姫路大手前・岡崎外科 消化器肛門クリニック ブログ・肛門科通信

姫路城が好きで姫路在住の消化器・肛門科医によるクリニックのブログです。胃腸肛門の情報あり、気軽にお越し下さい。

下剤の強さ(5) 漢方薬の強さ 岡崎外科姫路の肛門科ブログ

2017-08-18 13:04:12 | 便秘
下剤の強さの続きです。体に優しいイメージのある漢方薬は、刺激性下剤としての強さはどうでしょうか。漢方薬の下剤成分大黄について、センノシドA・Bとしての測定結果に基づいています。プルゼニドと同等の薬(センノシドA・B12mg)の強さを10としての指標で示します。

 市販品で有名で入手しやすい「タケダ漢方便秘薬」は1錠で4.7。およそプルゼニドの半分の強さです。これに近いものとして、処方医薬品である、「ツムラ大黄甘草湯」は1包あたり、4.33。大杉製薬「オースギ大黄甘草湯」は4.94。この辺りはだいたい同じ強さです。このほか「クラシエワカ末便秘薬」は2.4と弱いです。大黄甘草湯の他に乾燥硫酸ナトリウムが配合されており、漢方的には「調胃承気湯(ちょういじょうきとう)」という処方になっています。また「クラシエ薬草便秘薬」は2.63。これは漢方の大黄に西洋薬のセンナを混ぜ、さらにオウバクを配合してあります。東洋と西洋の下剤の混成チームですね。武田、津村、大杉の各社のものはかなり強いものですから、毎日連用するのは少々問題がありそうです。やはり刺激性下剤は一時的な利用が良いでしょう。ただしこれまで大変強い下剤を連用されている場合には、これらの薬でもしばらくの間毎日使用して、その後弱いものへ変えるか、減量する場合があります。いずれにしても、「出るから」というだけの理由で安易に使用すべきではありませんね。当院では、これまでの経過からその人その人に最も適した下剤や蠕動調整薬などを使用しています。毎日が便秘外来ですので、お気軽にご相談ください。

お盆やすみに呉市の大和ミュージアムに行ってきました。常設展示は大変充実しており、大和を縦糸に、呉を横糸に大変きめ細かい情報たっぷりでした。博物館では全ての展示や説明をじっくり時間をかけてみることにしていますが、大和ミュージアムの情報量には圧倒されました。途中休みやすみで5時間くらいかかりました。充実。写真は10分の1大和の模型です。

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下剤の強さ(4) 市販のおすすめは? 岡崎外科姫路肛門科のブログ

2017-08-09 13:28:44 | 便秘
下剤の強さの4回目です。市販の刺激性下剤で一番弱いものは、ビオフェルミン製薬のビオフェルミン便秘薬です。箱にも「11歳からのめる」と記載されています。内容は1錠あたり、ピコスルファート1.5mgを主成分として、それにビフィズス菌と乳酸菌を配合してあります。ピコスルファート1.5mgは刺激性成分としては市販品のなかで最小量です。医療用の液体のピコスルファート(先行品商品名は「ラキソベロン」)の3滴分に相当します。プルゼニドを10とする指標では、1.25となります。通常程度の便秘症のかたなら1-2錠は安心して飲めます。この少量の成分にビオフェルミン製薬お得意の整腸剤成分を入れたことでさらに安心できる製剤となっています。

 同様のピコスルファート製剤は医療用では、ラキソベロン錠を先行品とする、ピコスルファート錠が「ラキソベロン」5滴分に相当します。プルゼニドを10とする指標では、2.1になります。当院でも採用しています。市販品でこれと同じ成分のものがあります。佐藤製薬のピコラックス、皇漢堂のビューラック・ソフト、ビュースルー・ソフトです。(コーラックと同じ強さのビューラックA、ビュースルーと混同しないよう「ソフト」の記載に注意してください)

さて、それでは「体に優しい」イメージのある、漢方薬はどうでしょうね。次回お伝えします。
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下剤の強さ(3) 大正製薬コーラックシリーズ 岡崎外科姫路の肛門科のブログ

2017-08-06 14:12:19 | 便秘
下剤の強さの続きです。コーラックのシリーズは大正製薬からたくさんの種類が販売されています。坐薬以外の内服薬6種類(現在5種類)について、弱い方から解説します。なお強さの指標はプルゼニド(=センノシドA・B12mg製剤、センナリド、センノシド錠など)を10として相対的に表しています。

コーラックソフト(2.1)。ピコスルファート主剤で、医療用のピコスルファート製剤と同じ強さの「弱くて良いくすり」でしたが、残念ながら販売中止になりました。2016年のことです、薬局で売る薬としては弱いものは売れないのでしょうか?つくづく残念ですね。
コーラックファースト(2.1)。コーラックソフトにDSS8mgを混ぜた製剤でした。これも2016年に販売中止になりました。現在のコーラックファーストはピコスルファートでなくビサコジル2.5mgに内容変更になっています。コーラックの2分の1の強さということです。
コーラック(4.2)
コーラックII(4.2)。コーラックにDSS8mgを配合したものです。
コーラックファイバー(6.8)。センノシドに繊維を配合したものです。他に刺激性成分のケツメイシが入っていますので、正確には6.8+αです。
コーラックハーブ(10.0)。センノシドA・B12mgに甘草を配合したものです。内容的にはプルゼニドに甘草をプラスしたものです。

コーラックシリーズではピコスルファートをやめてビサコジルに変わったものがありますが、およそプルゼニドの5分の1の強さからプルゼニドと同じ強さのものまで、いろいろ揃えていることがわかります。良心的ですが、残念ながら、弱いものは売れないのでしょうね。薬局としても「効きが悪い」と思われてしまうと売れないのでしょう。便さえでればよい、という考えで薬を求める方が多いことが考えられます。

さて、では弱くても体への悪影響の少ない下剤は市販のものではなんでしょうね。次回お話しします。
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下剤の強さ(2) コーラック、ビューラック、ウェストン、サトラックス 岡崎外科 姫路の肛門科ブログ!

2017-08-04 12:31:23 | 便秘
下剤の強さの続きです。ビーラックA、ビュースルー(皇漢堂)、ウェストンピンク(小林薬品)、サトラックスエース(佐藤製薬)これらの強さはどうでしょうか。答えは「下剤としての強さはコーラックと同じ」です。これらの薬の有効成分はビサコジル5mgであり、刺激性下剤としての強さは同じものです。中でも、ビューラックAとビュースルーはコーラックと中身は全く同じものです。ウェストンピンクは乳酸菌が追加されています。コーラックII(コーラックツー)にはDSSという便のかさを増やしてつるりで出やすくする成分が8mg配合されています。サトラックスエースはコーラックIIの成分にさらにビタミンB6が配合されています。各社いろいろ工夫されています。このDSSという成分は「ジオクチルスルホサクシネート」であり、当院でも使用しているビーマス配合錠にも含まれている成分です。

コーラック、ビューラックA、ビュースルー、ウェストンピンク、サトラックスエース、コーラックIIはほぼ同じ強さ。どうしても出ない時に1錠程度服用するのに適したお薬です。量を増やしたり、連用はしないほうがよいお薬といえます。強さ指数は4.2です。(プルゼニド、センノシドA・B 12mgを10としたとき)

 さて、コーラックとコーラックIIがでてきた、大正製薬ですが、他にもコーラックのシリーズがあります。コーラックソフト、コーラックファースト、コーラックファイバー、コーラックハーブいろいろありますよ。全部が揃っている薬局は珍しいでしょうが、これらの強さについての薬剤師さんの説明が(患者さんから聞くたびに)いろいろで混乱しています。次回はこのコーラックシリーズの強さと成分を詳しく説明しましょう。

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下剤の強さ(1) 岡崎外科姫路の肛門科のブログ

2017-08-02 13:32:19 | 便秘
暑い日が続きますね。熱中症に注意してください。濃い汗をかいたときは塩分の補充も必要です。

さて、刺激性下剤と言われる下剤については、薬局で簡単に手に入ることで安易に使われすぎています。当院では刺激性下剤を減らして、お腹の蠕動調節でここちよい排便になるように日々努力しています。学問的裏付けとして、刺激性下剤の強さを判定しています。今回兵庫県医師会医学雑誌に発表した内容から、皆さんにクイズ形式で説明してみましょう。難しい理屈は後回しにして、まずはご覧くださいね。

 まず市販の下剤のうち大変よく使われている、大正製薬の「コーラック」ご存知ですね。コーラックには何種類も派生品がありますが、ここでは「コーラック」についてです。コーラックは有効成分として1錠にビサコジル5mgが配合されています。ではこのコーラックの強さは、病院でよく処方される「プルゼニド」と比べてどのくらいの強さと思いますか?プルゼニドは1錠中にセンノシドA・B 12mgが配合されています。最近は後発品がたくさん出回っていますので、一般名でいうところのセンノシド錠、あるいはセンナリド錠と言われる、小さな錠剤が同じものです。両方とも服用されたことのある方が多いと思います。バリウムの検査のあとで、2錠出される薬は大抵は「これ」です。

 はい、それでは結果です。プルゼニド(センノシド、センナリド)の強さを10としますと、コーラックの強さは4.2になります。コーラックはプルゼニドの半分より少し弱いと言うところですね。

 それでは次の問題です。ビーラックA、ビュースルー(皇漢堂)、ウェストンピンク(小林薬品)、サトラックスエース(佐藤製薬)これらの強さはどうでしょうか?プルゼニドよりどうでしょう、コーラックと比べてどうでしょう?答えは次回に。

 日本大腸肛門病学会の雑誌編集委員に選ばれましたが、早速に査読の依頼があり、お仕事始めています。査読というのは、投稿された論文を評価し、合格不合格を決めるだけでなく、どこをどうすれば、さらに良い論文になるかを伝え、雑誌にふさわしい論文にしていく仕事です。医学的に正しいかどうかはもちろんですが、論文の筆者の個性まで踏まえて素晴らしい論文にすることが大切です。論文として掲載されることで、日本の大腸肛門病学が進んでいくのですから、とてもやりがいのある作業です。忙しいですが、がんばります。新しい学会の委員の一覧表はこちらです。

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