ある朝のこと。
K:ヘゲモニーって何だっけ?
N:え? ヘモジー?
(注:懐かし過ぎるプレステのゲーム『アーク・ザ・ラッド』でキャラが罹る症状のひとつ。
これに罹ると極度にやる気をなくしてしまう。私の普段の状態ではない。断じて。)
K:いや、「ヘゲモニー」だってば。
N:なにそれ、何語?
K:(訊いても無駄と分かったらしく、自分で調べ)ああ、「覇権」ね。
N:へえ「派遣」。それがどうしたの?
K:(なにかの記事を見ながら)いや、こういう人たちに限って、
「覇権」のことをわざわざ「ヘゲモニー」とか言いたがるんだよな。(朝から因縁つけ)
N:ああ、ソリューションとかのように? わかる、わかる。
偉そうに「派遣」を「ヘゲモニー」だなんて、なめんな!(なぜか怒り)
*************
そんな微妙に噛み合っていないやり取りのあと、私はいつものように読みかけの本を手にしたわけです。前日の夜に読んだ頁から読み進め、次の頁にさしかかったところ、すぐにある一文が目につきます。
「私はつい先頃この摩天楼でヘゲモニーを握っていたのではないかと錯覚して奇妙な寂寥に落込んだ。」
--島尾敏雄『摩天楼』より
ハッ! 「ヘゲモニー」! ここでも!
*************
N:ねえ! 君、さっきはこの本を見て「ヘゲモニー」とか言ってたの?
K:え? なにそれ? 知らないよ。
N:だって、ほら、見てよ! ここに書いてあるよ!
(と興奮して、問題の頁を見せる)
K:ほんとだ。気持ち悪い……。
N:きゃー、不思議だ! なんでだ!? 面白い!
***********
とまあ、こんな不思議なことがありました。面白いですね。しかし、このようなことは実に不思議ではありますが、意外とよくあることでもあります。ちょうどある問題について気になっていたら、開いた本の頁にそのことがやはり書いてあったりすることは、これまでに何度も経験しました。面白いなあ。
***********
N:ふむふむ。何にせよ、意味が分かった上で読めるのはありがたい。
「ヘゲモニーを握っていたのではないかと……」
あれ? ……握る…?
もしかして「ヘゲモニー」って、「派遣」じゃなくて「覇権」?(←遅い…)
K:ヘゲモニーって何だっけ?
N:え? ヘモジー?
(注:懐かし過ぎるプレステのゲーム『アーク・ザ・ラッド』でキャラが罹る症状のひとつ。
これに罹ると極度にやる気をなくしてしまう。私の普段の状態ではない。断じて。)
K:いや、「ヘゲモニー」だってば。
N:なにそれ、何語?
K:(訊いても無駄と分かったらしく、自分で調べ)ああ、「覇権」ね。
N:へえ「派遣」。それがどうしたの?
K:(なにかの記事を見ながら)いや、こういう人たちに限って、
「覇権」のことをわざわざ「ヘゲモニー」とか言いたがるんだよな。(朝から因縁つけ)
N:ああ、ソリューションとかのように? わかる、わかる。
偉そうに「派遣」を「ヘゲモニー」だなんて、なめんな!(なぜか怒り)
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そんな微妙に噛み合っていないやり取りのあと、私はいつものように読みかけの本を手にしたわけです。前日の夜に読んだ頁から読み進め、次の頁にさしかかったところ、すぐにある一文が目につきます。
「私はつい先頃この摩天楼でヘゲモニーを握っていたのではないかと錯覚して奇妙な寂寥に落込んだ。」
--島尾敏雄『摩天楼』より
ハッ! 「ヘゲモニー」! ここでも!
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N:ねえ! 君、さっきはこの本を見て「ヘゲモニー」とか言ってたの?
K:え? なにそれ? 知らないよ。
N:だって、ほら、見てよ! ここに書いてあるよ!
(と興奮して、問題の頁を見せる)
K:ほんとだ。気持ち悪い……。
N:きゃー、不思議だ! なんでだ!? 面白い!
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とまあ、こんな不思議なことがありました。面白いですね。しかし、このようなことは実に不思議ではありますが、意外とよくあることでもあります。ちょうどある問題について気になっていたら、開いた本の頁にそのことがやはり書いてあったりすることは、これまでに何度も経験しました。面白いなあ。
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N:ふむふむ。何にせよ、意味が分かった上で読めるのはありがたい。
「ヘゲモニーを握っていたのではないかと……」
あれ? ……握る…?
もしかして「ヘゲモニー」って、「派遣」じゃなくて「覇権」?(←遅い…)