東部組合(東部清掃施設組合)と金武組合(金武地区消防施設組合)と中北組合(中城村北中城村清掃事務組合)は、現在、焼却灰の民間委託処分を行っています。しかし、東部組合と金武組合は国の補助金を利用してごみ処理施設の整備を行うことができますが、中北組合はできません。
そこで、今日は東部組合と金武組合と中北組合の違いを考えてみます。
まずは、下の画像をご覧下さい。
原寸大の資料(画像をクリック)
上の画像にあるように、東部組合と金武組合のごみ処理施設は焼却炉のみを整備していますが築25年以上の施設になります。一方、中北組合のごみ処理施設は焼却炉と溶融炉を整備していますが築25年未満の施設になります。
ちなみに、中北組合が溶融炉を整備しているのは平成9年度から平成15年度まで国の補助金を利用して焼却炉を整備する場合は溶融炉を併設することが義務付けられていたからです。中北組合のごみ処理施設は平成15年度に整備しているので、このルールに従って整備されています。
ところが、中北組合は平成26年度から溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行っています。このため、現在は東部組合と金武組合と同じごみ処理を行っていることになります。しかし、中北組合はごみ処理施設の整備(単独更新・広域更新)に当たって国の補助金を利用できない状況になっています。
その理由は何か?
東部組合と金武組合は廃棄物処理法の基本方針に従って長寿命化を行っていますが中北組合は長寿命化を行っていないからです。
では、中北組合は東部組合と金武組合と同じように焼却炉の長寿命化を行えば国の補助金を利用できるようになるのか?
残念ながらできません。なぜなら、中北組合のごみ処理施設は築25年未満であるため、休止している溶融炉を再稼動して焼却炉とセットで長寿命化を行わなければ国の補助金を利用することはできないルールになっています。これは、補助金を交付する国が決めているルールなので、市町村が勝手に変えることはできません。その中北組合は現在、浦添市との広域処理を検討しています。
ちなみに、浦添市のごみ処理施設は焼却炉が築25年以上、溶融炉が築25年未満という変則的な整備状況になっていますが、どちらも平成24年度に国のルールに従って長寿命化を行っています。
では、浦添市が中北組合と広域処理を行うことになった場合は浦添市だけは国の補助金を利用することができるのか?
残念ながら、それもできません。なぜなら、浦添市と中北組合が広域処理を行う場合は浦添市と中城村と北中城村の1市2村において新たに広域組合を設立することになるからです。広域組合を設立すると浦添市のごみ処理施設と中北組合のごみ処理施設は広域組合のごみ処理施設になります。したがって、広域組合は築25年未満で長寿命化を行っていない焼却炉と溶融炉を所有していることになります。しかも、溶融炉は休止(実質上廃止)しています。
このことは、広域組合も中北組合と同様に国のルールに従わずにごみ処理を行っている自治体ということになります。
そうなると、広域組合は国のルールに従って、まず、溶融炉を再稼動して焼却炉とセットで長寿命化を行わなければならないことになります。その上で、広域施設を整備することになります。
ところが、築25年未満のごみ処理施設の長寿命化を行った場合は昨日のブログに書いたように10年以上は稼動しなければなりません。このため、広域施設の整備が大幅に遅れることになります。
したがって、浦添市と中北組合が浦添市のスケジュールに合わせて広域組合を設立して国の補助金を利用して広域施設を整備するためには、広域組合を設立する前に中北組合のごみ処理施設を廃止しなければならない「理屈」になります。
その場合、中北組合は築15年程度でごみ処理施設を廃止することになるので補助金(主に建物部分に利用した補助金)の返還が必要になります。
なお、浦添市が東部組合や金武組合と広域処理を行う場合は両組合が浦添市よりも前に長寿命化を行っているので、このような変則的な事務処理を行わなくても、すんなりと広域組合を設立することができます。ただし、東部組合と金武組合は既に新たなごみ処理施設の整備に着手しているので浦添市にとってはこの組み合わせによる広域処理は選択肢から除外することになります。
※中北組合と中城村と北中城村は来年度の予算案を作成するために、今年度中に、①溶融炉を再稼動して焼却炉とセットで長寿命化を行うか、②広域組合を設立する前にごみ処理施設を廃止するか、③代替措置を講じて溶融炉を廃止するかを決めなければならない状況になっています。したがって、①又は③を選択しなかった場合は②が決定することになるため、来年度から補助金の返還に伴う基金の積み立て等が必要になります。
※中北組合が浦添市との広域処理を選択肢から除外する場合は、①溶融炉を再稼動して焼却炉とセットで長寿命化を行うか、②代替措置を講じて溶融炉を廃止しなければ自主財源によりごみ処理施設の整備を行っていくことになります。したがって、その場合は自主財源を確保するために来年度から基金の積み立て等が必要になります。
39頁にごみ処理施設の長寿命化に関する資料があります。