姫路大手前・岡崎外科 消化器肛門クリニック ブログ・肛門科通信

姫路城が好きで姫路在住の消化器・肛門科医によるクリニックのブログです。胃腸肛門の情報あり、気軽にお越し下さい。

痔瘻(7)治療:開放術式写真

2010-04-21 19:00:00 | 痔瘻・肛門周囲膿瘍
低位筋間痔瘻にたいする開放術式(レイ・オープン)の術前術後写真を示します。腹這いですので、画面の上が患者さんの背中側となります。左の写真が術前で、肛門の右上に膿(うみ)の出た穴(=二次口)があります。肛門部からそこまで切り開き、さらに右の写真の様に、幅広く創を作ります。真後ろの傷は治りにくいので、斜め方向へずらしてあります。この創はあまり小さすぎると早く引きつれて治ってしまいますし、大きすぎると皮が張るのに時間がかかります。ちょうど良い大きさにするのが、腕の見せ所であります。創の治りやすさは人によって違いますので、むずかしいところです。

本症例は3時、10時の位置に内痔核もあり、開放術式の創の端を使って結紮切除術も行っています。私たちは痔核根部の結紮にラバーバンドと絹糸を使います、その絹糸が創の下方に見えています。痔瘻に対する開放術式だけですと、この絹糸はありません。念のため。もちろん患者さんの了解を得て掲載しています。(初出6/18/2009)

写真は現行HP診療案内をご覧ください。ブログからHPへ移行しました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

痔瘻(6)治療:開放術式

2010-04-19 00:27:25 | 痔瘻・肛門周囲膿瘍
痔瘻の治療について説明します。ここでは最も多い低位筋間痔瘻(IILS)の開放術式を示します。開放術式とは、痔瘻の「膿(うみ)のトンネル」を切り開き、文字通り開放する方法です。痔瘻治療の基本です。歯状線(しじょうせん)近くの膿の入り口(一次口)から、皮膚の出口(二次口)までを切開します。この際切除する筋肉の種類や位置、方向などに十分な配慮が必要です。一般に肛門後方だと筋肉の切除量が少なく、肛門機能への影響が少ないです。開放した傷は縫いません。自然に新しい皮膚が張るように傷を作ります。術後1か月から2か月くらいで皮膚が出来て治癒します。根治度(完全に治る程度)が高いので、よく用いられている方法ですが、肛門側方や前方の場合は手加減が重要です。術後の写真を今度おみせしましょう。
(初出6/17/2009)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

痔瘻(5)痔瘻の形成

2010-04-15 00:00:38 | 痔瘻・肛門周囲膿瘍
肛門周囲膿瘍の広がり具合で、痔瘻の形が決まります。図のように一次口(いちじこう)からそれぞれA,B,C,Dへの痔瘻になります。ここでは、比較的多く見られるもののみを記載しています。A,Bへの痔瘻は低位筋間痔瘻(IIL)、Cへの痔瘻は坐骨直腸窩痔瘻(III)、Dへの痔瘻は高位筋間痔瘻(IIH)といわれ、またそれぞれのタイプに単純なものと複雑に枝分かれするものとがあり、さらにこれらのタイプの複数の組み合わせがあり、さらに更に肛門周囲を三次元的に広がるものがあり、とても平面図では図示できないものもあります。(図は単純化してありますので、正確には肛門のどの位置かで異なります)(初出6/15/2009)携帯向けHPはこちらです
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

痔瘻(4)高位筋間膿瘍

2010-04-12 00:00:01 | 痔瘻・肛門周囲膿瘍
肛門周囲膿瘍でも、外から見て腫れていればどんな外科医でも切開することができます(どこを切開するかで、うまい下手はありますが)。むずかしいのがこういうタイプです。患者さんは痛くてたまらない、採血すると炎症反応があるものの、どこに膿(うみ)があるか分からない。で、抗生物質の投与だけで経過観察、というつらい経過をたどります。この、高位筋間膿瘍の場合は、直腸内に指をいれて薄い筋肉を触れながら内肛門括約筋と外肛門括約筋の間に細いメスを進めて行きます。切開排膿が成功すれば楽になるのは同じです。指先の感覚だけをたよりにメスを進めるのは、かなりドキドキものでありますが、そのときの気分はといえば、「いまやらねば、いつできる、わしがやらねば、だれがやる」という感じです。さあて、誰のことばでしょう?
(初出6/13/2009)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

痔瘻(3)膿瘍の進展

2010-04-10 12:04:26 | 痔瘻・肛門周囲膿瘍
肛門周囲膿瘍をがまんしていますと、色々な方向へ進展します。Aの方向へ自潰すると、膿(うみ)がどっと出て楽になります。Bへ破れるとこれも楽になりますが、管の長い痔瘻になります。Cへ進展すると坐骨直腸窩(ざこつちょくちょうか)痔瘻(III型痔瘻)となり、肛門の外側を回る痔瘻へと進みます。Dへ向かって内外括約筋の間を上に上がると、高位筋間痔瘻(IIH型痔瘻)になります。更にE(C経由でEへ進展するものもあり)へ進むと骨盤直腸窩(こつばんちょくちょうか)痔瘻(IV型痔瘻)に。Fのように直腸側へ破れることもあります。

肛門科救急である肛門周囲膿瘍に対しては、適切な切開排膿手術が必要です。切開排膿によって痔瘻化させるのです。治りやすい、手術しやすい形の痔瘻にしなくてはなりません。肛門の後方、側方、前方によっても違ってきます。切開ひとつにしても、技術の差が出るものなのです。(初出6/12/2009)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

痔瘻(2)膿瘍の形成

2010-04-09 00:03:26 | 痔瘻・肛門周囲膿瘍
内外括約筋の間にうみ(膿)がたまった状態です。おしりの周りがひどく腫れて、寝られないと言われます。痛みがひどく、まっすぐに座れません。38度を越える熱がでることもあります。放っておくと大変なこと(敗血症・フルニエ症候群など)になることもあります。すぐに肛門科へ受診してください。(初出6/11/2009)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

痔瘻(1)感染の成立

2010-04-08 00:00:08 | 痔瘻・肛門周囲膿瘍
好評の痔瘻シリーズ再開です。
肛門周囲膿瘍から痔瘻に至る様子を経過を追って説明しましょう。

下痢気味の男性に多くみられます。肛門腺への便汁(細菌)の流入があり、内肛門括約筋と外肛門括約筋の間へ感染が起こります。「肛門腺」はまだよく分かっていないのですが、図のように内肛門括約筋を貫く場合があり、そのような肛門腺が感染を起こすと言われています。(初出6/10/2009)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

したたかな痔瘻

2009-11-30 02:33:20 | 痔瘻・肛門周囲膿瘍
11月28日(土)は、私の師匠お二人と、痔核と痔瘻の手術のダブルヘッダー(最近聞かない言葉ですか?)でした。特に痔瘻の症例の方は、坐骨直腸窩痔瘻複雑型+化膿性汗腺炎+反対側の低位筋間複雑痔瘻というウルトラヘビー級で、専門医でペアを組んでも手術時間が1時間を越えるものでした。こういう症例におつきあいさせていただけるので、開業しても勉強はやめられませんね。

携帯で見られる情報ページはこちらです
クリニックのPC用HP(website)はこちらです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする