昔は自分が行けてないんじゃないか?と不安で仕方がなかった。(まあ、今も然程行けてない、けど)
だから、勉強するしかなかった。
お師匠さまは、それはそれは凄いけど、私は若輩者で任せられるのが本当に重荷だった。
ほぼ毎週の土曜日、母校の図書館に籠り、ひたすら本を読んだ。
お金なかったから、図書館は本当に有り難かった。
クイント、展望、評論、ダイヤモンド、補綴臨床、歯科技工、デンタルテクノロジー、歯科衛生士、デンタルハイジーン等々、何でも読みまくった。
しかも、有り難いことに、蔵書も母校は充実してるので、それら遡り読めた。
で、総義歯関連の棚にある本は全部読破した。
総義歯関係だけで、住んでた部屋の天井に平積みで2列以上になるくらいに読んだ。
そうして、お師匠さまの為されてる治療を必死で噛み砕いて、理解して、何とか出来るようになりたくて、一所懸命だった。
大変だったけど、面白かった。
勿論、段々になんか分かって来たかも、と思えて来たから面白くなったんだろう。
まあ、昔からそうだが、手は思うようには中々動かず、遅いけど…
やがて、お師匠さまに長年仕えて来られてた技工士の先生に、ボスのと見分けが付かないな、と褒められるようになった。
でも、全く自信はなかった。
まだ、27、8の若造だ、としか思ってなかったから。
今はインプラント専門家、と傍からは見られ、えっマツゲン先生総義歯出来るんですか!!?凄い!なんて言われたりする。
インプラントに関しては、我々が始めた頃は何もデータがなかった。
全部が新し過ぎ、で右も左も分からなかった。
実は、分からないはインプラントではまだまだ続いてる。
分かった気にはとてもなれない。
有り難いことに、総義歯は過去からの膨大なデータがあり、かなり良い解答が示されてる。
それに従い、厳守すれば良いだけ、と断言したら怒られるかな…
インプラントは違う。
まだ足りない、まだまだ足りてない。
勉強するしかない、のだ。
人生に何が出来るのか?と問われているのが生きることなら、私は私が知り得た真実に近いと思えることは、余さず次代に渡して死にたい。
恩師から渡されたバトンを少しでも発展、向上させて、思いと共に。
それが、永遠の命を得ること、なんだと思う。
やがて、私も去る時が来る。
去る時に、良くやった、と自分を褒められるように生きる。
人の生死、に触れる度に思いを新たにする。
何が出来るのか?真摯に答えていこう。