姫路大手前・岡崎外科 消化器肛門クリニック ブログ・肛門科通信

姫路城が好きで姫路在住の消化器・肛門科医によるクリニックのブログです。胃腸肛門の情報あり、気軽にお越し下さい。

内痔核(いぼ痔)の程度について

2009-02-28 11:58:17 | 内痔核(いぼ痔)
内痔核の治療は、脱出、出血の程度で総合的に判断して決めます。内痔核の程度は「ゴリガーの分類」が世界的に用いられています。正式にはローマ数字(ローマ字の大文字で表す数字、I, II, III, IVなど)で表します。ネット上の文字化けをさけるために、1,2,3,4を使っています。

1度:脱出はなく、出血のみ。軟膏、坐薬治療。出血が止まらない場合は、ジオン注による硬化療法(ALTA)が有効。

2度:脱出するが自然に戻る。軟膏、坐薬治療で維持療法。不快感が解消されない場合は、ALTAやゴム輪結紮療法(RBL)。

3度:毎回手で戻す。手術治療が基本。内痔核のみの場合ALTAが適応。外痔核が大きいなどの場合は結紮切除術(LE)。外痔核切除+ALTAなどの方法も有効。

4度:常に脱出。手術による結紮切除術(LE)が基本。

以上簡単に説明しています。出てくるのは内痔核とは限りませんので、ご注意を(「出てくる」のはいぼ痔だけじゃないを参照)。また、いずれの場合でも、良いお通じを心がける「排便コントロール」は必須です。嵌頓(かんとん)痔核は、4度の痔核に似ていますが、違います。血栓性外痔核も別の扱いとなります。このあたりも今後説明をしていきますね。
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いぼ痔の注射療法(ALTA)の歴史的な位置づけ

2009-02-27 13:46:24 | 内痔核(いぼ痔)
内痔核に対する注射療法は2005年に始まったALTA(ジオン)とそれ以前から使われていたフェノールアーモンドオイル(パオスクレー)の2種類が主に使われています。効果の強さから最近はジオン注がよく使われていますが、嵌頓といって脱出した痔核部分が締め付けられて腫れている場合などは使えないので、パオスクレーが使われることがあります。更に歴史をたどれば、様々な硬化療法の注射が使われていました。硬化療法よりも強い薬剤が使われていたのが「腐食療法」です。30数年前までは注射といえば、この腐食療法の時代でした。逆に言えば現在のALTAはこれらの薬剤を、コントロールしやすく、安全に使いやすく改良していったものとも言えます。医学や医療は少しずつ、でも確実に進歩しています。その中で、我々の先人は何をどう考えどうしてきたのか、振り返ることも大切なことです。肛門科の領域でも、以前は「秘伝」などとして検証されてこなかった、「古典的療法」を見直す動きも、最近では大きな流れとなってきています。新しいものだけ、古いものだけにこだわることのない柔軟な姿勢が大切だと考えています。

さて、本日はおまけとして、ジオン注射の製薬会社の「バーチャル診察」がよく出来ているので、ご紹介しておきます。
http://www.e-zi.net/
です。製薬会社だけに本心は注射療法を強調したいところでしょうが、全体に穏やかで、正確であると思います。参考にしてください。私も時々チェックを入れて不適切な場合などについては、皆さんにも、製薬会社さんにもコメントしたいと思います。
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そろそろ自己紹介?

2009-02-27 03:14:06 | リアル
バーチャルもそろそろリアルに。今週24日火曜日到着分をもちまして、ひとまず求人申し込みをしめきりました。びっくりするくらいのご応募ありがとうございました。実は局留めにしていた郵便局では、こんなに次から次へと局留めが来る事もないようで、局長さんの机の横に特別に箱をもうけていただいて、そこにずらーっと並べていただいていたとのことです。郵便局のみなさん、ありがとうございました。また、返送作業でお世話になります。さすがに郵便局のみなさんには、「岡崎外科 消化器肛門クリニック」覚えていただいたことでしょう。4月1日開設、1ヶ月後保健医療機関指定、5月8日診療開始という予定にしています。設立ほぼ1ヶ月前ということで、そろそろ「設立準備室」の看板を挙げることにしました。

お待たせしました。そろそろ自己紹介をしましょう。私、開設者(予定)、院長(予定)の岡崎啓介と申します。どうぞよろしくお願いいたします。バーチャルでやっている姫路大手前バーチャル肛門外科の居心地が良いので、まだリアルの方はぴんと来ません。少しずつでもいいでしょうか。照れ隠しで、専門医資格から。まず基本専攻分野として外科専門医、外科認定医(日本外科学会認定)。その上の専門分野として、大腸肛門病専門医(肛門外科分野)(日本大腸肛門病学会認定)および消化器病専門医(日本消化器病学会認定)。肛門外科分野の大腸肛門病専門医は、「肛門科」唯一の専門医資格で、2008年現在全国で255人しかいません。その他の資格として私の出身大学の産業医科大学産業医学ディプロマおよび日本医師会認定産業医(いずれも産業医の資格)など。大腸癌の転移を研究していましたので、医学博士号も持っています。Yale (イェール)大学医学部研究職歴(楽しかったなあ)、 アメリカ消化器病学会(AGA)正会員など。かた苦しいのはこのくらいで。もっと肝腎なことは、ちょっとずつ小出しにしますね!
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いぼ痔の注射療法(ALTA(=ジオン注)療法)について

2009-02-26 22:28:36 | 日帰り手術(当院の指針)
いぼ痔(内痔核)で、脱出・出血のあるものに対して、注射で治す治療法が2005年から始まっています。ALTA療法といいまして、内痔核の各部分に注射をすることで治して行く「硬化療法」のひとつです。

この薬は認可される条件として、厚生労働省からのお達しがありました。研究会を立ち上げて、注射薬の使用法について、十分な指導管理をするようにとのことです。医師なら誰でも使える薬ではなく、肛門科医として十分な経験があり(基本は、日本大腸肛門病学会認定 大腸肛門病専門医)、研究会主催の講習を受けて資格を得た医師のみが使えるようになっています。資格のある医師が勤める医療機関にしか薬品が納入されないので、現在のところ、他の薬とは違う十分な管理がなされているように思います。それだけ期待される新薬であり、また我々医療者も大切に育てて行こうという思いがあります。よく効く薬だけに、いい加減な使い方をされて、重い合併症が起こるのが心配なのです。また、注射といいましても、立派な手術です。保険診療の上でも「四段階注射法」という手術扱いになっています。

まずは、http://www.zinjection.netをごらんになってみてください。色々怪しげな「研究会」がネット上にはありますが、この「内痔核治療法研究会」は怪しくないのです。私もこの資格をもっています。そろそろ研究会に施設変更の届けをしないといけませんね。

最新情報(2009.4.19)です。研究会のページからリンクされました。
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いぼ痔の注射療法(ALTA(=ジオン注)療法)について

2009-02-26 22:28:35 | 内痔核(いぼ痔)
いぼ痔(内痔核)で、脱出・出血のあるものに対して、注射で治す治療法が2005年から始まっています。ALTA療法といいまして、内痔核の各部分に注射をすることで治して行く「硬化療法」のひとつです。

この薬は認可される条件として、厚生労働省からのお達しがありました。研究会を立ち上げて、注射薬の使用法について、十分な指導管理をするようにとのことです。医師なら誰でも使える薬ではなく、肛門科医として十分な経験があり(基本は、日本大腸肛門病学会認定 大腸肛門病専門医)、研究会主催の講習を受けて資格を得た医師のみが使えるようになっています。資格のある医師が勤める医療機関にしか薬品が納入されないので、現在のところ、他の薬とは違う十分な管理がなされているように思います。それだけ期待される新薬であり、また我々医療者も大切に育てて行こうという思いがあります。よく効く薬だけに、いい加減な使い方をされて、重い合併症が起こるのが心配なのです。また、注射といいましても、立派な手術です。保険診療の上でも「四段階注射法」という手術扱いになっています。

まずは、http://www.zinjection.netをごらんになってみてください。色々怪しげな「研究会」がネット上にはありますが、この「内痔核治療法研究会」は怪しくないのです。私もこの資格をもっています。そろそろ研究会に施設変更の届けをしないといけませんね。

最新情報(2009.4.19)です。研究会のページからリンクされました。
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日帰りの手術は、簡単ってこと?

2009-02-25 03:01:56 | 日帰り手術(当院の指針)
簡単な手術だけを、日帰りでするのは、たやすいことでしょう。しかし、ほとんどの手術を日帰りでしようとなると、技術や配慮が必要になります。私は、まず入院治療を主体とするスーパー肛門科病院(日本に十数カ所)で、入院手術で何でもできるようにトレーニングをしました。低位腰椎麻酔(腰からの麻酔)を使って手術をするのは、外科医にとって好環境です。しかし患者さんは入院になってしまいます。最近3年間勤めた病院で、徐々に入院から日帰りに軸足を移してきました。私は患者の皆さんの日帰り手術への希求を痛感しています。これはいつの時代でもそうです。日帰りで手術をするには色々な工夫が必要です。肛門の内側と外側を方法を変えて手術したりもします。場合によると、入院なら1回でする手術を、日帰りなら2回に分けることもあります。保険外になりますが、持続する麻酔作用のある薬などを使うこともできます。昨年11月からは全例日帰りで手術できています。

しかし、入院での手術をおすすめする場合が、少数ですが必ずあります。急がば回れのことがあるのです。その場合は、入院の出来るかつ信頼のできる医療機関へご紹介する予定です。病院によっては、私が出かけて行って手術できるように、パターンを作りたいと思っています。

技術と配慮でカバーする「日帰り手術」です。患者さんの役目は、安易に考えることなく、「家で寝る入院」くらいのつもりで考えていただくのがよいと思っています。
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2階工事中です。

2009-02-23 17:03:17 | 医院内外の様子
2月21日(土)大阪で開かれた、「近畿肛門疾患懇談会」に参加してきました。近畿、北陸、中国、四国から肛門科医が集まります。知り合いの先生方に開業のご挨拶をしてきました。姫路駅に向かう神姫バスの窓から撮影したものです。2階部分、工事をしています。これが土地付き医院の工事中だと、かなり目立ちますが、これではよくわかりませんね。ちょっと注目してもらえることを考えています。キャラクター「ぽの」くんの出番でしょうか。このあたりはお城の前の大手前通り、姫路一番の景観地区です。景観条例もありますから、ちゃんとルールにはしたがわなくてはなりません。さて、どうしますか。ところで、大手前通りって「日本の道100選」に選ばれているの、ごぞんじでしたか。
(プライバシー保護のため一部画像処理をしてあります。SONY DSC-T7)
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肛門科ってすぐ手術なの?

2009-02-22 15:36:06 | 日帰り手術(当院の指針)
肛門科を受診するのに抵抗があった、といわれる方に話を聞いてみますと、「肛門科ってすぐ手術といわれるから、こわくって」といわれる方が多くあります。本当にすぐ手術でしょうか。いいえ、そんなことはありません。

すぐ手術をしなくてはならないのは、肛門周囲膿瘍(痔瘻の初期)と、痛みで便が出せずにひどくなっていく血栓性外痔核、そして大量出血が続いている時だけです。脱出して腫れたままになった痔核(かんとん痔核)も、元にもどす処置をすることがあります。そのくらいです。

他の場合は、軟膏などの治療(保存的治療)で効果を判定し、その上で、信頼関係を作った上で手術となります。検査で大腸癌などの病気がないことを確認するのは絶対に大切です。命を取られる病気がない限り、痔は良性疾患なのです。どんなにひどい痔でも、「わたしは困ってないから、これでいいの」と言われれば、それも「あり」なのです。

ですから「手術しないと治らない」という言葉には注意が必要です。ちょっとずるい言い方だからです。これまでにお話ししました、内痔核。軟膏で腫れを引かせると症状をなくすことができます、しかし、内痔核が消えてなくなるわけではありません。ですから「手術しないと治らない」という言い方もできます。また、切れ痔に伴って出来る肛門ポリープ。これは皮膚の成分ですから、薬ではなくなりません。これも確かに「手術しないと治らない」とも言えます。でもそれで手術を強要するのは、正しくないと思っています。痔の治療では、患者さんの一番困っている事を消すことが、一番大切と思います。ですから、わたしは、最初に「何が一番困っていますか?」とお聞きすることが多いです。
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大手前交差点その2

2009-02-21 03:16:25 | 医院内外の様子
三木美術館前から大手前交差点の東を見ています。2号線東行から右折して大手前通りバス停に入る神姫(しんき)バスが見えます。大手前通りバス停を通る平日の神姫バスは41系統791台!(2008年12月現在)。これらは全て次の姫路駅終点へ向かいます。1区間100円です。更に市営バスもあります。(GR-Digital)
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裂肛の治療

2009-02-20 16:27:48 | 裂肛(切れ痔)
裂肛(切れ痔)の治療の基本は「保存的療法」と言って、排便習慣の改善、軟膏治療などが主になります。私は、まず痛み止め、腫れ止めの作用がある軟膏を使います。「今日は硬くて切れそうだな」と分かる日には、軟膏を少し入れておいてから排便すると、楽に出せることがあります。

それらの治療では不十分な際に、ニトログリセリン軟膏などの薬を使います。この薬は平滑筋を緩めるので、切れ痔によって硬く閉まっている内肛門括約筋を緩めます。それで楽になるかたが多いです。

これら保存的治療では治らないもの、つまり肛門狭窄(せまくなっているもの)、大きな肛門ポリープなどは手術になります。手術には、次のようなものがあります。
1) 裂肛切除:潰瘍部分と肛門ポリープ、肛門皮垂を切除する。
2) 内肛門括約筋側方切開(LSIS):硬く閉まった内肛門括約筋を少し切ることで、肛門を広げる方法。
3) 用手肛門拡張:麻酔をかけて、指で括約筋を広げる方法。
4) 皮膚弁移動術(SSG):潰瘍、肛門ポリープ等切除の上、括約筋を少し切り、肛門の外の皮膚を血流を保ったまま肛門の中へスライドさせ、肛門を広げる方法。
5) V-Yフラップ法:4)を改善した方法で、形成外科的手法を用いて皮膚弁をスライドさせる方法。

いずれの方法にも、一長一短があり診断を踏まえた手術法の選択が重要です。
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