石川雅之(アフタヌーンKC 講談社)
《あらすじ》
時代は百年戦争の真最中、終わりのない戦いのなかにあるフランスとイングランド。フランスの小さな村を護る魔女マリアは淫魔であるフクロウを遣わし、戦いに介入する。しかしその目的は戦争を終結させ、人々に平和をもたらすためだった。
《この一文》
“そんな力を持っているのに
見て見ぬフリして自分の幸せなんて考えたくない! ”
第1巻が出てから、ずいぶん待たされて、昨日ようやく第2巻が発売になりました。おせーよ! 待ちくたびれたよ! しかし、待った甲斐あって、第2巻はますます面白い展開となっていました。石川雅之さんの『もやしもん』の方は全然進まないですが、こちらは盛り上がっていますね。
さて、この『純潔のマリア』ですが、ものすごく私好みの物語です。主人公のマリアは魔女ですが、見た目はほんの少女であり、夜な夜な淫魔を使役しているのに、本人は実は処女である。争いを好まず、近くの村人をさまざまな危機から守ってやり、荒っぽい言動とは裏腹にかなり純情で心の優しい人物です。
マリアには強力な魔女の力が備わっているので、その力をもって人々の愚かな争いをやめさせるべく奮闘するのですが、その暴れっぷりによって天界から目をつけられてしまいます。人間界への介入を認めず、人々が争うならばその通りにさせようとする天界からの使者・大天使ミカエルに囚われたマリアは、ある宣告を受けます。
マリアは「その純潔を失ったとき、魔女としての力も失う」。
大天使により力を制限された彼女は望みを果せるのか。己の幸福と世界の幸福とを天秤に計るよう命じられたマリアは、どちらを選ぶのか。どちらかを選ぶのだろうか?
というお話。まだ2巻ですが、読み応えがありますね。面白い。あと、フクロウやハトが出てきますが、石川雅之さんによる鳥のデフォルメっぷりは相変わらず素晴らしく、大福のようで可愛いです。
もし、自分に力があって、それによってほんのわずかでも世の中を良くすることができるんじゃないかと思ったら、その力を使うことはいいことなのか悪いことなのか。全てを解決できるほどの力でなければ、最初から使うべきではないのだろうか、あるいはそれでも抵抗すべきなんだろうか。人間の願いや祈りは、暴力と破壊の前にうなだれるよりほかはないのだろうか。
マリアがどこへ向かうのか、今後が気になります。
はやく次の巻が出てほしい! でもきっと1年は待たされるんだろうなぁ…!
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