
バサバサバサ
グレーの綿絹の薄いセーターの腹の当たりにシミがあった場合にはどうすべきかしばらく考えました。洗濯してみても落ちない。気にせず着用を試みるも、やっぱり気になる。うーむ、うーむ。。。
悩んだ末に、今回はアップリケを縫い付けてごまかすことに決定です。
というわけで、私は朝から、まずは黒い花柄のチュールレースを鳥の形に抜き取り、セーターの前身頃のシミのある部分や何でもない部分にも、ちくちく、ちくちくと縫い付けていたわけです。ああ、首がいてー。
こういった作業をしているといつもの通り「好きな鳥のモチーフをのせれば、私は楽しくこのセーターを着られるようになると思い込んでいるようだが、果たしてそうなるだろうか? こんなことをして、いったい何になるというのだろう? この数時間を賃労働にあてれば、私はそれでちゃんとした綺麗なお洋服を買えるのではないだろうか…?」という疑念にさいなまれたわけですが、ソゴル氏の言葉を思い出しては、気力を振り絞って最後まで縫いつづけたのです。
“たとえそんな確信に反して、じつはなにかとんでもない錯覚の
とりこになっているのだとしても、そういう努力をついやすこと
でなにひとつ失うものはないだろう。なぜなら、どのみちこのよ
うな希望がなければ、生活のすべては意味をうしなってしまうだ
ろうからだ。” -『類推の山』ルネ・ドーマル -
ですよね~。
さて、疑惑と疲労感とに耐えに耐えて、縫い付け作業は終了しました。前身頃だけでなく、左袖にもシミがあるような気がしたので、そこにもひとつ鳥影を付けました。さあさあ、これは単なる迷走だったのか、それともなにか甲斐のある努力であったのか……?
いちおうの出来上がり。↓

うーむ。どうなんでしょう。暗めのマリンテイストを意識してみたつもりですが、言わなきゃ「鳥」って分からんかな…(ヽ´ω`)ぐふっ
着てみた感じは、そう悪くないと自分では思いましたが、鳥の形が不鮮明ゆえに、
「あれ!? 腹のとこ、ゴミ付いてるよ!」
「どしたん!? 墨汁、こぼしたん!?」
とか言われても仕方ない感じかもな……(ヽ´ω`)ぐふぅっ
うん、まあ、でも、いい。
晴れていても、くもっていても、軽やかな鳥のようにゆこうじゃないか!
※その後、さらにセーター本体の形状も修正。
脇と肩にシャーリングを入れることで、貧相な私の上半身に
よりフィットさせました(´∀`)よし…着るよ! 着ちゃうぞ!