ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

あまんきみこ童話集

2013-12-14 15:49:59 | 本のレビュー

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あまんきみこさんをご存じでしょうか? 有名な童話作家で、心温かなファンタジーを紡ぎ続ける方です。 これは、その秀作ばかりを集めた童話集。

書かれたのは、もう30年も40年も前なのでしょうが、子供の世界って、いつの時代も変わらないんだなあ、と思わされてしまいます。 何より言葉が透明感があって、素晴らしい!

でも、これらの中で格別印象に残るのは、「カーテン売りがやってきた」というもの。他の作品が小さな子供たちを主人公にした、優しいものが多いのに引きかえ、これはかなり怖い。

怠け者のサクヤンが、近くの家にかかっているのを見つけた美しいカーテン。聞くと、町の広場で、カーテン売りが売っているのだとか・・・。 さっそく行ってみると、薔薇の茂みが描かれた緑の美しいカーテンが。 しかし、それを売っているのは、気味の悪い男。 そう、カーテンに描かれた蜘蛛の巣の住人であるかのような・・・。

このカーテンを買うと、サクヤンは何とも言えない夢見心地の気分になって、家から出なくなってしまいます。 気がつくと、町じゅうの家がそうなっているのでした。そして、時折起こる悲鳴。最後には、明りのともっている家は、サクヤンの家だけになって・・・というなかなか恐ろしいお話でもあります。

さて、離れのノエルの本棚には、同じあまんきみこさんの手になる絵本「きつねの神様」もあります。 酒井駒子挿絵の美しい本ですが、これの書評は、また今度。

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