日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(440)「三上章 著、象は鼻が長い。」

2019-12-29 20:07:07 | 象は鼻が長い、述語論理。

(01)
①{象、机}
に於いて、
①{象動物である。}は、「本当」である。
cf.
Which is an animal?
(02)
②{象、兎}
に於いて、
②{象動物である。}は、「ウソ」である。
従って、
(01)(02)により、
(03)
①{象、□}
に於いて、
① □動物でない。ならば、そのときに限って、
①{象動物である。}は、「本当」である。
従って、
(03)により、
(04)
① 象動物である。⇔
① 象は動物であり、象以外は動物ではない
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(04)により、
(05)
① 鼻長い。⇔
① 鼻は長く、鼻以外は長くない
といふ「等式」が、成立する。
従って、
(05)により、
(06)
① 象は鼻長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(07)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
  3   (3)∃x(象x&兎x)                               A
1     (4)   象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)           1UE
 2    (5)   兎a→∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  2UE
   6  (6)   象a&兎a                                A
   6  (7)   兎a                                   6&E
   6  (8)      兎a                                6&E
1  6  (9)      ∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)           47MPP
 2 6  (ア)      ∃y(耳ya&長y)&∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  58MPP
1  6  (イ)      ∃y(鼻ya&長y)                        9&E
    ウ (ウ)         鼻ba&長b                         A
1  6  (エ)                 ∀z(~鼻za→~長z)           9&E
1  6  (オ)                    ~鼻ba→~長b            エUE
 2 6  (カ)      ∃y(耳ya&長y)                        ア&E
     キ(キ)         耳ba&長b                         A
 2 6  (ク)                 ∀z(~耳za→~長z&耳za→~鼻za)  ア&E
 2 6  (ケ)                    ~耳ba→~長b&耳ba→~鼻ba   クUE
 2 6  (コ)                             耳ba→~鼻ba   ケ&E
     キ(サ)         耳ba                            キ&E
 2 6 キ(シ)                                 ~鼻ba   コサMPP
12 6 キ(ス)                         ~長b            オシMPP
    ウ (セ)             長b                         ウ&E
12 6ウキ(ソ)             長b&~長b                     シス&I 
12 6ウ (タ)             長b&~長b                     カキソEE 
12 6  (チ)             長b&~長b                     イウタEE
123   (ツ)             長b&~長b                     36チEE
12    (テ)~∃x(象x&兎x)                              3ツRAA
12    (ト)∀x~(象x&兎x)                              テ量化子の関係
12    (ナ)  ~(象a&兎a)                              トUE
12    (ニ)  ~象a∨~兎a                               ナ、ド・モルガンの法則
12    (ヌ)  ~兎a∨~象a                               ニ交換法則
12    (ネ)   兎a→~象a                               ヌ含意の定義
12    (ノ)∀x(兎x→~象x)                              ネUI
12    (〃)すべてのxについて、xが兎であるならば、xは象ではない。            ネUI
12    (〃)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。                ネUI
従って、
(07)により、
(08)
1     (1)∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}          A
 2    (2)∀x{兎x→∃y(耳yx&長y)&∀z(~耳zx→~長z&耳zx→~鼻zx)} A
12    (ノ)∀x(兎x→~象x)                              ネUI
といふ「推論」、すなはち、
      (1)象は鼻長い。然るに、
      (2)兎は耳が長いが、兎の耳は鼻ではない。従って、
      (3)兎は象ではない(Rabbits can not be elephants)。 
といふ「推論」は、「妥当」である。
従って、
(06)(07)(08)により、
(09)
① 象は鼻長い。⇔
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない。⇔
① ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}⇔
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyは、xの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
といふ「等式」が、成立する。
然るに、
(10)
①  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}の「否定」、すなはち、
∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}を「計算」すると、次(11)の通りである。
(11)
(ⅱ)
1    (1)~∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}  A
1    (2)∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}  1量化子の関係
 3   (3)  ~{象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)}  A
  4  (4)  ~象a∨{∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)}  A
  4  (5)    象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)   4含意の定義
 34  (6)  ~{象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)}&
           {象a→∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)}  35&I
 3   (7)~[~象a∨{∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)}] 46RAA
 3   (8)  象a&~{∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)}  4ド・モルガンの法則
 3   (9)  象a                             8&E
 3   (ア)     ~{∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)}  8&E
 3   (イ)     ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z)   ア、ド・モルガンの法則
  9  (ウ)                 ~∀z(~鼻za→~長z)   A
  9  (エ)                 ∃z~(~鼻za→~長z)   イ量化子の関係
   イ (オ)                   ~(~鼻ba→~長b)   A
   イ (カ)                    ~(鼻ba∨~長b)   オ含意の定義
   イ (キ)                      ~鼻ba&長b    カ、ド・モルガンの法則
   イ (ク)                   ∃z(~鼻za&長z)   キ、EI
  9  (ケ)                   ∃z(~鼻za&長z)   エオキEE
  9  (コ)       ~∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)   ケ∨I
    サ(サ)       ~∃y(鼻ya&長y)               A
    サ(シ)        ~∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)   サ∨I
 3   (ス)       ~∃y(鼻ya&長y)∨∃z(~鼻za&長z)   イウコサシ∨E
 3   (セ)        ∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za&長z)   ス含意の定義
 3   (ソ)     象a&∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za&長z)   9セ&I
 3   (タ)  ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}  ソEI
1    (チ)  ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)}  23タEE
(ⅲ)
1    (1)  ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&長z)} A
 2   (2)     象a&∃y(鼻ya&長y)→∃z(~鼻za&長z)  A
 2   (3)     象a                         2&E
  4  (4)        ∃y(鼻ya&長y)              A
 24  (5)     象a&∃y(鼻ya&長y)              34&I
 24  (6)                   ∃z(~鼻za&長z)  25MPP
   7 (7)                      ~鼻ba&長b   A
   7 (8)                    ~(鼻ba∨~長b)  7ド・モルガンの法則
   7 (9)                   ~(~象ba→~長b)  8含意の定義
   7 (ア)                 ∃z~(~象za→~長z)  9EI
 24  (イ)                 ∃z~(~象za→~長z)  67アEE
 24  (ウ)                 ~∀z(~象za→~長z)  イ量化子の関係
 2   (エ)      ∃y(鼻ya&長y)→~∀z(~象za→~長z)  4ウCP
 2   (オ)     ~∃y(鼻ya&長y)∨~∀z(~鼻za→~長z)  エ含意の定義
 2   (カ)     ~{∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)} オ、ド・モルガンの法則
 2   (キ)  象a&~{∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)} 2カ&I
 2   (ク) ~{~象a∨∃y(鼻ya&長y)&∀z(~鼻za→~長z)} キ、ド・モルガンの法則
 2   (ケ)  ~{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} ク、含意の定義
 2   (コ)∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} ケEI
1    (サ)∃x~{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} 12コEE
1    (シ)~∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)} サ量化子の関係
従って、
(11)により、
(12)
② ~∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
③   ∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&  長z)}
に於いて、
②=③ である。
従って、
(10)(12)により、
(13)
二重否定律(DN)」により、
①   ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
~~∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
③  ~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&  長z)}
に於いて、
①=②=③ である。
従って、
(13)により、
(14)
①  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}
② ~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&  長z)}
に於いて、すなはち、
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyは、xの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない。
② あるxが象であって、あるyがxの鼻であって、yが長いならば、あるzが、xの鼻以外で、長い。といふことはない。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(15)
① すべてのxについて、xが象であるならば、あるyは、xの鼻であって、長く、すべてのzについて、zがxの鼻でないならば、zは長くない
② あるxが象であって、あるyがxの鼻であって、yが長いならば、あるzが、xの鼻以外で、長い。といふことはない
といふことは、要するに、
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
② 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
といふ、ことである。
従って、
(09)(15)により、
(16)
① 象は鼻長い。
といふ「日本語」は、
① 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
といふ「意味」であって、
② 象は鼻は長く、鼻以外は長くない
といふ「日本語」は、「述語論理」で書くならば、
①  ∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
② ~∃x{象x&∃y(鼻yx&長y)→∃z(~鼻zx&  長z)}。
といふ「意味」である。
然るに、
(17)
日本語で典型な文(センテンス)は「Ⅹは」で始まる題述関係の文です。公式で一括して
 Ⅹハ本ウンヌン
 題目   述部
と書くことできます。題目の提示「Ⅹは」は、だいたい「Ⅹニツイテ言エバ」の心持ちです。上の「Ⅹニツイテ」は中味の予告です。下の「言エバ」は話し手の態度の宣言であり、これが述部の言いきり(文末)と呼応します。
後者、すなわち文末と呼応して一文を完成する仕事が「ハ」の本務です。前者、すなわち中味への関与の仕方は「ハ」の兼務です。「Ⅹハ」には。本務と兼務の両面があることを知り、始終それを念頭に置くことが大切です(三上章、象は鼻が長い、1992年第21版、8頁)。
然るに、
(18)
① ∀x{象x→・・・・・。
① すべてのxについて、xが象であるならば、・・・・・。
といふことは、
① すべての象について、象をxとするならば、・・・・・。
といふことである。
(19)
① すべての象について、象をxとするならば、・・・・・。
といふことは、
象ニツイテ言エバ、・・・・・。
といふ、ことである。
従って、
(17)(18)(19)により、
(20)
題目の提示「Ⅹ」は、だいたい「Ⅹニツイテ言エバ」の心持ちです。
といふ「言ひ方」は、私にも、分からない、わけではない。
然るに、
(21)
題目の提示「Ⅹは」は、だいたい「Ⅹニツイテ言エバ」の心持ちです。上の「Ⅹニツイテ」は中味の予告です。下の「言エバ」は話し手の態度の宣言であり、これが述部の言いきり(文末)と呼応します。後者、すなわち文末と呼応して一文を完成する仕事が「ハ」の本務です。前者、すなわち中味への関与の仕方は「ハ」の兼務です。「Ⅹハ」には。本務と兼務の両面があることを知り、始終それを念頭に置くことが大切です。
といふ場合の、「本務兼務」といふ「言ひ方」は、結局の所、私には、「難しすぎて」、全く理解できない。
(22)
「象」は主語であり、「鼻ながい」全体述語をなしていると、みなすわけにはいかないだろうか。そうだとすれば、「鼻ながい」が連語をなしていて、それを主語と述語にわける必要はない。「述語節」というみ方にも根拠はあるわけである。形態論的にみたら、主格がふたつあっても、文論的には、主語ひとつしかないのである(三上章、象は鼻が長い、1992年第21版、227頁:増補―批判と反批判)。
然るに、
(23)
① 象は動物である=∀x{象x→動物x}。
といふ「命題」に於ける、
① 動物x
に対して、
① 動物x=∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)。
といふ「代入(Substitution)」を行へば、
② 象は鼻長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「命題」になる。
従って、
(23)により、
(24)
① 象は動物である=∀x{象x→動物x}。
② 象は鼻が長い =∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於ける、
① 動物である=動物x
② 鼻が長い =∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)
に於いて、
① は「述語」であるが、
② は「述語」ではない
といふ風には、「述語論理的」には、言へない
従って、
(22)(23)(24)により、
(25)
「象」は主語であり、「鼻ながい」全体が述語をなしている。
といふ「理解」は、「述語論理的」には、「正しい」。
従って、
(24)(25)により、
(26)
① 象は動物である=∀x{象x→動物x}。
② 象は鼻が長い =∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
に於いて、
① 象 は、「主語」であり、
② 象 も、「主語」である。
といふ主張は、少なくとも、「述語論理的」には、「正しい」。
(27)
① 象は動物である=∀x{象x→動物x}。
② 象は鼻が長い =∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
といふ「日本語」は、「述語論理」としては、両方とも、
③ ∀x(象x→)。
といふ「文型」であって、
③ 象x は「主語」であり、
  は「述語」である。