名護市の屋我地島近海で3年前に識別番号(タグ)を付けて放ったタマン(ハマフエフキ)が、約40キロ離れた読谷沖で2月に確認されたことが22日までに分かった。タマンは従来、屋我地近海の藻場に幼魚が多く重要な成育場とみられていた。一方、読谷沖では産卵を控えた群れが多く漁獲され、近くに産卵場があると考えられていた。タマンが回遊しているかなどの生態はこれまで不明だった。今回の調査結果はタマンが成育場である屋我地沖から産卵場とみられる読谷沖へ移動したことを示す初の事例となる。
屋我地近海は西海岸最大規模の藻場が広がっており、羽地漁協、今帰仁漁協は2000年以降、タマン幼魚が多く捕れる一部海域を8~11月は全面禁漁にして資源回復に努めている。1989~99年に比べ00~15年の羽地、今帰仁両漁協のタマン漁獲量が1・4倍に上るなど保護策が成果を上げている。今回の研究は、保護の取り組みが西海岸のより広範囲で好影響を及ぼす可能性があることを示している。
移動生態調査は県水産海洋技術センターと羽地漁協、今帰仁漁協が共同で実施。タマン674個体を含む36種1302個体にタグを付けて放流した。このうち2013年11月にタグを付けたタマン(当時推定1歳)を羽地内海で放流したところ、今年2月に読谷村渡具知の大型定置網で捕獲された。
県水産海洋技術センターの太田格主任研究員は「屋我地島周辺の成育場の機能や、保護区の効果がより広範囲に及んでいることを示す結果だ。(屋我地島周辺が)タマンの成育場として一層重要であることが明らかになった」とした。羽地漁協の宮城辰史さんは「羽地内海のタマンが読谷まで行くことに、漁業者もびっくりしていた。他の魚種でも保護区を設けようという話も出ている」と話し、効果の広がりに期待した。