沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

広域処理に伴う地域計画の策定に関する選択肢(事務方用)

2016-02-10 10:15:51 | ごみ処理計画

3日前(7日)は浦添市と中北組合の広域処理に関する中北組合の選択肢に関する記事を中城村と北中城村の住民になったつもりで書きました。

そこで、今日は広域処理を検討している1市2村の事務方の皆さんのために失礼を承知の上で事務処理の確認に関する記事を書くことにしました。

ただし、事務方の皆さんは廃棄物処理法の基本方針を熟知しているはずなので、事務処理に関するコメントは最小限にします。

まず、下の画像をご覧下さい。これが、地域計画の策定に関する一番シンプルな事務処理になります。中北組合は溶融炉を休止中で、まだ焼却炉の長寿命化を実施していないので、地域計画を策定する場合は、①溶融炉を再稼動して、②焼却炉と一緒に長寿命化を実施する必要があります。ただし、この地域計画の策定には浦添市の同意が必要になります。そして、このブログの管理者は浦添市は同意できないと考えています。その理由については、事務方の皆さんが良くご存知のはずなので、省略させていただきます。

原寸大の資料(画像をクリック)

次が、浦添市が溶融炉の再稼動に同意しなかった場合の事務処理です。中北組合は溶融炉を廃止することになりますが、焼却炉だけ残して焼却灰の民間委託処分を行っていくことはできません。なぜなら、廃棄物処理法の基本方針に適合しないからです。したがって、溶融炉を廃止する場合は焼却炉も廃止することになります。ただし、広域施設が完成するまでは焼却炉が必要になるので、廃止後に民間に無償譲渡して可燃ごみの焼却と焼却灰の処理を民間に委託することになります。なお、補助金適正化法の規定に基づく事務処理については、溶融炉は廃止、焼却炉は譲渡に関する財産処分の承認手続を行うことになります。そして、ほぼ間違いなく補助金を返還することになります。しかし、この事務処理は国から見るとかなり変則的な事務処理になるので、廃棄物処理法の基本方針に適合する事務処理になるかどうかについては事前に国(環境省)と協議を行う必要があると考えます。

なお、このブログの管理者は市町村が補助金を返還して事務処理を行うことについては、それまでの事務処理になんらかの瑕疵があったことになるので、財源の確保等については議会において十分な審議を行う必要があると考えています。 

原寸大の資料(画像をクリック)

最後は、溶融炉の廃止に当たって廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置を講じて焼却炉だけを長寿命化するという事務処理です。このブログの管理者はこの事務処理が中北組合と浦添市にとって一番合理的な事務処理になると考えています。なぜなら、地方自治法の規定に基づいて最少の経費で最大の効果を挙げることができるからです。 

ちなみに、この事務処理を選択した場合は他の選択肢に比べてかなりの経費を削減できるので、焼却炉の長寿命化に当たって溶融炉を解体撤去して発電装置の増設を行うこともできます。

原寸大の資料(画像をクリック)

なお、現在の浦添市の焼却炉や溶融炉の処理能力に余裕があれば、中北組合の可燃ごみを浦添市の施設で処理することができますが、浦添市の施設の処理能力は1日150トンであり、新聞報道によると広域施設の処理能力は1日200トンになるようなので、余裕はないことになります。ちなみに、中北組合の焼却炉の処理能力は1日40トンです。したがって、浦添市の施設の処理能力が1日190トン以上でなければ、この事務処理は選択肢にならないことになります。

※浦添市は廃棄物処理法の基本方針に従って平成24年度に焼却炉と溶融炉の長寿命化を行っているので、上記のどのケースになってもほぼ同様の事務処理になります。ただし、中北組合の溶融炉の再稼動に同意した場合は、事故や故障等のリスクが高くなるので、広域施設の整備に関するスケジュールの遅延等が心配の種になります。

事務処理に関する備忘録

<地域計画の策定に関する条件>

(1)広域処理に関する地域計画を策定する場合は関係市町村が共同で策定すること。

(2)地域計画を策定する場合は国や県と協議を行うこと。

(3)地域計画は廃棄物処理法の基本方針に適合していること。

(4)地域計画と地域計画を策定する関係市町村のごみ処理計画との整合性を図ること。

(5)地域計画を策定する関係市町村のごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していること。

<廃棄物処理法基本方針>

(1)平成25年度における最終処分場の残余年数(全国平均:約19.7年)を維持するために地域ごとに必要になる最終処分場を整備すること。

(2)処分制限期間を経過している場合であっても老朽化していないごみ処理施設(焼却炉や溶融炉等)はストックマネジメントの手法を取り入れて長寿命化(設備の基幹的改良又は基幹的改造)を図ること。

<国の補助制度>

(1)経過年数(実際に補助事業者が補助目的に従って補助事業を行っていた期間)が10年を超えていないごみ処理施設の財産処分を行う場合は補助金を返還すること。

(2)経過年数が10年を超えているごみ処理施設の財産処分を行う場合であっても財産処分を行う地域において既に同種の社会資源が充足していない場合は補助金を返還すること。ただし、建物の処分制限期間を経過している場合は除く。

(3)ごみ処理施設の財産処分に当たって市町村が自主財源により代替措置を講じた場合は経過年数に関わらず補助金の返還を免除する。

<廃棄物処理法の基本方針に適合しない地域計画>

(1)溶融炉を休止したまま焼却灰の民間委託処分を行う場合。

(2)代替措置を講じずに溶融炉を廃止して焼却灰の民間委託処分を行う場合。

(3)休止している溶融炉を再稼動した場合であっても長寿命化を行わずに廃止又は更新する場合。

(4)焼却炉の長寿命化を行わずに廃止又は更新する場合。

(5) 広域処理を行う関係市町村の中に廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理計画を策定している市町村がある場合。