沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

ごみ処理施設の単独更新と広域更新の違い(事務方用)

2016-02-13 09:27:59 | ごみ処理計画

ごみ処理施設を整備していない市町村を除いて、市町村が所有しているごみ処理施設が老朽化した場合は更新することになります。

更新の方法には様々な方法がありますが、更新に当たって広域処理を行う場合は関係市町村は単独更新ではなく広域更新を行うことになります。つまり、広域処理とは関係市町村が共同で老朽化したごみ処理施設を更新することになります。

ただし、関係市町村の中に、老朽化していないごみ処理施設を所有しているところがあると、広域更新に対する事務処理がかなり複雑になります。沖縄県においては浦添市と中北組合が広域更新を検討していますが、中北組合のごみ処理施設(青葉苑)はまだ老朽化していない(長寿命化も行っていない)ので、まさに、このパターンになります。

しかも、中北組合の場合は、平成26年度からごみ処理計画を改正して廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理を行っているので、事務処理はさらに複雑になります。

このブログではこれまでに、浦添市と中北組合の広域処理に関する記事をたくさん書いてきましたが、今日は、1市2村の職員の皆様のために単独更新と広域更新の違いを整理して事務処理に関する記事を書くことにしました。

まずは下の画像をご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

この画像は、広域更新に当たって中北組合がごみ処理計画の見直しを見送った場合のフローです。事務処理としては考えられないことですが、仮に1市2村の職員の皆様がそれでも広域更新を行うことができると考えている場合は広域施設の整備に当たって国の補助金を利用することができなくなります。また、そのことを理由に広域処理が白紙撤回になった場合、浦添市は国の補助金を利用して単独更新を行うことができますが、中北組合は自主財源により単独更新を行うことになります。なお、国の補助金については補助率50%を想定しています。

次の画像はオーソドックスな事務処理になります。

原寸大の資料(画像をクリック)

この画像は、広域更新に当たって中北組合がごみ処理計画の見直しを行った場合のフローです。ただし、中北組合には2つの選択肢があります。1つは休止している溶融炉を再稼動するA、もう1つは代替措置を講じて休止している溶融炉を廃止するBになります。しかし、溶融炉を再稼動するAについては、様々な理由から1市2村の選択肢にはならないというのがこのブログの管理者の意見です。したがって、Bが唯一の選択肢になると考えています。なお、中北組合が代替措置を講じて溶融炉を廃止すれば廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理を行っていることになるので、万が一、広域処理が白紙撤回になった場合であっても国の補助金を利用して単独更新を行うことができます。もちろん、浦添市も同様に国の補助金を利用して単独更新を行うことができます。

次の画像は中北組合が代替措置を講じない場合の事務処理です。

原寸大の資料(画像をクリック)

この事務処理は、理論的には可能な事務処理としてこのブログの管理者が考えているものです。中北組合が代替措置を講じない場合は所有しているごみ処理施設を手放さないと廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理計画になるように見直すことができないので、このような変則的な事務処理を行うことになります。ただし、この事務処理は広域処理が白紙撤回になると中北組合は自主財源により単独更新を行うことになる(浦添市は国の補助金を利用して単独更新を行うことができる)ので、仮に中北組合がこの事務処理を選択する場合は、広域処理が白紙撤回にならないように事前に議会や住民に周知して理解と協力を得ておく必要があります。なお、この事務処理については、あくまでも理論上の事務処理であり、多分、前例がないと思われるので、事前に国と協議をして廃棄物処理法の基本方針に適合する事務処理になるかどうかを確認しておく必要があります。そうなると、中北組合はごみ処理計画の見直しに当たって多くの時間を要することになるので、浦添市の理解と協力も必要になります。浦添市のごみ処理施設は中北組合のごみ処理施設と違ってかなり老朽化が進んでいるので、中北組合の事務処理にあまり時間がかかるようだと広域処理を白紙撤回する可能性もあります。

以上がごみ処理施設の単独更新と広域更新の違いになりますが、浦添市にとっては広域処理が白紙撤回になってもごみ処理施設の規模が変るだけなので同市の職員の皆様には事務処理に当たってあまりプレシャーはかからないと思われます。中北組合(及び中城村、北中城村)の職員の皆様も代替措置を講じることを選択すればプレッシャーの少ない事務処理を行うことができると思われますが、代替措置を講じない場合はかなりハードな事務処理になるので、それなりの覚悟が必要になると考えます。なお、代替措置を講じない場合は補助金の返還に関する事務処理や民間委託に関する事務処理等も必要になります。したがって、これらのことについて議会や住民の理解と協力を得るための事務処理は職員の皆様にとって極めて難易度の高い事務処理になると考えます。

※新聞報道によれば、今年度中に浦添市と中北組合(実質上は中城村と北中城村)において広域処理に関する覚書を締結して平成29年度には広域組合の設立に必要な「地域計画」の策定に着手することになっているので、中北組合は平成28年度中に必要な事務処理を完了しなければならないことになります。

※中北組合が単独更新は困難であると判断して広域更新を検討している場合は、広域処理が白紙撤回になると新たなごみ処理施設を整備することになるので、白紙撤回になった場合を想定して中城村と北中城村の役割分担や財源の確保等についても事前に議会や住民に周知して理解と協力を得ておく必要があると考えます。