東京新聞
2013年7月25日 朝刊
東京電力福島第一原発事故から二年以上がたち、これまで順調に下がってきた放射線量が、最近では低減のスピードが鈍化してきたことが二十四日、原子力規制委員会によるモニタリング調査で分かった。半減期の短い放射性物質の線量が下がった後は、主役は半減期の長い物質となり、線量が下がりにくい。予想を実際のデータが裏付けた形で、国は除染や住民の帰還を進める上で、十分考慮する必要がある。
規制委の調査は、福島第一から八十キロ圏内の道路を、線量計と記録装置を積んだ車で走り、事故発生から三カ月後の二〇一一年六月以降、五回に分けて約六千百カ所のデータを記録・分析した。
線量の平均値を見ると、事故から三カ月後には毎時〇・七三マイクロシーベルトあったのが、一年後には六割程度に下がり、一年半後には〇・三二マイクロシーベルトと半分以下へと急速に下がった。
ところが、最新の昨年十一、十二月のデータは〇・二八マイクロシーベルト。年間にすると、一般人の被ばく限度の一ミリシーベルトを超える値となる。グラフ化すると、明らかに下げのスピードが鈍っている。
これまでは、半減期が短い放射性ヨウ素(約八日)や、セシウム134(約二年)の放つ放射線がどんどん減ってきた。しかし、この後は半減期が三十年と長いセシウム137などの影響が残り、やがて下げのカーブは、ほとんど水平に近くなって高止まりが続くと予想される。
一方、土地の利用形態と線量との関係は、市街地や河川の近くは早く線量が下がるが、特に常緑樹が多い地域ではなかなか下がらないという結果だった。
地形との関係では、山頂付近や高台などは下がりやすいが、山のふもとやくぼ地は下がりにくかった。
国は二十キロ圏内を中心に、除染を進めている。調査データは、今後、明確な戦略を立てて除染を進めないと、莫大(ばくだい)な費用がかかることも示している。
2013年7月25日 朝刊
東京電力福島第一原発事故から二年以上がたち、これまで順調に下がってきた放射線量が、最近では低減のスピードが鈍化してきたことが二十四日、原子力規制委員会によるモニタリング調査で分かった。半減期の短い放射性物質の線量が下がった後は、主役は半減期の長い物質となり、線量が下がりにくい。予想を実際のデータが裏付けた形で、国は除染や住民の帰還を進める上で、十分考慮する必要がある。
規制委の調査は、福島第一から八十キロ圏内の道路を、線量計と記録装置を積んだ車で走り、事故発生から三カ月後の二〇一一年六月以降、五回に分けて約六千百カ所のデータを記録・分析した。
線量の平均値を見ると、事故から三カ月後には毎時〇・七三マイクロシーベルトあったのが、一年後には六割程度に下がり、一年半後には〇・三二マイクロシーベルトと半分以下へと急速に下がった。
ところが、最新の昨年十一、十二月のデータは〇・二八マイクロシーベルト。年間にすると、一般人の被ばく限度の一ミリシーベルトを超える値となる。グラフ化すると、明らかに下げのスピードが鈍っている。
これまでは、半減期が短い放射性ヨウ素(約八日)や、セシウム134(約二年)の放つ放射線がどんどん減ってきた。しかし、この後は半減期が三十年と長いセシウム137などの影響が残り、やがて下げのカーブは、ほとんど水平に近くなって高止まりが続くと予想される。
一方、土地の利用形態と線量との関係は、市街地や河川の近くは早く線量が下がるが、特に常緑樹が多い地域ではなかなか下がらないという結果だった。
地形との関係では、山頂付近や高台などは下がりやすいが、山のふもとやくぼ地は下がりにくかった。
国は二十キロ圏内を中心に、除染を進めている。調査データは、今後、明確な戦略を立てて除染を進めないと、莫大(ばくだい)な費用がかかることも示している。