―「昨日の記事(233)」を「正確」に、書き直します。―
(01)
(ⅰ)P→Q├ ~P∨Q
1 (1) P→ Q A
2(2) P&~Q A
2(3) P 2&E
2(4) ~Q 2&E
12(5) Q 13MPP
12(6) ~Q&Q 45&I
1 (7) ~~Q 46RAA
1 (8) Q 7DN
1 (9) ~P∨Q 8∨I
(ⅱ)~P∨Q├ P→Q
1 (1) ~P∨ Q A
2 (2) P&~Q A
3 (3) ~P A
2 (4) P 2&E
23 (5) ~P& P 34&I
3 (6)~(P&~Q) 25RAA
7 (7) Q A
2 (8) ~Q 2&E
2 7 (9) Q&~Q 78&I
7 (ア)~(P&~Q) 29RAA
1 (イ)~(P&~Q) 1367ア∨E
ウ (ウ) P A
エ(エ) ~Q A
ウエ(オ) P&~Q エオ&I
1 ウエ(カ)~(P&~Q)&
(P&~Q) イオ&I
1 ウ (キ) ~~Q エカRAA
1 ウ (ク) Q キDN
1 (ケ) P→ Q ウクCP
従って、
(01)により、
(02)
① P→Q=PならばQである。
② ~P∨Q=Pでないか、Qである。
に於いて、
①=② である。
ものの、この「等式」を、「含意の定義」と、呼ぶことにする。
然るに、
(03)
(ⅰ)
1 (1) ∃x(Fx→Gx) A
2 (2) Fa→Ga A
2 (3) ~Fa∨Ga 2含意の定義
4 (4) ~Fa A
4 (5)∃x(~Fx) 4EI
4 (6)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 5∨I
7(7) Ga A
7(8) ∃x(Gx) 7EI
7(9)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 8∨I
2 (ア)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 24679∨E
1 (イ)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 12アEE
(ⅱ)
1 (1)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) A
2 (2)∃x(~Fx) A
3 (3) ~Fa A
3 (4) ~Fa∨Ga 3∨I
3 (5) Fa→Ga 4含意の定義
3 (6) ∃x(Fx→Gx) 5EI
2 (7) ∃x(Fx→Gx) 236EE
8 (8) ∃x(Gx) A
9(9) Ga A
9(ア) ~Fa∨Ga 9∨I
9(イ) Fa→Ga ア含意の定義
9(ウ) ∃x(Fx→Gx) イEI
8 (エ) ∃x(Fx→Gx) 89ウEE
1 (オ) ∃x(Fx→Gx) 1278エ∨E
従って、
(03)により、
(04)
① ∃x( Fx→Gx) =あるxがFであるならば、 そのxはGである。
② ∃x(~Fx)∨∃x(Gx)=あるxはFでないか、その、あるxはGである。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(05)
② ∃x(~Fx)∨∃x(Gx)=あるxはFでないか、その、あるxはGである。
といふ「選言命題」に於いて、
② ∃x(~Fx)が「偽」であるならば、∃x( Gx)は「真」であり、
② ∃x( Gx)が「偽」であるならば、∃x(~Fx)は「真」であり、
② ∃x(~Fx)が「真」であるならば、∃x( Gx)の「真・偽」は「不明」であり、
② ∃x( Gx)が「真」であるならば、∃x(~Fx)の「真・偽」は「不明」である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
① ∃x( Fx→Gx)=あるxがFであるならば、そのxはGである。
といふ「仮言命題」に於いても、
① ∃x(~Fx)が「偽」であるならば、∃x( Gx)は「真」であり、
① ∃x( Gx)が「偽」であるならば、∃x(~Fx)は「真」であり、
① ∃x(~Fx)が「真」であるならば、∃x( Gx)の「真・偽」は「不明」であり、
② ∃x( Gx)が「真」であるならば、∃x(~Fx)の「真・偽」は「不明」である。
従って、
(06)により、
(07)
① ∃x( Fx→Gx)=あるxがFであるならば、そのxはGである。
といふ「仮言命題」は、いづれにせよ、
① ∃x(~Fx)が「真」である。
といふことを、「否定」しない。
従って、
(08)
① ∃x(フランス人x→寛大x)=あるxがフランス人であるならば、そのxは寛大である。
といふ「仮言命題」は、
① ∃x(~フランス人x)=フランス人ではないxが存在する。
としても、「偽(ウソ)」には、ならない。
然るに、
(09)
① ∃x(~フランス人x)=あるxはフランス人はない。
といふ「命題」は、
① フランス人ではないxが、少なくとも、一人は存在する。
といふ「意味」である。
従って、
(09)により、
(10)
① ∃x(~フランス人x)=フランス人ではないxが存在する。
といふ「命題」は、
① 何人かのイギリス人がゐて、フランス人が一人もゐない。
としても、「真(本当)」である。
然るに、
(11)
③ ∃x(フランス人x&寛大x)=あるxはフランス人であって、尚且つ、xは寛大である。
といふ「連言命題」は、
③ フランス人であって、寛大なxが、少なくとも、一人はゐる。
といふ「意味」である。
従って、
(08)~(11)により、
(12)
① ∃x(フランス人x→寛大x)=あるxがフランス人であるならば、そのxは寛大である。
③ ∃x(フランス人x&寛大x)=あるxはフランス人であって、尚且つ、xは寛大である。
に於いて、
① であれば、「イギリス人だけがゐて、フランス人がゐない」としても、「真(本当)」であって、
③ であれば、「イギリス人だけがゐて、フランス人がゐない」場合には、「偽(ウソ)」になる。
従って、
(12)により、
(13)
① 幾人かのフランス人は寛大である(Some French are generous)。
といふ「命題」を、
① ∃x(フランス人x→寛大x)=あるxがフランス人であるならば、そのxは寛大である。
といふ風に、「翻訳」することは、「マチガイ」である。
従って、
(12)(13)により、
(14)
「すべてのフランス人は寛大である」は一種の条件文として適切に記号化されるので、これに同化(assimilate)してしまって、「幾らかのフランス人は寛大である」を、正しく「∃x(Fx&Gx)」と記号化するかわりに、むしろ「∃x(Fx→Gx)」とするのは、よくある間違い(common mistake)である。しかし、「∃x(Fx→Gx)」は、それがフランス人であるならば、寛大であるようなあるものが存在することを主張するのであって、これは、かりにフランス人が存在しないとしても真であろう。しかし「幾らかのフランス人は寛大である」は決してそうではない(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、123・4頁改)。
といふ、ことになる。
然るに、
(03)(14)により、
(15)
しかし、「∃x(Fx→Gx)」は、それがフランス人であるならば、寛大であるようなあるものが存在することを主張するのであって、これは、かりにフランス人が存在しないとしても真であろう。
といふことを、「正確に、理解」するために、
(ⅰ)
1 (1) ∃x(Fx→Gx) A
2 (2) Fa→Ga A
2 (3) ~Fa∨Ga 2含意の定義
4 (4) ~Fa A
4 (5)∃x(~Fx) 4EI
4 (6)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 5∨I
7(7) Ga A
7(8) ∃x(Gx) 7EI
7(9)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 8∨I
2 (ア)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 24679∨E
1 (イ)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) 12アEE
(ⅱ)
1 (1)∃x(~Fx)∨∃x(Gx) A
2 (2)∃x(~Fx) A
3 (3) ~Fa A
3 (4) ~Fa∨Ga 3∨I
3 (5) Fa→Ga 4含意の定義
3 (6) ∃x(Fx→Gx) 5EI
2 (7) ∃x(Fx→Gx) 236EE
8 (8) ∃x(Gx) A
9(9) Ga A
9(ア) ~Fa∨Ga 9∨I
9(イ) Fa→Ga ア含意の定義
9(ウ) ∃x(Fx→Gx) イEI
8 (エ) ∃x(Fx→Gx) 89ウEE
1 (オ) ∃x(Fx→Gx) 1278エ∨E
といふ「述語計算(Predicate calculation)」が、「正しい」といふことを、「理解」する「必要」がある。
従って、
(15)により、
(16)
① ∃x( Fx→Gx) =あるxがFであるならば、xはGである。
② ∃x(~Fx)∨∃x(Gx)=あるxはFでないか、 xはGである。
に於いて、
①=② である。
といふことを、「理解」出来ない「段階」で、
しかし、「∃x(Fx→Gx)」は、それがフランス人であるならば、寛大であるようなあるものが存在することを主張するのであって、これは、かりにフランス人が存在しないとしても真であろう。
といふことに「合点がいかない」としても、已も得ないと、言ふべきである。