いぼ痔(内痔核)は急に腫れたり、大きくなったりすると痛みを感じます。本来内痔核のある部位は、歯状線(しじょうせん)と呼ばれる、皮膚と腸の境界線よりも奥(口側)なので、内痔核そのものは痛くありません。急に腫れたり、大きくなるといぼ痔が排便時や、腹圧時などに脱出しようとして、敏感な肛門の皮膚を引っ張るため、痛みが生じるのです。ですから、ゆっくりと大きくなってきた内痔核は痛くありません。脱出しても、出血しても痛くないことが多いのです。
では、痛くなければ、手で戻しておけばそれでよいのでしょうか。
内痔核が良性疾患であるかぎり、「絶対手術しなくてはならない」なんてことはありません。しかし、内痔核があまりに大きくなって、肛門の出口に近いところに張り出した状態が続きますと、内痔核の圧力で便が止まっていることがあります。そのため本来しまっているべき、「内肛門括約筋」がさぼってしまうことがあります。内肛門括約筋がゆるんでしまいますと、ゆくゆく年を取ったときに、便がもれやすくなってしまうのです。そんな状態になってから手術をするのは、すすめられません。肛門科医が、「手で戻すようになったら、手術を」というのは、そんな理由からです。最近は手術といっても、日帰りで、注射療法(ジオン注射による硬化療法=ALTA療法)などが主体になっています。手で戻すようになったら、痛くなくても、出血しなくても、一度専門医を受診することをおすすめします。
脱出については
こちらも見てくださいね。(初出2009/2/23 改訂2010/8/24)