日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(421)「兎は象ではないが、鼻がある」の「述語論理」。

2019-12-09 17:53:48 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
1   (1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&(~象x&鼻yx)→~長y} A
1   (2)  ∀y{象a&鼻ya→長y&(~象a&鼻ya)→~長y} 1UE
1   (3)     象a&鼻ba→長b&(~象a&鼻ba)→~長b  1UE
1   (4)     象a&鼻ba→長b                3&E
1   (5)               (~象a&鼻ba)→~長b  3&E
 6  (6)  ∀x{兎x→~象x&∃y(鼻yx)}          A
 6  (7)     兎a→~象a&∃y(鼻ya)           1UE
  8 (8)     兎a                       A
 68 (9)        ~象a&∃y(鼻ya)           78MPP
 68 (ア)        ~象a                   9&E
 68 (イ)            ∃y(鼻ya)           9&E
   ウ(ウ)               鼻ba            A
 68ウ(エ)        ~象a&鼻ba               アウ&I
168ウ(オ)                         ~長b  5エMPP
168ウ(カ)           鼻ba&~長b            ウオ&I
168ウ(キ)        ∃y(鼻ya&~長y)           カEI
168 (ク)        ∃y(鼻ya&~長y)           イウキEE
16  (ケ)     兎a→∃y(鼻ya&~長y)           8クCP
16  (コ)  ∀x{兎x→∃y(鼻yx&~長y)}          ケUI
従って、
(01)により、
(02)
(1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&(~象x&鼻yx)→~長y}
(6)  ∀x{兎x→~象x&∃y(鼻yx)}
(コ)  ∀x{兎x→∃y(鼻yx&~長y)} 
といふ「推論」、すなはち、
(1)すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
(6)すべてのxについて、  xが兎であるならば、xは象ではなく、あるyはxの鼻である。
(コ)すべてのxについて、  xが兎であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長くない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(03)
(1)象の鼻_長い。 然るに、
(6)兎は象ではないが、鼻がある。 従って、
(コ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(04)
Q:Which nose is longer, an elephant or a rabbit ?
A:象の鼻長い。
であって、
Q:Which nose is longer, an elephant or a rabbit ?
A:象の鼻長い。
ではない
従って、
(03)(04)により、
(05)
(1)象の鼻長い。 然るに、
(6)兎は象ではないが、鼻がある。 従って、
(コ)兎の鼻は長くない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① 象の鼻長い。⇔
① 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。⇔
① ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y}⇔
① すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(06)により、
(07)
① 象の鼻長い=象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない
であって、
② 象の鼻長い=象の鼻 is long.
ではない。
然るに、
(08)
 象は 鼻長い。
「象」はこの文の主題です。「鼻は長い」は全体で「象の説明」を行っているという構造をしています。これがもし「象の鼻が長い」であれば、単に「象の鼻=長い」といっているだけで、「象」が主題となっているとは言えません。ところが、「象は鼻が長い」にすると、「象について言えば、鼻が長い」という意味になります。
(橋本陽介、日本語の謎を解く、2016年、141・142頁)
然るに、
(09)
橋本陽介先生が言ふ「象の鼻=長い」といふのは、「象の鼻 is long.」といふことであると、思はれる。
従って、
(07)(08)(09)により、
(10)
橋本陽介先生の言ふ、
これがもし「象の鼻長い」であれば、単に「象の鼻長い」といっているだけである。
といふ言ひ方は、「正しく」はない。


(420)「象の鼻が長い。」の「多義性」について。

2019-12-09 13:57:39 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
(ⅰ)
1  (1)∀x∀y(鼻xy&象y→長x)   A
1  (2)  ∀y(鼻ay&象y→長a)   1UE
1  (3)     鼻ab&象b→長a    2UE
 4 (4)           ~長a    A
14 (5)   ~(鼻ab&象b)      34MTT
14 (6)    ~鼻ab∨~象b      5ド・モルガンの法則
14 (7)     鼻ab→~象b      6含意の定義
1  (8) ~長a→鼻ab→~象b      47CP
  9(9)     鼻ab&~長a      A
  9(ア)         ~長a      9&E
1 9(イ)     鼻ab→~象b      8アMPP
  9(ウ)     鼻ab          9&E
1 9(エ)             ~象b  イウMPP
1  (オ)     鼻ab&~長a→~象b  9エCP
1  (カ)  ∀y(鼻ay&~長a→~象y) オUI
1  (キ)∀x∀y(鼻xy&~長x→~象y) カUI
(ⅱ)
1  (1)∀x∀y(鼻xy&~長x→~象y) A
1  (2)  ∀y(鼻ay&~長a→~象y) 1UE
1  (3)     鼻ab&~長a→~象b  2UE
 4 (4)              象b  A
 4 (5)            ~~象b  4DN
14 (6)   ~(鼻ab&~長a)     35MTT
14 (7)    ~鼻ab∨ 長a      6ド・モルガンの法則
14 (8)     鼻ab→ 長a      7含意の定義
1  (9)  象b→鼻ab→ 長a      48CP
  ア(ア)     鼻ab& 象b      A
  ア(イ)  象b              ア&E
1 ア(ウ)     鼻ab→ 長a      9イMPP
  ア(エ)     鼻ab          ア&E
1 ア(オ)          長a      ウエMPP
1  (カ)     鼻ab&象b→長a    アオMPP
1  (キ)  ∀y(鼻ay&象y→長a)   カUI
1  (ク)∀x∀y(鼻xy&象y→長x)   キUI
従って、
(01)により、
(02)
① ∀x∀y(鼻xy&  象y→ 長x)
② ∀x∀y(鼻xy&~長x→~象y)
に於いて、すなはち、
① すべてのxとyについて、xがyの鼻であって、yが象であるならば、xは長い。
② すべてのxとyについて、xがyの鼻であって、xが長くないならば、yは象ではない。
に於いて、
①=② である。
従って、
(02)により、
(03)
① 鼻は、象ならば長い。
② 鼻は、長くないならば象ではない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(04)
{象、兎、馬}であるならば、
① 鼻は、象ならば長く、長くないならば象ではない。
② 耳は、兎ならば長く、長くないならば兎ではない。
③ 顔は、馬ならば長く、長くないならば馬ではない。
従って、
(04)により、
(05)
① 鼻は、象長い。
② 耳は、兎長い。
③ 顔は、馬長い。
従って、
(02)~(05)により、
(06)
①{象、兎、馬}であるならば、
①  象の鼻が長い。⇔ ∀x∀y(鼻xy&象y→長x)。
②  兎の鼻が長い。⇔ ∀x∀y(耳xy&兎y→長x)。
③  馬の顔が長い。⇔ ∀x∀y(顔xy&馬y→長x)。
然るに、
(07)
(ⅳ)
1 (1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~(象x&鼻yx)→~長y} A
1 (2)  ∀y{象a&鼻ya→長y&~(象a&鼻ya)→~長y} 1UE
1 (3)     象a&鼻ba→長b&~(象a&鼻ba)→~長b  1UE
1 (4)     象a&鼻ba→長b                3&E
1 (5)               ~(象a&鼻ba)→~長b  3&E
 6(6)                          長b  A
 6(7)                        ~~長b  6DN
16(8)              ~~(象a&鼻ba)      57MTT
16(9)                (象a&鼻ba)      8DN
1 (ア)               長b→(象a&鼻ba)    69CP
1 (イ)     象a&鼻ba→長b&長b→(象a&鼻ba)    4ア&I
1 (ウ)  ∀y{象a&鼻ya→長y&長y→(象a&鼻ya)}   イUI
1 (エ)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&長y→(象x&鼻yx)}   ウUI
(ⅴ)
1 (1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&長y→(象x&鼻yx)}   A
1 (2)  ∀y{象a&鼻ya→長y&長y→(象a&鼻ya)}   2UE
1 (3)     象a&鼻ba→長b&長b→(象a&鼻ba)    2UE
1 (4)     象a&鼻ba→長b                3&E
1 (5)               長b→(象a&鼻ba)    3&E
 6(6)                 ~(象a&鼻ba)    A
16(7)              ~長b             56MTT
1 (8)               ~(象a&鼻ba)→~長b  67CP
1 (9)     象a&鼻ba→長b&~(象a&鼻ba)→~長b  48&I
1 (ア)  ∀y{象a&鼻ya→長y&~(象a&鼻ya)→~長y} 9UI
1 (イ)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~(象x&鼻yx)→~長y} アUI
従って、
(07)により、
(08)
④ 象の鼻長い。⇔
④ 象の鼻は長く、象の鼻以外は長くない。⇔
④ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~(象x&鼻yx)→~長y}⇔
④ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象であってyがxの鼻でないならば、yは長くない。
⑤ 象の鼻が長い。⇔
⑤ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&長y→(象x&鼻yx)}⇔
⑤ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、yが長いならば、xは象であって、yはxの鼻である。
に於いて、
④=⑤ である。
然るに、
(09)
④{象の鼻、机の天板、机の抽斗}であるならば、
④  象の鼻長い。⇔
④  象の鼻は長く、象の鼻以外(机の天板、机の抽斗)は長くない。⇔
④  ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~(象x&鼻yx)→~長y}⇔
④ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象であってyがxの鼻でないならば、yは長くない。
(10)
(ⅵ)
1  (1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&(~象x&鼻yx)→~長y} A
1  (2)  ∀y{象a&鼻ya→長y&(~象a&鼻ya)→~長y} 1UE
1  (3)     象a&鼻ba→長b&(~象a&鼻ba)→~長b  1UE
1  (4)     象a&鼻ba→長b                3&E
1  (5)               (~象a&鼻ba)→~長b  3&E
 6 (6)                          長b  A
 6 (7)                        ~~長b  6DN
16 (8)              ~(~象a&鼻ba)       57MPP
16 (9)                象a∨~鼻ba         8ド・モルガンの法則
16 (ア)                 ~鼻ba∨象a        9交換法則
16 (イ)                  鼻ba→象a        ア含意の定義
1  (ウ)               長b→鼻ba→象a         6イCP
  エ(エ)                 (鼻ba&長b)       A
  エ(オ)              長b               エ&E
1 エ(カ)                  鼻ba→象a        ウオMPP
  エ(キ)                  鼻ba           エ&E
1 エ(ク)                        象a     カキMPP
1  (ケ)               (鼻ba&長b)→象a    エクCP
1  (コ)     象a&鼻ba→長b&(鼻ba&長b)→象a    4ケ&I
1  (サ)  ∀y{象a&鼻ya→長y&(鼻ya&長b)→象a}   コUI
1  (シ)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&(鼻yx&長y)→象x}     サUI
(ⅶ)
1  (1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&(鼻yx&長y)→象x}     A
1  (2)  ∀y{象a&鼻ya→長y&(鼻ya&長b)→象a}   1UE
1  (3)     象a&鼻ba→長b&(鼻ba&長b)→象a    2UE
1  (4)     象a&鼻ba→長b                3&E
1  (5)               (鼻ba&長b)→象a    3&E
 6 (6)                       ~象a    A
16 (7)              ~(鼻ba&長b)       56MTT
16 (8)              ~鼻ba∨~長b        7ド・モルガンの法則
16 (9)               鼻ba→~長b        8含意の定義
1  (ア)           ~象a→鼻ba→~長b        69CP
  イ(イ)          (~象a&鼻ba)           A
  イ(ウ)           ~象a                イ&E
1 イ(エ)               鼻ba→~長b        アウMPP
  イ(オ)               鼻ba            イ&E
1 イ(カ)                   ~長b        エオMPP
1  (キ)          (~象a&鼻ba)→~長b       イカCP
1  (ク)      象a&鼻ba→長b&(~象a&鼻ba)→~長b  4キ&I
1  (ケ)  ∀y{象a&鼻ya→長y&(~象a&鼻ya)→~長y} クUI
1  (コ)∀x∀y{象a&鼻ya→長y&(~象a&鼻ya)→~長y} ケUI
従って、
(10)により、
(11)
⑥ 象の鼻長い。⇔
⑥ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。⇔
⑥ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y}⇔
⑥ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
⑦ 象の鼻が長い。⇔
⑦ 象の鼻は長く、鼻が長いならば象である。⇔
⑦ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&(鼻yx&長y)→象x}⇔   
⑦ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、yがxの鼻であって、長いならば、xは象である。
に於いて、
⑥=⑦ である。
然るに、
(12)
⑥{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}であるならば、
⑥  象の鼻長い。⇔
⑥  象の鼻は長く、象以外の鼻(兎の鼻、馬の鼻)は長くない。⇔
⑥  ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y}⇔
⑥  すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
従って、
(06)(09)(12)により、
(13)
①{象、兎、馬}であるならば、
①  象の鼻長い。⇔ ∀x∀y(鼻xy&象y→長x)。
④{象の鼻、机の天板、机の抽斗}であるならば、
④  象の鼻長い。⇔ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~(象x&鼻yx)→~長y}。
⑥{象の鼻、 兎の鼻、 馬の鼻}であるならば、
⑥  象の鼻長い。⇔ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y}。
といふ、ことになる。
然るに、
(14)
①{象、兎、馬}であるならば、
①  象の鼻長い。⇔ ∀x∀y(鼻xy&象y→長x)。
に関しては、「正確」には、
⑥{象の鼻、兎の鼻、馬の鼻}であるならば、
⑥  象の鼻が長い。⇔ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y}。
といふ、ことであるため、
⑥ である。
然るに、
(15)
④  象の鼻長い。⇔ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~(象x&鼻yx)→~長y}。
⑥  象の鼻長い。⇔ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y& ~象x&鼻yx →~長y}。
に関しては、
④{象の鼻、机の天板、机の抽斗}であるならば、
⑥{象の鼻、 兎の鼻、 馬の鼻}であるならば、
であるため、
①≒⑤ ではなく、
⑥ である。
(16)
④ ~(象x&鼻yx)
⑥   ~象x&鼻yx
は、「正確」には、
④ ~(象x&鼻yx)
⑥ ~(象x)&鼻yx
であって、
④ は、「象の鼻以外」であって、
⑥ は、「象以外の鼻」であるため、
⑥ である。