う―――ん、抜歯即時植立インプラント手術を、比較的簡単な手術と言い切ってしまうのは如何なモノかなー?
だから、失敗症例が減らないんじゃないだろうか?と感じてしまう私。
簡単に思える手術でも、軽視しないで慎重に対処すれば、どんな手術でもその患者さんにとっては生涯1度の大変なことであり、簡単なんて易々と言い切って良いとは思えない。
そして、いつも言うことだが、抜歯後の骨の状況、病巣の除去どれだけのレベルで出来ているのか?を真摯に問い詰めて欲しい。
セミナーや講演会、学会の場でも、徹底的に取り切る、と言う話をしているけれど、本当に何処まで追究するのか?と言う具体的言及に触れたことがないのが凄く気になる。
断言して書くが、皆さん病巣の除去が全然甘い!
デンタルレントゲン、歯科用CTだって、全然当てに成らないのが真実。
骨孔を辿り、追究して行けば、思わぬ程の骨髄腔内での広がりに遭遇することは少なくない。
つまり、皆さんはチャンと病巣追究し取り切ってはいない、と私は明言する。
だいたいが、比較的簡単な手術、と言い切っていることで、予測が付く。
ハッキリ書き留めて置くが、抜歯即時植立インプラント手術には相当の用心をしながら取り組むべきだ。
老婆心で余計なことも示唆で書くが、根尖病巣何て信じ切らない方が良い。
学問的には否定されている内容のようだが、根尖病変が形成される前の初期過程では、歯根膜がまず最初に感染に犯される。
歯根膜の外には当然皮質骨がある。
だから、歯根膜に沿って感染は波及し、炎症が起こることで歯根膜拡大、つまりは皮質骨の破壊が進んで病変が形成される。
その時に、皮質骨破って骨髄の中に感染が及ぶこともあるに違いない、と私は考えている。
そうなると、骨髄の中はバリヤーとなるモノのない状態で、生体の免疫反応で対抗するしかないが、感染源であるバクテリアにしてみれば、骨髄内は血液とかの組織液による栄養豊富な環境だし、温かいしで繁殖し易い状況なんだろう、と思う。
そうして、生体が慌てて体を守ろうとして封じ込めに入って根尖病巣状況、生体から見ると皮質骨バリアーで周囲を取り囲んでそれ以上の波及を抑えるように成る訳で、それがレントゲン的に病変となって見える、と言うだけに過ぎない、と理解している。
その生体の封じ込めは、万全か?と考えれば、そんな訳ではない、そうそう封じ込めるモノではない、と思われないのかが、私には不思議だ。
つまりは、根尖病巣取って安心し切っていてはいけないのだ。
その周囲、皮質骨に取り囲まれていても、その薄い骨壁1枚の裏にバクテリアが作ったコロニー、病変はあるのだ。
しかし、それは現状ではレントゲン的には骨基質の脱灰が起きていないので写らない、見えないだけなのだ、と私は自分の経験で学んだ。
根尖病巣は本当に怖いモノなんだ、と私はいつもいつも言っている。
だったら、抜歯即時植立インプラントが簡単なんて絶対に言えない。
少なくとも私には。
デンタルも歯科用CTも全く当てに成らないのだから。
常に初心、思い込みに捕らわれない頭、眼で、そして指先の触知の感覚で病巣を追究して欲しい。
私の予言が正しかったことが、後々の研究で証明されるだろうから。
最後にもう一度繰り返す。
根尖病巣取り切れて安心していてはいけない。
その骨壁1枚の奥に、更なる病変が埋もれているかも知れない。
表面だけガリガリ幾ら取ったって取り切れない。
骨髄の中の広がりは予測以上のことも少なくないのだ。
やれば分かる。
私は抜歯即時植立インプラント20年以上して来た経験上、簡単そうに見える時ほど恐い、と言い切る。
簡単な手術などない、と思っていた方が良い。
失礼な言い方だが、心の緩みこそが一番怖い敵なのだから。
百獣の王ライオンは兎を倒す時ですら全力で当たるそうだ。
それに常に倣いたい。
写真は、歯根が割れて、病変で歯茎にまでおできの様なものが出来て、それを抜歯即時植立即時荷重インプラント治療で僅か2ヶ月で治した症例です。
用心深く治すなら、こう言うことも可能になります。