ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

蚕の秘密

2014-12-06 19:43:49 | 健康・病気
昨日、何の気なしに、パラパラと雑誌をめくっていたら、面白いことが載っていた。何と、蚕の幼虫を粉にしたサプリメントが売られているそう。 蚕というと、あの「お蚕様」。白くて太った虫が、桑の葉の上をもぞもぞと動くのを見た覚えのある人は多いはず。

私も、幼き頃友達のお母さんが、菓子箱を開けたと思ったら、そこに何匹もの蚕と桑の葉が鎮座していて、びっくらこいた覚えがある。 あのむっちりとした、触ると気持ち悪いながら、魅力ある弾力を持っていた虫--あれをすりつぶして飲用する人がいるというのか! 考えただけで寒気がしたのだけど、「これを飲んで、体調が良くなった」とにこにこ顔で体験談を語る人が何人もいるのだ。 そして、蚕の幼虫を粉末にしたものは、れっきとした漢方薬にもあるのだとか――う~ん、凄いですね。

蚕といえば、美しい絹を生み出す貴重な虫。だからこそ、「お蚕様」と民間の間でも尊称で呼ばれてきたのだが、彼らのたどる運命はあまりにも悲しい。 桑の葉を食べて育った蚕はやがてさなぎとなり、白い繭に包まれるのだが、この繭こそ絹の元――白い繭はぐらぐら煮立つ湯にくべられ、中のさなぎは死んでしまう。

さなぎが成虫になるのを待って、空となった繭を使えば良いのに、と子供心にも考えたのだが、成虫が食い破って出てきた繭は糸にしても、あちこちがぷつぷつと切れた短い糸にしかならないのだとか。もちろん、このままでも絹にはなるのだが、そうやって作った絹糸は価値もぐんと下がるのだという。

シルクロードという言葉が示す通り、絹は中国の誇る極上品だった歴史を持つ。そして、蚕が人間に飼われるようになって、五千年もの時が立つのだが、それは彼らを野生では生きられなくしてしまった。幼虫は自然の桑の木の葉に載せても、滑り落ちるし、成虫は、飛ぶには羽が短すぎる--人間が作った巣箱の中でしか生をまっとうできない生物--なんて哀しいのだろう。

そして、これも驚いたのだが、蚕はその糞も貴重な成分なのだそう。これも漢方薬になるし、桑の葉しか食べない蚕の糞は、ある意味とても綺麗(?)。 緑色素の一種として、グリーンガムや抹茶アイスにも使われるって。 蚕って、何から何まで、人間の役に立つ宝のような生き物だったのだ--本当に「お蚕様」と敬意をこめて、その命を大切に使わせていただかなければならないだろう。  ただ、今まで大好きだった抹茶アイスに、「糞」が入っているらしいというのは、ちょっと複雑ではありますが。
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1 コメント

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ありがとうございました~♪ (アイシスちゃまのママ)
2014-12-06 22:14:03
アシカ先生のカリグラフィー教室でご一緒させて頂いているN、ことアイシスちゃまのママです~♪

先日は、いきなり押しかけまして失礼しました^^
でも、とっても刺激になりましたし、美味しいお茶とケーキ、ご馳走さまでした!
とっても素敵な空気が漂っていて、あんなに素敵なところに住んでらしたら、素敵な作品が出来るのも納得!でした!
(ノエル君に会えなかったのがちょっぴり残念なんですけど・・・^^;)

蚕の糞って・・・・(爆笑)

また、お教室でお会いできるのを楽しみにしております!
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