沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

北中城村に対する政策提言を考える

2016-02-02 12:50:05 | ごみ処理計画

北中城村や中城村との広域処理を検討している浦添市にとっては、両村が廃棄物処理法の基本方針に従ってごみ処理を行っているかどうかが一番気になるところになります。なぜなら、両村が基本方針に適合しないごみ処理を行っている場合は広域施設の整備に当たって国の補助金を利用することができないからです。

一方、広域処理を行う1市2村において唯一ごみ処理施設(木くずの堆肥化施設等を除く)を整備していない北中城村の住民にとっては広域処理における村の役割分担が一番気になるところなります。なぜなら、もしかすると北中城村に最終処分場を整備することになるかも知れないからです。

という前提で下の画像をご覧下さい。

 

原寸大の資料(画像をクリック)

上の画像は、このブログの管理者が北中城村の議員であったらという前提で作成した「政策提言書」の案です。

(1)と(2)は広域処理に当たって浦添市の心配をなくすための政策提言ですが、(1)の溶融炉の再稼動については浦添市の心配をなくことはできないと考えています。なぜなら、北中城村と中城村が整備している溶融炉は国内で稼動している事例のない極めて特殊な溶融炉だからです。したがって、再稼動すると常に事故や故障等の心配をしていなければならないことになります。

そうなると(2)が浦添市にとっては一番安心できる政策提言になります。

しかし、なぜ既存のごみ処理施設を廃止して民間に無償で払い下げなければならないのか?

答えは簡単です。既存のごみ処理施設を公共が所有していると廃棄物処理法の基本方針に従って休止している溶融炉を再稼動しなければならないからです。

しかし、溶融炉だけを廃止することはできないのか?

できません。なぜなら、公共が焼却炉を所有している場合であって廃棄物処理法の基本方針に従ってごみ処理を行う場合は焼却灰の民間委託処分を行うことができないからです。したがって、北中城村と中城村が焼却炉を所有している場合は浦添市か中城村か北中城村において焼却灰の処分を行う必要が生じることになります。

ただし、焼却炉が民間の施設であれば、広域施設が完成するまでの「ツナギ」として民間委託を行うことにできます。

なお、浦添市の溶融炉で北中城村と中城村の焼却灰の溶融処理を行うことも考えられないことではないですが、北中城村と中城村の焼却灰は塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰であるため、事故や故障のリスクが高くなります。また、溶融スラグの品質も低下します。したがって、北中城村の議員としては政策提言から除外することになると判断しました。

ちなみに、北中城村と中城村は現段階では廃棄物処理法の基本方針に従わずにごみ処理を行っているので、焼却炉を所有していても焼却灰の民間委託処分を行うことができます。

(3)と(4)については、現時点で北中城村の住民の心配をなくすためにはこの政策提言以外にはないと考えます。

ただし、(3)について浦添市と中城村が同意書を発出することはできないと考えます。なぜなら、同意書を発出すると、自動的に北中城村を除く浦添市と中城村が最終処分場の候補地になってしまうからです。

(4)については中城村が同意書を発出する可能性はあるかも知れませんが、そうなると中城村の住民に感情的な「シコリ」が残ることになります。また、浦添市が同意書を発出した場合は、浦添市の住民に感情的な「シコリ」が残ることになります。

しかし、北中城村の住民としては同意書がなければ心配を払拭することはできません。

したがって、現段階において事務方が広域処理の話を進めるためにはこの問題についてはスルーするのが一番懸命な方法になるかも知れません。しかし、この問題をスルーすると、間違いなく「反対運動の火種」になります。

ということで、北中城村の議員としては政策提言においてこの問題をスルーすることはできないと判断しました。

(5)と(6)については、北中城村の議員としては当然の政策提言になると考えます。特に(5)については北中城村の役割分担に対する浦添市や中城村の考え方によっては広域処理が「白紙撤回」になる可能性もあるので、住民としては知っていなければならないことになると考えます。

(6)については、政策提言というよりも単に村に対して適正な事務処理を求めているだけになります。

最後の(7)については、このブログの管理者が一番強調したい政策提言です。なぜなら、廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置を講じれば北中城村と中城村は焼却炉を所有したまま溶融炉を廃止することができるからです。また、代替措置を講じることによって広域処理が実現しなかった場合でも国の補助金を利用することができるようになるので、広域処理における1市2村の役割分担について議会と住民が一体となって議論を行うことができるからです。

代替措置を講じない場合は、広域処理がほぼ唯一の選択肢になるので、役割分担に関する議会や住民との合意形成が非常にハードな事務処理になります。

いずれにしても、北中城村と中城村は平成26年度から廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理を行っています。また、広域処理を選択すると、ほぼ間違いなく北中城村が最終処分場の候補地になります。

※北中城村と中城村にとっては、既存の浦添市のごみ処理施設の能力に余裕があって、中北組合のごみ処理施設を廃止することができれば広域処理に関する事務処理がかなり楽になると思われますが、残念ながら広域処理を検討している1市2村はこれから人口の増加が見込まれている地域です。また、廃棄物処理法の基本方針において災害廃棄物等の処理に関する適正な処理体制の確保が求められているので、その選択肢はないと思われます。なお、選択肢があるとしても、北中城村の役割分担まで浦添市に委ねることはできないと考えます。