(01)
(3) 数表現の記号化
「=」の導入によってこれまで表現できなかった命題が記号化できるようになる。
すでに明らかなように、「少なくとも一つのFがある」は、「∃xFx」であるが、
「少なくとも二つのFがある」は、「=」を使って、
∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}
(飯田賢一・中才敏郎・中谷隆雄 著、論理学の基礎、1994年、176頁)
(02)
いま三つのもの a、b、c がFであると思ったとしよう。しかし、
「たかだか二つのものがFである」が真であるとすれば、同じ対象を二回重複して数えたことになる。
つまり、a=bか、または、a=cか、または、b=c である。それゆえ、「たかだか二つのものがFである」は、
次のように形式かできる。
∀x∀y∀z{Fx&Fy&Fz→(x=y)∨(x=z)∨(y=z)}
(飯田賢一・中才敏郎・中谷隆雄 著、論理学の基礎、1994年、177頁)
然るに、
(03)
「少なくとも二つのモノFがある」として、その上、
「たかだか、二つのモノがFである」とするならば、
「ちょうど、二つのモノがFである」。
従って、
(01)(02)(03)により、
(04)
∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}であって、その上、
∀x∀y∀z{Fx&Fy&Fz→(x=y)∨(x=z)∨(y=z)}であるならば、
「ちょうど、二つのモノがFである」。
従って、
(04)により、
(05)
① ちょうど、二つのモノがFである。
② ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}&∀x∀y∀z{Fx&Fy&Fz→(x=y)∨(x=z)∨(y=z)}。
に於いて、
①=② である。
然るに、
(06)
「ちょうど、二つのモノがFである」は次のようになる。
∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)&∀z[Fz→(x=z)∨(y=z)]}
(飯田賢一・中才敏郎・中谷隆雄 著、論理学の基礎、1994年、177頁)
従って、
(05)(06)により、
(07)
① ちょうど、二つのモノがFである。
② ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}&∀x∀y∀z{Fx&Fy&Fz→(x=y)∨(x=z)∨(y=z)}。
③ ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)&∀z[Fz→(x=z)∨(y=z)]}
に於いて、
①=②=③ である。
然るに、
(08)
「述語計算(Predicate calculus)」をしてみると、
(ⅱ)
1 (1)∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}&∀x∀y∀z{Fx&Fy&Fz→(x=y)∨(x=z)∨(y=z)} A
1 (2)∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)} 1&E
3 (3) ∃y{Fa&Fy&(a≠y)} A
4 (4) Fa&Fb&(a≠b) A
4 (5) Fa&Fb 4&E
4 (6) (a≠b) 4&E
1 (7) ∀x∀y∀z{Fx&Fy&Fz→(x=y)∨(x=z)∨(y=z)} 1&E
1 (8) ∀y∀z{Fa&Fy&Fz→(a=y)∨(a=z)∨(y=z)} 7UE
1 (9) ∀z{Fa&Fb&Fz→(a=b)∨(a=z)∨(b=z)} 8UE
1 (ア) Fa&Fb&Fc→(a=b)∨(a=c)∨(b=c) 9UE
イ(イ) Fc A
4イ(ウ) Fa&Fb&Fc 5ウ&I
1 4イ(エ) (a=b)∨ (a=c)∨(b=c) アウMPP
1 4イ(オ) (a=b)∨{(a=c)∨(b=c)} エ結合法則
1 4イ(カ) ~(a≠b)∨{(a=c)∨(b=c)} オDN
1 4イ(キ) (a≠b)→{(a=c)∨(b=c)} カ含意の定義
1 4イ(ク) (a=c)∨(b=c) 6キMPP
1 4 (ケ) Fc→(a=c)∨(b=c) イクCP
1 4 (コ) ∀z[Fz→(a=z)∨(b=z)] ケUI
1 4 (サ) Fa&Fb&(a≠b)&∀z[Fz→(a=z)∨(b=z)] 4コ&I
1 4 (シ) ∃y{Fa&Fy&(a≠y)&∀z[Fz→(a=z)∨(y=z)]} サEI
13 (ス) ∃y{Fa&Fy&(a≠y)&∀z[Fz→(a=z)∨(y=z)]} 34シEE
13 (セ)∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)&∀z[Fz→(x=z)∨(y=z)]} スEI
1 (ソ)∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)&∀z[Fz→(x=z)∨(y=z)]} 13セEE
(ⅲ)
1 (1)∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)&∀z[Fz→(x=z)∨(y=z)]} A
2 (2) ∃y{Fa&Fy&(a≠y)&∀z[Fz→(a=z)∨(y=z)]} A
3 (3) Fa&Fb&(a≠b)&∀z[Fz→(a=z)∨(b=z)] A
3 (4) Fa&Fb&(a≠b) 3&E
3 (5) ∀z[Fz→(a=z)∨(b=z)] 4&E
3 (6) Fc→(a=c)∨(b=c) 5UE
7(7) Fa&Fb&Fc A
7(8) Fc 7&E
37(9) (a=c)∨(b=c) 68MPP
37(ア) (a=b)∨(a=c)∨(b=c) 9∨I
3 (イ) Fa&Fb&Fc→(a=b)∨(a=c)∨(b=c) 7ア
3 (ウ) ∀z{Fa&Fb&Fz→(a=b)∨(a=z)∨(b=z)} イUI
3 (エ) ∀y∀z{Fa&Fy&Fz→(a=y)∨(a=z)∨(y=z)} ウUI
3 (オ) ∀x∀y∀z{Fx&Fy&Fz→(x=y)∨(x=z)∨(y=z)} エUI
3 (カ) ∃y{Fa&Fy&(a≠y)} オEI
2 (キ) ∃y{Fa&Fy&(a≠y)} 23カEE
2 (ク)∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)} キEI
1 (ケ)∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)} 12クEE
1 (コ)∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}&∀x∀y∀z{Fx&Fy&Fz→(x=y)∨(x=z)∨(y=z)} オケ&I
従って、
(07)(08)により、
(09)
果たして、
② ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)}&∀x∀y∀z{Fx&Fy&Fz→(x=y)∨(x=z)∨(y=z)}。
③ ∃x∃y{Fx&Fy&(x≠y)&∀z[Fz→(x=z)∨(y=z)]}。
に於いて、
②=③ である。
然るに、
(10)
藤子 不二雄(ふじこ ふじお)は、日本の漫画家。藤本弘(ふじもと ひろし)と安孫子素雄(あびこ もとお)の共同ペンネーム。1951年コンビ結成。コンビ解消後の1988年以降はそれぞれ藤子・F・不二雄、藤子 不二雄Ⓐと名乗った。代表作は『オバケのQ太郎』(合作)、『ドラえもん』(藤本)、『パーマン』(藤本、コンビ解消後はF名義となったが旧作は合作)、『忍者ハットリくん』(安孫子)、『怪物くん』(安孫子)など多数。
1976年に執筆された『オバケのQ太郎』の読切作品(合作)を最後に、1987年にコンビ解消を表明するまでの約12年間は、ほぼ全作品をそれぞれ単独で描き、藤子不二雄名義で発表していた。 (ウィキペディア)
従って、
(10)
(11)
『オバQ』は、「藤本弘と安孫子素雄」による「二人の合作」であり、そのため、
『オバQ』の「作者」は、「二人いて、二人しかゐない」。
従って、
(07)(09)(11)により、
(12)
③ ∃x∃y{オバQの作者x&オバQの作者y&(x≠y)&∀z[オバQの作者z→(x=z)∨(y=z)]}。
といふ「命題」、すなはち、
③ あるxとあるyについて{xはオバQの作者であって、yもオバQの作者であって、(xとyは別人であり)、すべてのzについて[zがオバQの作者であるならば、xがzであるか、または、yがzである)]}。
といふ「命題」は「真」である。