テーマ設定の山 ここは甲斐の国(山梨)と武藏の国(秩父盆地)とを結ぶ「雁坂峠」という要衝だったところです。トンネルができる1998年までこの山道が国道だったそうです。
「VUCA」(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)(不安定,不確実,複雑,曖昧)という未来像での学校教育はどうあるべきか、各国の有識者はどう考えるのか「OECD(経済協力開発機構) Education 2030 プロジェクト」から見て行きたい。
テキストは、
白井 俊『OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来:エージェンシー、資質・能力とカリキュラム』ミネルヴァ書房 (2020/12/22)
参考のHP
OECDにおける Agencyに関する議論について - 文部科学省
第2章 プロジェクトの背景と議論の経過
序章では3つのコンピテンシーについて述べた。
コンピテンシーは今後の社会改善・学校教育の指針言って良いものである。
責任ある行動をとる力(Creating new value)
新たな価値を創造する力(Coping with tensions and dilemmas)
対立やジレンマに対処する力(Taking responsibility)
である。
また第1章では「ニュー・ノーマル」の方向性が示された。
それは学校教育のイメージを変える必要を述べている8項目であった。
そして、第2章は、こうした指針やイメージの変更を迫る大きな理念と経緯にについて触れていく。
OECD Education2030プロジェクトはその先駆け的なプロジェクト(2000年に行われたDeSeCoプロジェクト)を踏まえており、それをお手本としたり、あえて批評的に扱ったりして発展させているという。
15年前との状況の変化があり、意識も変わってきたらしい。
今回のプロジェクトの冒頭、その決意として、OECD教育大臣会合において次のような発言がなされていると言う。
持続可能な開発と社会的連帯(social cohesion)は、すべての人々のコンピテンシー ―すなわち知識やスキル、態度及び価値観を構成すると理解されるもの― にかかっている
そしてそれが前述したウェルビーイング(well-being)に向けて設定されるべきであることが改めて強調されたようである。そのことによって抽象的でやや不統一でつたコンピテンシーも具体的に実行可能な枠組みの策定を伴うようになつてきたと言うことらしい。
ところでなぜ、経済協力開発機構が教育問題をとりあげるのか。
これにも時代情勢が強く関係する。
OECDは各国の経済発展を目的として設立された組織であり、OECDにおける教育関連のプロジェクトも、経済に資するための教育と言う側面が強いとの批判が示されたこともあったが、近年ではOECDのミッション自体が、単純な「経済的成長(Economic growth)」から「包括的成長(Inclusive growth)」へと変わってきている。すなわち、従来の「経済的成長」の指標とされてきたGDPなどに着目するだけでは、仮に、GDP自体の増大が見られたとしても、そのおかげで貧困などの問題が拡大していくといったことも十分に考えられる。こうした格差などの問題にも配慮しながら全体としての成長を目指していくことが、現在OECDが目指そうとしている「包括的成長」の含意するところである。
と言うのである。
それを表したものが新たに改定されたOECDのミッションの標語「より良い暮らしのための、より良い政策」であり、その指標としてつくられたのが、「より良い暮らし指標(Your Better Life Index)」のアップデート版らしい。
これに関連してOECD事務総長のアンヘル・グリアさんも、
以前から、世界中の人がGDPを超えた(指標)を求めている。この指標は、そのために作られたものであり、『より良い暮らしのための、より良い政策』を進めていく上で、大きなポテンシャルを持っている。
と言っている。
その中身は、有名な国連の持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標と一致しているものが多いのである。

(下の表は、外務省のHPから)
「VUCA」(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)(不安定,不確実,複雑,曖昧)という未来像での学校教育はどうあるべきか、各国の有識者はどう考えるのか「OECD(経済協力開発機構) Education 2030 プロジェクト」から見て行きたい。
テキストは、
白井 俊『OECD Education2030プロジェクトが描く教育の未来:エージェンシー、資質・能力とカリキュラム』ミネルヴァ書房 (2020/12/22)
参考のHP
OECDにおける Agencyに関する議論について - 文部科学省
第2章 プロジェクトの背景と議論の経過
序章では3つのコンピテンシーについて述べた。
コンピテンシーは今後の社会改善・学校教育の指針言って良いものである。
責任ある行動をとる力(Creating new value)
新たな価値を創造する力(Coping with tensions and dilemmas)
対立やジレンマに対処する力(Taking responsibility)
である。
また第1章では「ニュー・ノーマル」の方向性が示された。
それは学校教育のイメージを変える必要を述べている8項目であった。
そして、第2章は、こうした指針やイメージの変更を迫る大きな理念と経緯にについて触れていく。
OECD Education2030プロジェクトはその先駆け的なプロジェクト(2000年に行われたDeSeCoプロジェクト)を踏まえており、それをお手本としたり、あえて批評的に扱ったりして発展させているという。
15年前との状況の変化があり、意識も変わってきたらしい。
今回のプロジェクトの冒頭、その決意として、OECD教育大臣会合において次のような発言がなされていると言う。
持続可能な開発と社会的連帯(social cohesion)は、すべての人々のコンピテンシー ―すなわち知識やスキル、態度及び価値観を構成すると理解されるもの― にかかっている
そしてそれが前述したウェルビーイング(well-being)に向けて設定されるべきであることが改めて強調されたようである。そのことによって抽象的でやや不統一でつたコンピテンシーも具体的に実行可能な枠組みの策定を伴うようになつてきたと言うことらしい。
ところでなぜ、経済協力開発機構が教育問題をとりあげるのか。
これにも時代情勢が強く関係する。
OECDは各国の経済発展を目的として設立された組織であり、OECDにおける教育関連のプロジェクトも、経済に資するための教育と言う側面が強いとの批判が示されたこともあったが、近年ではOECDのミッション自体が、単純な「経済的成長(Economic growth)」から「包括的成長(Inclusive growth)」へと変わってきている。すなわち、従来の「経済的成長」の指標とされてきたGDPなどに着目するだけでは、仮に、GDP自体の増大が見られたとしても、そのおかげで貧困などの問題が拡大していくといったことも十分に考えられる。こうした格差などの問題にも配慮しながら全体としての成長を目指していくことが、現在OECDが目指そうとしている「包括的成長」の含意するところである。
と言うのである。
それを表したものが新たに改定されたOECDのミッションの標語「より良い暮らしのための、より良い政策」であり、その指標としてつくられたのが、「より良い暮らし指標(Your Better Life Index)」のアップデート版らしい。
これに関連してOECD事務総長のアンヘル・グリアさんも、
以前から、世界中の人がGDPを超えた(指標)を求めている。この指標は、そのために作られたものであり、『より良い暮らしのための、より良い政策』を進めていく上で、大きなポテンシャルを持っている。
と言っている。
その中身は、有名な国連の持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標と一致しているものが多いのである。


こうしてOECDのウェルビーイングの指標は、従来のGDPの指標とは異質な、より普遍性の高いものとして、またSDGsと矛盾することのないものとして策定されつつある、と言う。
GDPの議論を超えたウェルビーイングはどう実現されるのだろう。下の表はその達成がその達成は循環システムの中でらせん的に実現されていくことを示しているようである。

こうした循環的なシステムはこの後述べる教育の達成の経路図、
「ラーニング・コンパス」
にも引き継がれていく。
確かに、GDPの目標は単一の物差しで直線的な比較を受ける目標である印象がある。
対して、持続化可能ということのキーワードには循環型であり、いわばシェアしながらの相互支援的なニュアンスが強い。
前に書いたが、日本はGDPは第3位だが、幸福度ランキングは62位なのである。
夏休み明けの若年層の自殺の問題は現実に学校でも緊張感がある。
経済規模、資源消費は人々のウエルビーングとは直接は関係がないことが国際的にも認知されてきている。
GDPの議論を超えたウェルビーイングはどう実現されるのだろう。下の表はその達成がその達成は循環システムの中でらせん的に実現されていくことを示しているようである。

こうした循環的なシステムはこの後述べる教育の達成の経路図、
「ラーニング・コンパス」
にも引き継がれていく。
確かに、GDPの目標は単一の物差しで直線的な比較を受ける目標である印象がある。
対して、持続化可能ということのキーワードには循環型であり、いわばシェアしながらの相互支援的なニュアンスが強い。
前に書いたが、日本はGDPは第3位だが、幸福度ランキングは62位なのである。
夏休み明けの若年層の自殺の問題は現実に学校でも緊張感がある。
経済規模、資源消費は人々のウエルビーングとは直接は関係がないことが国際的にも認知されてきている。