持ちでなくても、高学歴で社会的地位のある親でなくても、この子ども達はきっと幸せであろうと思う。