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誰も手術されるのが好きな人はいない、と思います。
実はする側である私も、手術するのは好きになれません。
業界の中には、手術大好き!と公言する方もおられますが、私は人や身体切り刻んで、切ったり貼ったりするのは、生理的に嫌ですし、怖いです。
決して、大好きと公言される方を責めるつもりもありませんし、人の好き嫌いはその人の好みなので、それでも良いと思います。
ただ、正直に言って、私は怖い、何があるのか分からない、と恐ろしいのです。
だから、もの凄く慎重になりますし、大丈夫か?これで良いのか?と術中自問自答しながら進めます。
安心できるために、大きく見える拡大鏡使いますし、自由さが欲しいので、私には拡大鏡手術しかできません。
この患者さんは、親知らずの症状が出始めて、それはそれは周りに脅かされ、腫れるよ痛いよ、と言われていました。
まあ、それは一般的に事実なので、仕方ない面もあるかと、思います。
でも、余りに脅かされると、当の患者さんは手術受ける勇気がドンドン萎んで、何とか逃げようと考えるようになると案じられます。
それで、患者さんは本当に幸せになるんでしょうか?
いつか、本当にもう大変な炎症になってしまったら?
その責任は、周りの方は取れるのですか?
決して取れませんよね。
だから、必要以上に面白おかしく脅かすのは、本当に止めて欲しいです。
何故なら、私ならこうして腫らさず痛がらせず抜けますから。
周りの方は、そう言う歯医者に出会ったことがないかも知れませんが、ここにちゃんとそう言う歯医者居ますので。
私は、患者さんの真剣な悩みを聴かされ、本当に腹が立ちました。
無責任に囃す周りの方に、です。
だから、私に任せて下さい、全力尽くして、周りの方の鼻を明かしましょう、と励ましました。
そして、患者さんは勇気振り絞って頑張りました。
とてもエライ、と思います。
手術の翌日。
写真のように腫れてませんし、痛みも殆ど大丈夫、と微笑んでくれました。
良かった良かった。
さて、その後周りの方の反応ですが、何とスルーと言うか、拍子抜けと言うか、運が良かったのね、とかだったそうです。
私はやったね!とガッツポーズ、でした。
確かに、今なお業界の一般常識は、下顎親知らず抜歯は腫れて当たり前、痛いのも1〜2週間すれば大丈夫、と言うものでしょう。
しかし、それで良いのでしょうか?
私はそうは思いません。
辛いのは患者さんなんです。
手術した者が、その痛み腫れを引き受ける、と言うなら、誰が手術するでしょうか?
多分誰もしないでしょう。
仕方ない、そういうもの、と言うのでは、所詮他人事なんだ、と私は感じます。
私はそう言う外科医にはなりたくない。
自分の身、として感じて差し上げ、嫌なことを減らすために極限まで頑張る外科医でありたい。
だから、私はこの道をひたむきに追求し続けて行きます。