細かいチェックですが、経鼻内視鏡はまず左の鼻腔から行うことが多いです。内視鏡による生検(組織検査)で顕微鏡で確認することができますが、図の様なヒゲの生えた菌が見える訳ではありません。ヒゲは電子顕微鏡でないと見えません。漫画の上ではどうでもいいことですが・・・医学的に正しいことをモットーとするブログですから。それにしてもぽの君の医者姿は中々決まってますねえ。(院長の術衣は寝間着みたいだったのに・・・)
当院では、ピロリ菌除菌治療の際に、LG21ヨーグルトを食べることをおすすめしています。特定のメーカーの宣伝にはなっても、当院には何の儲けもないのですけどね。このヨーグルトを併用することで、除菌の成功率が上がります。除菌が始まった21世紀のはじめには、私の症例でも9割を越える成功率でしたが、最近は耐性菌の出現で8割まで低下しています。LG21はずいぶん前から注目され、論文にもなっていましたが、最近どうも「本当のようだ」となってきています。WHOはずいぶん前からピロリ菌は胃がんの原因としていましたが、慎重確実な日本の専門医たちも最近は「織り込み済み」です。
ピロリ菌の除菌は、1週間きちんと薬を飲むだけです。なーんだそれだけ、と言われる方が多いです。しかし、次の点に注意が必要です。治療中、軟便になったり下痢になる方がかなりあります。また鉄の釘をなめている様な「変な味」のある方が3割以上あります。ですので、治療の1週間の間、美味しいものを食べに行く予定の方はやめた方が良さそうですね。また、タバコは胃の血流を悪くするので、薬が効きにくくなりますので、禁煙をおすすめしています。ね、なーんだそれだけ、じゃないでしょう?
潰瘍がない場合でも、胃がんの予防になるなら、と除菌を希望されるかたが増えてきました。全国でも自由診療で除菌をする施設が増えてきました。抗生物質を使う治療ですから、耐性菌(薬が効かない細菌)の問題もあり、みだりな除菌は戒められるべきです。しかし消化器病専門医が家族歴や胃の状態をよく把握した上で行うのは「あり」という流れになっています。消化器の経験豊富なドクターにご相談ください。副作用などもよく説明してもらってから、納得して治療をお受けください。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の方でピロリ菌陽性の場合は、既に10年近くの除菌の積み重ねがあります。しかし、潰瘍がない場合の除菌は保険適用が認められていません。症状のある方は、胃内視鏡を保険ですることは出来ますが、潰瘍がないと、ピロリ菌の有無も保険では調べることはできません。健康な人が除菌を希望される場合、検査から全額自己負担となります。除菌により胃がん発生が減るのであれば、医療費の軽減にもなりますから、早く保険適用となることを希望します。