(01)
象は 鼻が長い。
「象」はこの文の主題です。「鼻は長い」は全体で「象の説明」を行っているという構造をしています。これがもし「象の鼻が長い」であれば、単に「象の鼻=長い」といっているだけで、「象」が主題となっているとは言えません。ところが、「象は鼻が長い」にすると、「象について言えば、鼻が長い」という意味になります。
(橋本陽介、日本語の謎を解く、2016年、141・142頁)
然るに、
(02)
① すべてのxについて、xが象であるならば、xは動物である。⇔
① すべての象について、象をxとするならば、xは動物である。⇔
① ∀x(象x→動物x)⇔
① 象は動物である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
「象は」は「(すべての)象について言えば、」という意味である。
「∀x{象x」は「(すべての)象について言えば、」という意味である。
然るに、
(04)
② Elephants are animals. ⇔
② ∀x(ELEPHANTx→ANIMALx)⇔
② For all x, if x is an elephant then x is an animal. ⇔
② すべての象について、象をxとするならば、xは動物である。
従って、
(03)(04)により、
(05)
「象は」は「(すべての)象について言えば、」という意味である。
「Elephants」は「(すべての)象について言えば、」という意味である。
従って、
(01)(05)により、
(06)
「象は」が「主題」であるならば、
「Elephants」も「主題」である。
然るに、
(07)
② Elephants are animals.
に於いて、
② Elephants は「主語」である。
従って、
(01)~(07)により、
(08)
① 象は動物である。
② Elephants are animals.
に於いて、
「Elephants」が「主語」であるならば、
「象は」も「主語」である。
(09)
(ⅲ)
1 (1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y} A
1 (2) ∀y{象a&鼻ya→長y&~象a&鼻ya→~長y} 1UE
1 (3) 象a&鼻ba→長b&~象a&鼻ba→~長b 2UE
1 (4) ~象a&鼻ba→~長b 3&E
5 (5) 長b A
5 (6) ~~長b 5DN
15 (7) ~(~象a&鼻ba) 46MTT
15 (8) 象a∨~鼻ba 7ド・モルガンの法則
15 (9) ~鼻ba∨象a 8交換法則
15 (ア) 鼻ba→象a 9含意の定義
1 (イ) 長b→鼻ba→象a 5アCP
ウ(ウ) 長b&鼻ba A
ウ(エ) 長b ウ&E
1 ウ(オ) 鼻ba→象a イエMPP
ウ(カ) 鼻ba ウ&E
1 ウ(キ) 象a オカMPP
1 (ク) 長b&鼻ba→象a ウキCP
1 (ケ) 象a&鼻ba→長b 3&E
1 (コ) 象a&鼻ba→長b&長b&鼻ba→象a クケ&I
1 (サ) ∀y{象a&鼻ya→長y&長y&鼻ya→象a} コUI
1 (シ)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&長y&鼻yx→象x} サUI
1 (〃)すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、yが長く、yがxの鼻ならば、xは象である。 サUI
1 (〃)象の鼻ならば長く、長い鼻ならば、象である。 サUI
(ⅳ)
1 (1)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&長y&鼻yx→象x} A
1 (2) ∀y{象a&鼻ya→長y&長y&鼻ya→象a} 1UE
1 (3) 象a&鼻ba→長b&長b&鼻ba→象a 2UE
1 (4) 長b&鼻ba→象a 3&E
5 (5) ~象a A
15 (6) ~(長b&鼻ba) 45MTT
15 (7) ~長b∨~鼻ba 6ド・モルガンの法則
15 (8) ~鼻ba∨~長b 7交換法則
15 (9) 鼻ba→~長b 8含意の定義
1 (ア) ~象a→鼻ba→~長b 59CP
イ(イ) ~象a&鼻ba A
イ(ウ) ~象a イ&E
1 イ(エ) 鼻ba→~長b アウMPP
イ(オ) 鼻ba イ&E
1 イ(カ) ~長b エオMPP
1 (キ) ~象a&鼻ba→~長b イカCP
1 (ク) 象a&鼻ba→長b 3&E
1 (ケ) 象a&鼻ba→長b&~象a&鼻ba→~長b キク&I
1 (コ) ∀y{象a&鼻ya→長y&~象a&鼻ya→~長y} ケUI
1 (サ)∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y} コUI
1 (〃)すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
従って、
(09)により、
(10)
③ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y}
④ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y& 長y&鼻yx→ 象x}
に於いて、すなはち、
③ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
④ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、yが長く、yがxの鼻ならば、xは象である。
に於いて、
③=④ である。
従って、
(10)により、
(11)
③ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
④ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、yが長く、yがxの鼻ならば、xは象である。
に於いて、すなはち、
③ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。
④ 象の鼻は長く、長い鼻ならば象である。
に於いて、
③=④ である。
然るに、
(12)
{馬、兎、象}であるならば、
③ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。
④ 象の鼻は長く、長い鼻ならば象である。
然るに、
(13)
{馬、兎、象}であるならば、
① 顔は、馬は長く、馬以外(兎と象)は長くない。
② 耳は、兎は長く、兎以外(馬と象)は長くない。
③ 鼻は、象は長く、象以外(馬と兎)は長くない。
従って、
(13)により、
(14)
{馬、兎、象}であるならば、
① 馬の顔が長く、
② 兎の耳が長く、
③ 象の鼻が長い。
従って、
(10)~(14)により、
(15)
③ 象の鼻が長い。⇔
③ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。⇔
③ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y&~象x&鼻yx→~長y}⇔
③ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長く、xが象ではなくて、yがxの鼻であるならば、yは長くない。
といふ「等式」が成立する。
従って、
(15)により、
(16)
④ 象の鼻は長い。⇔
④ ∀x∀y{象x&鼻yx→長y}⇔
④ すべてのxとyについて、xが象であり、yがxの鼻であるならば、yは長い。
といふ「等式」が成立する。
従って、
(15)(16)により、
(17)
「番号」を付け直すと、
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
② 象の鼻が長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。
といふ「等式」が成立する。
従って、
(14)(17)により、
(18)
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
② 象の鼻が長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。
に於いて、
① の{変域(ドメイン)}は{象}だけであって、
② の{変域(ドメイン)}は{馬}&{兎}&{象}である。
従って、
(19)
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
② 象の鼻が長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。
に於いて、
① は、「象」だけを「取り上げてゐる」が、
② は、「象、兎、馬」に「言及」してゐる。
従って、
(19)により、
(20)
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
② 象の鼻が長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。
に於いて、
① は、「象の鼻」を「話題(主題)」にしてゐるが、
② は、「象の鼻と、その他の鼻」を「話題(主題)」にしてゐる。
従って、
(20)により、
(21)
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
② 象の鼻が長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。
に於いて、「象の鼻」を「主題」にしてゐるのは、「どちらか」と問はれるならば、
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
が、さうである。
然るに、
(08)により、
(22)
① 象の鼻は長い。⇔ 象の鼻は長い。
に於いても、
①「象の鼻」は、「主語(Subject)」である。
然るに、
(23)
② 象の鼻が長い。⇔ 象の鼻は長く、象以外の鼻は長くない。
であるが故に、
③ 鼻が長い。⇔ 鼻は長く、鼻以外は長くない。
でなければ、ならない。
従って、
(23)により、
(24)
③ 鼻が長い。⇔ 鼻は長く、鼻以外は長くない。
であるが故に、
③ 象は鼻が長い。⇔ 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。
でなければ、ならない。
従って、
(24)により、
(25)
① 象は鼻が長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(26)
② 兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。⇔
② ∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)}⇔
② すべてのxについて、xが兎であるならば、あるyはxの耳であって長く、すべてのzについて、zがxの耳でないならば、zは長くないが、zはxの鼻ではない。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(27)
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
3 (3)∃x(象x&兎x) A
1 (4) 象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 1UE
2 (5) 兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za) 2UE
6 (6) 象a&兎a A
6 (7) 兎a 6&E
6 (8) 兎a 6&E
1 6 (9) ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z) 47MPP
2 6 (ア) ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za) 58MPP
1 6 (イ) ∃y(鼻ya&長y) 9&E
ウ (ウ) 鼻ba&長b A
1 6 (エ) ∀z(~鼻za→~長z) 9&E
1 6 (オ) ~鼻ba→~長b エUE
2 6 (カ) ∃y(耳ya&長y) ア&E
キ(キ) 耳ba&長b A
2 6 (ク) ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za) ア&E
2 6 (ケ) ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba クUE
2 6 (コ) 耳ba→~鼻ba ケ&E
キ(サ) 耳ba キ&E
2 6 キ(シ) ~鼻ba コサMPP
12 6 キ(ス) ~長b オシMPP
ウ (セ) 長b ウ&E
12 6ウキ(ソ) 長b&~長b シス&I
12 6ウ (タ) 長b&~長b カキソEE
12 6 (チ) 長b&~長b イウタEE
123 (ツ) 長b&~長b 36チEE
12 (テ)~∃x(象x&兎x) 3ツRAA
12 (ト)∀x~(象x&兎x) テ量化子の関係
12 (ナ) ~(象a&兎a) トUE
12 (ニ) ~象a∨~兎a ナ、ド・モルガンの法則
12 (ヌ) ~兎a∨~象a ニ交換法則
12 (ネ) 兎a→~象a ヌ含意の定義
12 (ノ)∀x(兎x→~象x) ネUI
12 (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。 ネUI
12 (〃)兎は象ではない。 ネUI
従って、
(25)(26)(27)により、
(28)
1 (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} A
2 (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
12 (ノ)∀x(兎x→~象x) ネUI
といふ「推論」、すなはち、
(1)象は鼻が長い。然るに、
(2)兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(3)兎は象ではない。
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(25)~(28)により、
(29)
「逆」に言へば、
(1)象は鼻が長い。然るに、
(2)兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
(3)兎は象ではない。
といふ「推論」は、「妥当」であるが故に、
① 象は鼻が長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」は、「正しい」。
従って、
(29)により、
(30)
仮に、
① 象は鼻が長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」が、「マチガイ」であるならば、「述語論理(Predicate logic)そのもの」が、「正しくはない」。
然るに、
(31)
「一階述語論理の完全性定理」によれば、「述語論理(Predicate logic)」は、「完全」である。
従って、
(30)(31)により、
(32)
① 象は鼻が長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyはxの鼻であって長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」は、「正しい」。