日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(428)「私が理事長です」の「述語論理」。

2019-12-15 21:23:57 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
よく知られているように、「私理事長です」は語順を変え、
 理事長は、私です。
と直して初めて主辞賓辞が適用されのである。また、かりに大倉氏が、
 タゴール記念会は、私が理事です。
と言ったとすれば、これは主辞「タゴール記念会」を品評するという心持ちの文である。
(三上章、日本語の論理、1963年、40・41頁)
然るに、
(02)
① 私は、タゴール記念会の理事長であるが、
② タゴール記念会の理事長は、「一人だけである。然るに、
③ 倉田氏は私ではない。従って、
④ タゴール記念会ならば、倉田氏は理事長ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
然るに、
(03)
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx]}
② ∀x{T会の会員x→∃y[理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
③ ∃z(倉田z&~私z)
④ ∀x{T会の会員x→∃z(倉田z&~理事長zx)}
といふ「述語論理」は、すなはち、
① すべてのxについて、xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは私であって、私はxの理事長である。
② すべてのxについて、xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyはxの理事長であって、すべてのzについて、zがxの理事長であるならば、yはzと「同一」である。
③ あるzは倉田といふが、zは私ではない。
④ すべてのxについて、xがタゴール記念会の会員であるならば、あるzは倉田であって、zはxの理事長ではない。
といふ「述語論理」に、相当する。
然るに、
(04)
1       (1)∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx]}                       A
 2      (2)∀x{T会の会員x→∃y[理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]} A
1       (3)   T会の会員a→∃y[私y&理事長ya]             1UE
 2      (4)   T会の会員a→∃y[理事長ya&∀z(理事長za→y=z)]  2UE
  5     (5)   T会の会員a                           A
1 5     (6)          ∃y[私y&理事長ya]             35MPP
   7    (7)             私b&理事長ba              A
   7    (8)             私b                    7&E
 25     (9)          ∃y[理事長ya&∀z(理事長za→y=z)]  45MPP
    ア   (ア)             理事長ba&∀z(理事長za→b=z)   A
    ア   (イ)                   ∀z(理事長za→b=z)   ア&E
    ア   (ウ)                      理事長ca→b=c    ウUE        
     エ  (エ)       ∃z(倉田z&~私z)                   A
      オ (オ)          倉田c&~私c                    A
      オ (カ)          倉田c                        カ&E
      オ (キ)              ~私c                    カ&E
       ク(ク)                b=c                  A
      オク(ケ)              ~私b                    キク=E
   7  オク(コ)            ~私b&私b                 8ケ&I
   7  オ (サ)              b≠c                  クコRAA
   7ア オ (シ)                     ~理事長ca        ウサMTT
   7ア オ (ス)        倉田c&~理事長ca                 カシ&I
   7ア オ (セ)     ∃z(倉田c&~理事長ca)                スEI
   7アエ  (ソ)     ∃z(倉田c&~理事長ca)                エオセEE
 257 エ  (タ)     ∃z(倉田c&~理事長ca)                9アソEE
125  エ  (チ)     ∃z(倉田c&~理事長ca)                67タEE
12   エ  (ツ)   T会の会員a→∃z(倉田c&~理事長ca)           5チCP
12   エ  (テ)∀x{T会の会員x→∃z(倉田z&~理事長zx)}          ツUI
従って、
(02)(03)(04)により、
(05)
① 私は、タゴール記念会の理事長であるが、
② タゴール記念会の理事長は、「一人だけである。然るに、
③ 倉田氏は私ではない。従って、
④ タゴール記念会ならば、倉田氏は理事長ではない。
といふ「推論」は、「日本語」として、「妥当」であり、
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx]}
② ∀x{T会の会員x→∃y[理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
③ ∃z(倉田z&~私z)∴
④ ∀x{T会の会員x→∃z(倉田z&~理事長zx)}
といふ「推論」は、「述語論理」として、「妥当」である。
然るに、
(06)
② ∀x{T会の会員x→∃y[理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}
といふ「1行」を除いた
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx]}
③ ∃z(倉田z&~私z)∴
④ ∀x{T会の会員x→∃z(倉田z&~理事長zx)}
といふ「論証(Argument)」は、「述語論理」としては、固より、「証明不能」である。
従って、
(05)(06)により、
(07)
① 私は、タゴール記念会の理事長であるが、
③ 倉田氏は私ではない。従って、
④ タゴール記念会ならば、倉田氏は理事長ではない。
といふ「論証(Argument)」が、「日本語」として、「妥当」であるならば、その場合は、
② タゴール記念会の理事長は、「一人だけである。
といふことが、「暗黙の前提」になってゐる。
従って、
(06)(07)により、
(08)
① タゴール記念会は、私理事です。然るに、
③ 倉田氏は私ではない。従って、
④ タゴール記念会ならば、倉田氏は理事長ではない。
といふ「推論」が、「日本語」として、「妥当」であるならば、その場合は、
② タゴール記念会の理事長は、「一人だけである。⇔
② ∀x{T会の会員x→∃y[理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}⇔
② すべてのxについて、xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyはxの理事長であって、すべてのzについて、zがxの理事長であるならば、yはzと「同一」である。
といふことが、「暗黙の前提」になってゐる。
従って、
(08)により、
(09)
① タゴール記念会は、私理事です。
といふ「日本語」は、
① タゴール記念会は、一人、私だけ理事です。
といふ、「意味」になる。
従って、
(01)(09)により、
(10)
① タゴール記念会は、私理事です。
① タゴール記念会の理事長は私です。
といふ「日本語」は、
① ∀x{T会の会員x→∃y[私y&理事長yx&∀z(理事長zx→y=z)]}⇔
① すべてのxについて、xがタゴール記念会の会員であるならば、あるyは私であって、yはxの理事長であって、すべてのzについて、zがxの理事長であるならば、yはzと「同一」である。
といふ、「意味」になる。
従って、
(10)により、
(11)
① 私理事です。
理事長は私です。
といふ「日本語」は、
① 私は理事長であり、私以外は理事長ではない
といふ、「意味」になる。
従って、
(12)
三上章先生は、まず最初に、
① 私は理事長であり、私以外は理事長ではない
といふ「意味」である所の、
① 私理事です。
理事長は私です。
といふ「日本語の文法」を論じるべきである。
然るに、
(13)
「三上章、象は鼻が長い、1960年」、「三上章、日本語の論理、1963年」等を読む限り、三上章先生は、
AはBである=AはBである。
Bである=AはBであり、A以外はBではない
といふことには、気付いてゐないし、仮に、気付いてゐたとしても、重視は、してゐない。
(14)
助詞「は」の代行の性質とは、たとえば、「大根葉を捨てます」(料理番組)の場合、この「は」は「大根の葉」の「の」の代わり(代行)であるという考え方です。これによって、「象は鼻が長い」も「象の鼻が長いこと」の意味であり、「この本は父が買ってくれた」も「この本を父が買ってくれた」の意味であるという、簡単な説明ができるようになるのです。そして、なぜ代行するのかといいうと、それは、文の《題目》を示すためであるというふうに話が進行し、日本語には主語がなく、《題目》を中核とした言語であるという著者の主張が展開されていきます。日本語の「は」の性格を初めて明確化した著書として、この本は現在の学界でも広く知られています(象は鼻長い - 青山学院大学 文学部)。
(15)
1    (1)∀x{大根x→∃y(葉yx)&∃z(あなたz&捨zy)} A
 2   (2)∃z(あなたz&~捨zy)                A
1    (3)   大根a→∃y(葉ya)&∃z(あなたz&捨zy)  1UE
  4  (4)   大根a                       A
1 4  (5)       ∃y(葉ya)&∃z(あなたz&捨zy)  34MPP
1 4  (6)               ∃z(あなたz&捨zy)  5&E
   7 (7)                  あなたc&捨cy   A
   7 (8)                       捨cy   7&E
    9(9)   あなたc&~捨cy                 A
    9(ア)        ~捨cy                 9&E
   79(イ)        ~捨cy&捨cy             8ア&I
 2 7 (ウ)        ~捨cy&捨cy             29イEE
124  (エ)        ~捨cy&捨cy             67ウEE
12   (オ)  ~大根a                       4エRAA
12   (カ)∃x~大根x                       オEI
12   (〃)あるxは大根でない。                   オEI
従って、
(15)により、
(16)
(1)あなたは、大根の葉を捨てます。 然るに、
(2)あなたは、その葉を、捨てない。 従って、
(カ)あるxは、大根ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(14)(15)(16)により、
(17)
① 大根は葉を捨てます。⇔
① ∀x{大根x→∃y(葉yx)&∃z(あなたz&捨zy)}⇔
① すべてのxについて、xが大根であるならば、あるyはxの葉であって、あるzはあなたであって、zはyを捨てます。
といふ「意味」である。
といふことこそが、「大事」なのであって、『この「は」は「大根の葉」の「の」の代わり(代行)であるという考え方です。』といふことは、どうでも良いと、考へます。


(427)「象が鼻は長い」の「述語論理」。

2019-12-15 15:01:47 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
① 象は鼻は長い。
② 兎は耳は長い。
といふのであれば、
①「象の鼻以外」については、何も言ってはゐない
②「兎の耳以外」については、何も言ってはゐない
従って、
(01)により、
(02)
① 象は鼻は長い。
② 兎は耳は長い。
といふのであれば、
① 象は、鼻だけでなく、耳も長い。のかも知れないし、
② 兎は、耳だけでなく、鼻も長い。のかも知れない。
然るに、
(03)
① 象は、鼻だけでなく、耳も長い。のかも知れないし、
② 兎は、耳だけでなく、鼻も長い。のかも知れない。
といふのであれば、
① 象は、鼻と耳が長い。のかも知れないし、
② 象も、鼻と耳が長い。のかも知れない。
然るに、
(04)
① 象は、鼻と耳が長い。のかも知れないし、
② 象も、鼻と耳が長い。のかも知れない。
といふのであれば、
① 象は鼻は長い(が、耳も長い?)。然るに、
② 兎は耳は長い(が、鼻も長い?)。故に、
③ 兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。
といふ「推論」は、「妥当」ではない
然るに、
(05)
① 象は鼻は長い。然るに、
② 兎は耳は長い。故に、
③ 兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。
といふ「推論」ではなく、
① 象は鼻長い。然るに、
② 兎は耳長い。故に、
③ 兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(01)~(05)により、
(06)
① 象は鼻長い。
② 兎は耳長い。
といふのであれば、
①「象の鼻以外は、長くない。」と言ってゐて、
②「兎の耳以外は、長くない。」と言ってゐる。
従って、
(06)により、
(07)
① 象は鼻長い。
② 兎は耳長い。
ではなく、
① 象鼻は長い。
② 兎耳は長い。
といふのであれば、
①「象以外は、鼻は長くない。」と言ってゐて、
②「兎以外は、耳は長くない。」と言ってゐる。
従って、
(07)により、
(08)
① 象鼻は長い。
② 兎耳は長い。
といふのであれば、
①「象は、鼻は長く、象以外は、鼻は長くない」と言ってゐて、
②「兎は、耳は長く、兎以外は、耳は長くない」と言ってゐる。
然るに、
(09)
① 象以外は、鼻は長くない。⇔
① ∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}⇔
① すべてのxについて、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、yが長い、といふことはない
然るに、
(10)
対偶(Contraposition)」は「等しい」が故に、
① 象以外は、鼻は長くない。⇔
① ∀x{~象x→~∃y(鼻yx&長y)}⇔
① すべてのxについて、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、yが長い、といふことはない。
といふ「命題」は、
② 鼻長いならば、象である。⇔
② ∀x{∃y(鼻yx&長y)→象x}⇔
② すべてのxについて、あるyがxの鼻であって、yが長いならば、xは象である。
といふ「命題」に「等しい」。
然るに、
(11)
③ 象は鼻は長い。⇔
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)}⇔
③ すべてのxについて、xが象でないならば、あるyはxの鼻であって、yは長い。
従って、
(10)(11)により、
(12)
① 象は鼻は長く、象以外は、鼻は長くない
② 象は鼻は長く、鼻が長いならば象である。
に於いて、すなはち、
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃y(鼻yx&長y)→象x}
に於いて、
①=② である。
然るに、
(13)
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃y(鼻yx&長y)→象x}
といふ「論理式」は、「省略記号(Abbreviation)」を用ひて、
③ ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)}⇔
③ すべてのxについて、xが象でないならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって、yは長い。
といふ風に、書くことが、出来る。
従って、
(12)(13)により、
(14)
「番号」を付け直すと、
① ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)}
② ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∃y(鼻yx&長y)→象x}
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて、xが象であるならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって、yは長い。
② すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるyがxの鼻であって、yが長いならば、xは象である。
③ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、xは象でないならば、あるyがxの鼻であって、yが長い、といふことはない。
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(15)
③ ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
③ すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって、xは象でないならば、あるyがxの鼻であって、yが長い、といふことはない。
といふことは、
① 象は、鼻は長く、象以外は、鼻は長くない
といふ、ことである。
従って、
(08)(14)(15)により、
(16)
① 象鼻は長い。⇔
① 象は、鼻は長く、象以外は、鼻は長くない。⇔
① ∀x{象x⇔∃y(鼻yx&長y)}   ⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
① すべてのxについて、xが象でないならば、そのときに限って、あるyはxの鼻であって、yは長い。⇔
① すべてのxについて、xが象でないならば、あるyはxの鼻であって、yは長く、あるyがxの鼻であって、yが長いならば、xは象である。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(17)
① すべてのxがFである。といふことはない。
といふことは、
あるxはFでない(Fでないxが存在する)。
といふ、ことである。
cf.
(ⅱ)
1  (1)  ~∀xFx       A
 2 (2) ~∃x~Fx       A
  3(3)    ~Fa       A
  3(4)  ∃x~Fx       3EI
 23(5) ~∃x~Fx&∃x~Fx 24&I
 2 (6)   ~~Fa       35RAA
 2 (7)     Fa       6DN
 2 (8)   ∀xFx       6UI
12 (9) ~∀xFx&∀xFx   17&I
1  (ア)~~∃x~Fx       29RAA
1  (イ)  ∃x~Fx       アDN
すべてのxがFであるわけではない。├ あるxはFでない。
(ⅱ)
1  (1) ∃x~Fx A
 2 (2)   ~Fa A
  3(3)  ∀xFx A
  3(4)    Fa 3UE
 23(5)~Fa&Fa 24&I
 2 (6) ~∀xFx 35RAA
1  (7) ~∀xFx 126EE
あるxはFでない。├ すべてのxがFであるわけではない。
従って、
(16)(17)により、
(18)
「量化子の関係」により、
①  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
② ∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、
① の「否定」は、② であり、
② の「否定」は、① である。
然るに、
(19)
(ⅱ)
1    (1)∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y)& ~象x→~∃y(鼻yx&長y)}  A
 2   (2)  ~{象a→∃y(鼻ya&長y)& ~象a→~∃y(鼻ya&長y)}  A
 2   (3)~[象a→∃y(鼻ya&長y)]∨~[~象a→~∃y(鼻ya&長y)]  2ド・モルガンの法則
 2   (4) [象a→∃y(鼻ya&長y)]→~[~象a→~∃y(鼻ya&長y)]  3含意の定義
  5  (5) {象a→∃y(鼻ya&長y)}                     A
 25  (6)                 ~[~象a→~∃y(鼻ya&長y)]  45MPP
   7 (7)                    象a∨~∃y(鼻ya&長y)   A
   7 (8)                   ~象a→~∃y(鼻ya&長y)   7含意の定義
 257 (9)                 ~[~象a→~∃y(鼻ya&長y)]&
                          [~象a→~∃y(鼻ya&長y)]  68&I
 25  (ア)                  ~[象a∨~∃y(鼻ya&長y)]  79RAA
 25  (イ)                   ~象a& ∃y(鼻ya&長y)   アド・モルガンの法則
 2   (ウ) {象a→∃y(鼻ya&長y)}→  ~象a& ∃y(鼻ya&長y)   5イCP
    エ(エ)  象a&∃y(鼻ya&長y)                      A
    エ(オ)  象a                                 エ&E
 2  エ(カ)     ∃y(鼻ya&長y) →  ~象a& ∃y(鼻ya&長y)   ウオMPP
    エ(キ)     ∃y(鼻ya&長y)                      エ&E
 2  エ(ク)                   ~象a& ∃y(鼻ya&長y)   カキMPP
 2   (ケ)    象a&∃y(鼻ya&長y)→ ~象a& ∃y(鼻ya&長y)   エクCP
 2   (コ) ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→ ~象x& ∃y(鼻yx&長y)}  ケEI
1    (サ) ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→ ~象x& ∃y(鼻yx&長y)}  12コEE
(ⅲ)
1     (1)  ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→  ~象x& ∃y(鼻yx&長y)}  A
 2    (2)     象a&∃y(鼻ya&長y)→  ~象a& ∃y(鼻ya&長y)   A
  3   (3)     象a                                A
   4  (4)        ∃y(鼻ya&長y)                     A
  34  (5)     象a&∃y(鼻ya&長y)                     34&I
 234  (6)                     ~象a& ∃y(鼻ya&長y)   25MPP
 23   (7)        ∃y(鼻ya&長y)→  ~象a& ∃y(鼻ya&長y)   46CP
 2    (8)     象a→∃y(鼻ya&長y)→  ~象a& ∃y(鼻ya&長y)   37CP
    9 (9)     象a→∃y(鼻ya&長y)                     A
 2  9 (ア)                     ~象a& ∃y(鼻ya&長y)   8アMPP
 2  9 (イ)                    ~[象a∨~∃y(鼻ya&長y)]  イ、ド・モルガンの法則
     ウ(ウ)                     ~象a→~∃y(鼻ya&長y)   A
     ウ(エ)                      象a∨~∃y(鼻ya&長y)   ウオ含意の定義
 2  9ウ(オ)                    ~[象a∨~∃y(鼻ya&長y)]&
                              [象a∨~∃y(鼻ya&長y)]  イエ&I
 2  9 (カ)                   ~[~象a→~∃y(鼻ya&長y)]  ウオRAA
 2    (キ)    象a→∃y(鼻ya&長y)→ ~[~象a→~∃y(鼻ya&長y)]  9カCP
 2    (ク)  ~[象a→∃y(鼻ya&長y)]∨~[~象a→~∃y(鼻ya&長y)]  キ含意の定義
 2    (ケ)  ~{象a→∃y(鼻ya&長y) &  ~象a→~∃y(鼻ya&長y)}  ク、ド・モルガンの法則
 2    (コ)∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y) &  ~象x→~∃y(鼻yx&長y)}  ケEI
1     (サ)∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y) &  ~象x→~∃y(鼻yx&長y)}  12コEE
従って、
(19)により、
(20)
② ∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
③   ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→~象x& ∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(18)(19)(20)により、
(21)
「量化子の関係」により、
①  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
② ∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
③   ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→~象x& ∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、
① の「否定」は、② であり、
② の「否定」は、① であり、
②=③ である。
従って、
(21)により、
(22)
①  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
③   ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→~象x& ∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、
① の「否定」は、③ であり、
③ の「否定」は、① である。
従って、
(23)
①  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
③   ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→~象x& ∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、
① の「否定」は、③ に「等しく」、
③ の「否定」は、① に「等しい」。
従って、
(23)により、
(24)
①  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}
③ ~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→~象x& ∃y(鼻yx&長y)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であるが、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、yが長い、といふことはない。
③ xが象であって、あるyがxの鼻であって、長いならば、xが象でなくて、あるyがxの鼻であって、長い。といふ、そのやうなxは存在しない。
に於いて、
①=③ である。
然るに、
(25)
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であるが、xが象でないならば、あるyがxの鼻であって、yが長い、といふことはない。
③ xが象であって、あるyがxの鼻であって、長いならば、xが象でなくて、あるyがxの鼻であって、長い。といふ、そのやうなxは存在しない。
といふことは、
① 象は鼻は長く、象以外は、鼻は長くない
③ 象は鼻は長く、兎の鼻は、長くない
といふ、ことである。
従って、
(16)(25)により、
(26)
① 象鼻は長い。⇔
① 象は、鼻は長く、象以外は、鼻は長くない
といふ「日本語」は、
①  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
③ ~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→~象x& ∃y(鼻yx&長y)}。
といふ「述語論理」に、相当する。
然るに、
(27)
1  (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)} A
 2 (2)∀x(兎x→~象x)                        A
1  (3)   象a→∃y(鼻ya&長y)&~象a→~∃y(鼻ya&長y)  1UE
 2 (4)   兎a→~象a                         2UE
1  (5)                 ~象a→~∃y(鼻ya&長y)  4&E
  6(6)   兎a                             A
 26(7)      ~象a                         46MPP
126(8)                      ~∃y(鼻ya&長y)  57MPP
126(9)                     ∀y~(鼻ya&長y)  8量化子の関係
126(ア)                       ~(鼻ba&長b)  9UE
126(イ)                       ~鼻ba∨~長b   ア、ド・モルガンの法則
126(ウ)                        鼻ba→~長b   イ含意の定義
126(エ)                     ∀y(鼻ya→~長y)  ウUI
12 (オ)    兎a→∀y(鼻ya→~長y)                 6エCP
12 (カ)∀x{兎x→∀y(鼻yx→~長y)}                オUI          
従って、
(27)により、
(28)
(1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&~象x→~∃y(鼻yx&長y)}。
(2)∀x(兎x→~象x)。 
(カ)∀x{兎x→∀y(鼻yx→~長y)}。
といふ「推論」、すなはち、
(1)象は、鼻は長く、象以外は、鼻は長くない。 然るに、
(2)兎は象ではない。 従って、
(カ)兎は、鼻は長くない
といふ「推論」は、「妥当」である。
(29)
伝統的論理学を速水滉『論理学』(16)で代表させよう。わたしのもっているのが四十三年の第十九刷一万部中の一冊で、なお引続き刊行だろうから、前後かなり多く読者を持つ論理学書と考えられる。新興の記号論理学の方は、沢田充茂の『現代論理学入門』(62)を参照することにする(三上章、日本語の論理、1963年、4頁)。
然るに、
(30)
三上章先は、「象長い」や、「象」や、「鼻長い」や、「象長い。」といった「日本語」を、自分自身で、「現代論理学の言葉(述語論理)」に訳されてゐるわけではない。
(31)
三上章先生は、「三上章、日本語の論理、1963年」の中で、「英語」と「日本語」を比較されることはあっても、「現代論理学の言葉(述語論理)」と比較して、「日本語」を、論じてゐるわけではない。