日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(232)∃x(Fx→Gx)は、よくある「マチガイ」である。

2019-05-22 16:07:42 | 論理

(01)
(α)P→Q├ ~P∨Q
    1 (1)  P→ Q A
     2(2)  P&~Q A
     2(3)  P    2&E
     2(4)    ~Q 2&E
    12(5)     Q 13MPP
    12(6)  ~Q&Q 45&I
    1 (7)   ~~Q 46RAA
    1 (8)     Q 7DN
    1 (9)  ~P∨Q 8∨I

(β)~P∨Q├ P→Q
1     (1) ~P∨ Q   A
 2    (2)  P&~Q   A
  3   (3) ~P      A
 2    (4)  P      2&E
 23   (5) ~P& P   34&I
  3   (6)~(P&~Q)  25RAA
   7  (7)     Q   A
 2    (8)    ~Q   A
 2 7  (9)  Q&~Q   78&I
   7  (ア)~(P&~Q)  29RAA
1     (イ)~(P&~Q)  1367ア∨E
    ウ (ウ)  P      A
     エ(エ)    ~Q   A
    ウエ(オ)  P&~Q   エオ&I
1   ウエ(カ)~(P&~Q)&
          (P&~Q)  イオ&I
1   ウ (キ)   ~~Q   7カRAA
1   ウ (ク)     Q   キDN
1     (ケ)  P→ Q   ウク
従って、
(01)により、
(02)
(α) P→Q
(β)~P∨Q
に於いて、
(α)=(β) である。
従って、
(02)により、
(03)
(α) Fx→Gx
(β)~Fx∨Gx
に於いて、
(α)=(β)である。
従って、
(03)により、
(04)
(α) Fx→Gx
(β)~Fx∨Gx
に於いて、
F=フランス人である。
G=寛大である。
とするならば、
(α)フランス人x→寛大x
(β)~フランスx∨寛大x
に於いて、
(α)=(β)である。
然るに、
(05)
(α)フランス人x→寛大x
(β)~フランスx∨寛大x
といふのは、
(α)「フランス人x→寛大x(xがフランス人であるならば、xは寛大である。)」
(β)「~フランスx∨寛大x(xはフランス人でないか、xは寛大である。)」
といふ、「意味」である。
従って、
(04)(05)により、
(06)
(α)「フランス人x→寛大x(xがフランス人でないか、xは寛大である。)」
(β)「~フランスx∨寛大x(xはフランス人でないか、xは寛大である。)」
といふ、「意味」である。
然るに、
(07)
(a)「xはイギリス人であって、フランス人ではない。」
とするならば、言ふまでもなく、
(α)「フランス人x→寛大x(xはフランス人でないか、xは寛大である。)」
といふ「命題関数」は、「真(本当)」である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
(α)「フランス人x→寛大x(xはフランス人でないか、xは寛大である。)」
といふ「命題関数」が「真(本当)」であるためには、
(α)「xはイギリス人であって、フランス人ではない。」
といふ「命題関数」が「真(本当)」であれば、「十分」である。
従って、
(01)~(08)により、
(09)
(α)「xはフランス人である。」
といふ「命題関数」が「真(本当)」であることは、
(α)「∃x(フランス人x→寛大x)」=「あるxがフランス人であるならば、xは寛大である。)」
といふ「命題」が「真(本当)」であるため、「必要条件」ではない
然るに、
(10)
(γ)「∃x(フランス人x&寛大x)」=「あるxは、フランス人であって、尚且つ、xは寛大である。」
の場合は、
(γ)「寛大なフランス人が、少なくとも、一人は存在する。」
といふ「意味」である。
従って、
(10)により、
(11)
(α)「xはフランス人である。」
といふ「命題関数」が「真(本当)」であることは、
(γ)「∃x(フランス人x&寛大x)」=「あるxは、フランス人であって、尚且つ、xは寛大である。」
といふ「命題」が「真(本当)」であるため、「必要条件」である
従って、
(09)(10)(11)により、
(12)
「すべてのフランス人は寛大である」は一種の条件文として適切に記号化されるので、これに同化(assimilate)してしまって、「幾らかのフランス人は寛大である」を、正しく「∃x(Fx&Gx)」と記号化するかわりに、むしろ「∃x(Fx→Gx)」とするのは、よくある間違いである。しかし、「∃x(Fx→Gx)」は、それがフランス人であるならば、寛大であるようなあるものが存在することを主張するのであって、これは、かりにフランス人存在しないとしても真であろう。しかし「幾らかのフランス人は寛大である」は決してそうではない(E.J.レモン 著、竹尾治一郎・浅野楢英 訳、論理学初歩、1973年、123・4頁改)。
といふ、ことになる。
然るに、
(13)
「先ほどの記事(231)」にも書いた通り、その一方で、
「∀x(フランス人x→寛大x)」=「すべてのフランス人は寛大である。」
であるの場合は、「フランス人の存在」を、「前提」には、してゐない。といふことも、忘れてはならない。


(231)「無不知劉老人者(助字弁略)」の述語論理。

2019-05-22 09:52:42 | 漢文・述語論理
(01)
① 士大夫不知劉老人者=
① 士大夫[不〔知(劉老人)〕者]⇒
① 士大夫[〔(劉老人)知〕不者]
① 士大夫にして[〔(劉老人を)知ら〕ざる者]無し
① 士大夫であれば、誰もが、劉老人を知ってゐる(助字弁略 改)。
(02)
(α)
1  (1)~∃x{士大夫x&~知(x、劉老人)} A
1  (2)∀x~{士大夫x&~知(x、劉老人)} 1量化子の関係
1  (3)  ~{士大夫a&~知(a、劉老人)} 1UE
 4 (4)    士大夫a            A
  5(5)         ~知(a、劉老人)  A
 45(6)    士大夫a&~知(a、劉老人)  45&I
145(7)~{士大夫a&~知(a、劉老人)}&
       {士大夫a&~知(a、劉老人)}   36&I
14 (8)        ~~知(a、劉老人)  57RAA
14 (9)          知(a、劉老人)  8DN
1  (ア)    士大夫a→ 知(a、劉老人)  49CP
1  (イ) ∀x{士大夫a→ 知(a、劉老人)} アUI
1  (〃)すべてのxについて、xが士大夫であるならば、xは劉老人を知ってゐる。 アUI
(β)
1  (1) ∀x{士大夫x→ 知(x、劉老人)} A
1  (2)    士大夫a→ 知(a、劉老人)  1UE
 3 (3) ∃x{士大夫x&~知(x、劉老人)} A
  4(4)    士大夫a&~知(a、劉老人)  A
  4(5)    士大夫a            4&E
  4(6)         ~知(a、劉老人)  4&E
1 4(7)          知(a、劉老人)  25MPP
1 4(8)~知(a、劉老人)&知(a、劉老人)  67
13 (9)~知(a、劉老人)&知(a、劉老人)  348EE
1  (ア)~∃x{士大夫x&~知(x、劉老人)} 39RAA
1  (〃)あるxが士大夫であって、そのxが劉老人を知らない。といふ、そのやうなxは存在しない。 39RAA
従って、
(02)により、
(03)
(α)~∃x{士大夫x&~知(x、劉老人)}
(β) ∀x{士大夫x→ 知(x、劉老人)}
に於いて、すなはち、
(α)あるxが士大夫であって、そのxが劉老人を知らない。といふ、そのやうなxは存在しない
(β)すべてのxについて、xが士大夫であるならば、xは劉老人を知ってゐる。
に於いて、
(α)ならば、(β)であって、
(β)ならば、(α)である。
従って、
(02)(03)により、
(04)
(α)~∃x{士大夫x&~知(x、劉老人)}=あるxが士大夫であって、そのxが劉老人を知らない。といふ、そのやうなxは存在しない
(β) ∀x{士大夫x→ 知(x、劉老人)}=すべてのxについて、xが士大夫であるならば、xは劉老人を知ってゐる。
に於いて、
(α)=(β) である。
従って、
(01)~(04)により
(05)
① 士大夫であれば、誰もが、劉老人を知ってゐる。
② 士大夫であって、劉老人を知らない者は存在しない
に於いて、
①=② である。
然るに、
(06)
② 士大夫であって、劉老人を知らない者は存在しない
といふ、のであれば、
② 士大夫が、存在する。
とは、言ってゐない
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 士大夫であれば、誰もが、劉老人を知ってゐる。
といふ場合も、
① 士大夫が、存在する
とは、言っていない
従って、
(07)により、
(08)
③ 人間ならば正直である。⇔
③ ∀x(人間x→正直x)⇔
③ すべてのxについて、xが人間ならば、xは正直である。
といふ場合も、
③ 人間が存在する
とは、言ってゐない
従って、
(09)
要するに「すべて」という語も「人間」といふ語も、「存在する」ということとは無関係である。そこで「すべての人間は正直である」という文の論理的構造をしめす
 「すべてのxについて、もしxが人間ならばxは正直である」
は命題論理の法則の一つである
 (P→Q)=~(P&~Q)
をあてはめれば、
 「すべてのxについて、xが人間であってそして正直でないということではない」ということと等値である(沢田允茂、現代論理学入門、1962年、122頁)。
といふ、ことになる。
従って、
(10)
例へば、
1   (1)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
1   (〃)すべてのxについて、xが素敵な少女であるならば、すべてのyについて、yが水夫であるならば、xはyを愛す。 A
 2  (2)∃x(素敵x&少女x)&∃y(水夫y)     A
 2  (〃)素敵な少女であるxが存在し、水夫であるyが存在する。 A
 2  (3)∃x(素敵x&少女x)             2&E
  4 (4)   素敵a&少女a              A
 2  (5)            ∃y(水夫y)     2&E
   6(6)               水夫b      A
1   (7)   素敵a&少女a→∀y(水夫y→愛ay)  1UE
1 4 (8)           ∀y(水夫y→愛ay)  47MPP
1 4 (9)              水夫b→愛ab   8UE  
1 46(ア)                  愛ab   69MPP
1 46(イ)              水夫b&愛ab   6ア&I
1 46(ウ)           ∃y(水夫y&愛ay)  イEI
124 (エ)           ∃y(水夫y&愛ay)  56ウEE
12  (オ)   素敵a&少女a→∃y(水夫y&愛ay)  4エCP
12  (カ)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} オUI
12  (〃)すべてのxについて、xが素敵な少女であるならば、あるyは水夫であって、xはyを愛す。 オUI
といふ「推論」に於いて、
 2  (2)∃x(素敵x&少女x)&∃y(水夫y)     A
 2  (〃)素敵な少女であるxが存在し、水夫であるyが存在する。 A
といふ「仮定」を除いてしまへば、
1   (1)∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)} A
1   (〃)すべてのxについて、xが素敵な少女であるならば、すべてのyについて、yが水夫であるならば、xはyを愛す。 A
といふ「仮定」からは、
12  (カ)∀x{素敵x&少女x→∃y(水夫y&愛xy)} オUI
12  (〃)すべてのxについて、xが素敵な少女であるならば、あるyは水夫であって、xはyを愛す。 オUI
といふ『結論』を、得ることが、出来ない
然るに、
(11)
④ All the nice girls love all the sailors.
といふのであれば、
④ All the nice girls も、
④ all the sailors.  も、「存在」する。
といふ風に、考へられる。
従って、
(10)(11)により、
(12)
その「意味」では、
④ All the nice girls love all the sailors.
⑤ ∀x{素敵x&少女x→∀y(水夫y→愛xy)}
に於いて、
④=⑤ ではない。