いろはにぴあの(Ver.3)

ピアノを趣味で弾いています。なかなか進歩しませんが少しでもうまくなりたいと思っています。ときどき小さな絵を描きます。

アンサンブルステップ

2010年10月11日 | ピアノ・音楽
 昨日はアンサンブルステップだった。ヴァイオリンとチェロとのトリオだった。
 ピアノを再開したころは言うまでもなく、少なくとも3年ぐらい前までは、私はアンサンブルにはほとんど興味がなかったし、縁もないと思っていた。演奏はピアノだけでも十分に楽しかったし、ピアノができるようになるだけでも大変だと思っていたし、それだけで十分だと思っていたから。他楽器との演奏は聴くだけで満足という状態だった。アンサンブルをしてくれそうな人を探すのも大変そうに思えたし。ただチェロなど楽器への関心は徐々に湧いてきていた。
 しかし、ある日弦楽器の音程について驚くべきことを知り衝撃を受けた。弦楽器の難しさは、音を鳴らすことだけではなく、正しい音程をつくることにあるのだということを知った時の衝撃は大きかった。また、弦楽器は音を伸ばした状態で音程や強弱を変化させることが可能だという事実にも衝撃を受けた。(おととし頃勉強させていただきました)ピアノの音の出し方が気になれば気になるほど、弦楽器との違いが気になってくるのだ。弦楽器ではペダルを踏まなくても音が消えないし、だんだん強く鳴らすこともできるんだろうなあとか。レガートもなめらかに弾きやすいのだろうなあ。弦楽器は音つくり自体が大変だから、一音一音へのこだわりもきっと大きいだろう。発音練習もちゃんとしているに違いない。そういう弦楽器を弾く人たちから学ぶことはかなり多いような気がしてきて、関わりを持ちたいと思うようになった。

 そのように感じている旨をレッスンで伝えたら、アンサンブルステップというのがあるから出てみないか、と言われた。弦楽器の人たちとアンサンブルができるんだと思うとうれしくて、当初はオリジナルのしぶく素敵な作曲家のオリジナル曲を候補に挙げていたのだが却下。いきなりオリジナルは危ないということだった。そこでピアノ曲を原曲とする曲の中からトリオに向いたいくつかの曲を編曲した曲集から、シューマンの「楽しき農夫」編曲版を選ぶことにした。ベートーヴェンの田園交響曲のような出だしではじまり、中間部では雨が降り短調になってたりと、ユニークな仕上がりになっていて、面白いと思えたが、なにしろオリジナルではないし、ピアノだけではあまり難しくなさそうなので、当初はやる気があるようなないような。しかし細かいところに注意したらいろいろと気になるところがでてきて、だんだん練習のしがいが出てきていた。それでも最高のテンションというわけではなく、ぼちぼちと練習していたが、このままでは本当にまずいということが分かってきたのが合わせの一週間ぐらい前。
 そして合わせの初日。先日の日記でも書いたが、あまり難しくなさそう、というのは大きな誤算だったというのが分かった。合わせるのだから自分のパートだけにとらわれていてはまずく、弦のパートにも心を配る必要がある。しかし弦のパートの方たちに気をとられていたら、自分のパートの演奏がおろそかになってしまうのだ。そういう状態に何度も陥った。楽譜と相手を両方視野に入れる余裕が持てそうなレベルの楽曲を弾くのが原則だと思うようになった。ヴァイオリンの方の弓をしっかり見るように心がけた。
 本番前日。今度も日記に書いたが、他の人のことが気になってしまった。リハの時は緊張の極致。先生たちに「経験すれば大丈夫」と言われ、繰り返して弾くたびにだんだん慣れてきて、練習していたときの状態で弾けるようになった。レッスンしてくださった先生が、楽譜に細かく書き込んでくださっていたので、それを参考に合わせるためのイメージトレーニングを行った。
 そして本番。他の人のことは前日に分かっていたし、勘ももどっていたので、前日よりは平常心で演奏できそうな気がした。直前の通しの前にチェロの方に「これで5回目ですね」と言われ、吹き出してしまった。さぞかし前日の緊張がすごかったのだろう。しかし今回は大丈夫なはず。幸い直前リハでは事故もなく、うまくいきそうな気がしてきた。

 順番はあっという間にやってきた。自分の名前が呼ばれ出場、礼。アナウンスが終わり、鍵盤の上に指を置いて準備。その後ヴァイオリンの方に合図を送るのだが、そのタイミング
、そして前後の自分の行動はぎこちない気がした。指を置いて大丈夫、と思ったら、ヴァイオリンの方の方に顔を向けて合図する。合図からヴァイオリン、チェロから始まるので、弦のお二方の演奏が始まるまでのごくわずかの時間、視線は弾き間違えたら困るので鍵盤と楽譜に、そして耳は右側(弦楽器側)という状態だった。間違えたくはないけれども他楽器の方たちにも気を配りたいのだ。当日余裕のなかった私は、少なくとも視線は鍵盤と楽譜の方に向いていた度合が強かったような気がする。始まった。結構いい感じ。ここは弦を聴きながら出よう、そしてヴァイオリンとかけあいをしようと思った途端間違えた。聴き入ってしまうと鍵盤の方がおろそかになるし、一方鍵盤のほうに向かいすぎると相手の事を考えない演奏になるし。。。バランス感覚が非常に必要だと思った。後で録音を聴いてみた。最初の弦楽器の出だしをしっかり聴き、そこからテンポ、奏法などをうまく借りればいいものを、自分のペースで走っているところがところどころであったような気がする。弦の方たちがそれにしっかり合わせてくれたのだと思った。(お借りする、というような受け身な姿勢ではなく、自分もしっかり出しながら最終的には調和というところにいくのが理想なのかもしれませんが、今回はとてもではないけどそういうことは考えられませんでした。もっともっと深く追求していけば、そのような素敵なことも可能になるのかもしれませんが。)チェロのピチカート奏法からお借りしたスタッカートはいい感じで出せたかな。悲しいところは悲しい表情も出せたような気がする。合わせるとところもずれずに合ったような気がする。あとは集中力をとぎらせず、他楽器の方たちと楽しみながら演奏しようと思って演奏した。無事に終わった。楽しかった!
 アドバイザーの先生たちからの講評をまとめると

役割が伴奏の時はきれいに響いていてよい。
主役になったときはもっと前にでると立体的になると思う。
それぞれのからみを理解しながら面白く弾いていたが、音色の変化をより大きく表現できると面白くなる。
気持ちを合わせ、共演者の方々と同じ空間を楽しんで味わっていた。


 予想外の内容だった。「伴奏」「合わせる」のができていたというのが意外だった。アンサンブルははじめてだから相当おまけが入っているような気もするが。一方主役の時の演奏と音色の変化による表現が物足りなかったということだ。ということは私はソロタイプよりも伴奏タイプなのかな(そう決め付けるのもおかしいのですが)あとで聴いてみたら、確かに大人すぎるところがある、とくに主役になるべきところではもっと出してもいいのにと思った。弾いているときには思いっきり表現していたつもりだったのに音となって出ていないと思えるところがいくつかあった。ということはやっぱり聴こえるように弾けていない?追求したはずの弾き方の追求。まだまだ足りないようだ(汗)がんばったんだけどな。それにしても録音を聴くとつっこみどころがいろいろありますね~。ちなみに弦の方たちの演奏はすばらしいです。彼女たちに相当助けられたような気がしております。

 終了後、写真撮影、そして5回継続表彰をいただいた。いつの間にか5回目になっていたんですね。うれしかった。「楽しき農夫」の編曲者の方がアドバイサーでもいらっしゃったのでサインもいただいてきた。

 その後、応援に来てくださったAさんの用事に便乗して前日にアンサンブルのアドバイスをして下さった先生のお宅に訪問し、アンサンブルをはじめとした夢あふれた話を聴かせていただいた。その先生、次々とアイデアが浮かばれるのもすばらしいし、それを実現されてきた実行力もすばらしいと思った。今回の「楽しき農夫」の楽譜誕生のきっかけにも関わっていらっしゃったのも感慨深かった。濃いひとときを過ごさせていただいた。

 アンサンブル、またできないかな。味をしめてしまったのであった。ソロもがんばらないといけないのだけどね。

 コメなしはおしまいにします。

 その続きはまた。