諦めない教育原理

特別支援教育は教育の原点と聞いたことがあります。
その窓からどこまで見えるか…。

201 近未来からの風#35 (まとめ) 新たな社会観との連動

2023年03月05日 | 近未来からの風
定番 高尾山縦走 元祖 小仏峠 かつての要衝の面影

3 教育企業、IT企業参入と学校の公共性、民主性

まとめとして、199「ショートカットの旅」で思考に対する意欲のこと、200「アルゴリズムの民主主義」で社会における当事者意識のことを考えてきた。
それは、学校教育においてこの2つのことは、言わずもがな最大の目標である。
つまり、ディープラーニングの必要性と、新たな社会観の提示ということとも言えよう。

で、こうした懸念も含めて、「VUCA」(Volatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguity)(不安定,不確実,複雑,曖昧)という未来像に対して、「OECD Education2030プロジェクト」では、カリキュラムデザインを各国に発信し、日本の学習指導要領にもそれが反映されてきていることを学んできた。

そして、前回、「世界各国の公教育が危機に瀕している」という佐藤学さんは、新たな社会観について、次のように提案する。

この新しい段階において、教育の公共性を擁護するためには、公共性の哲学と民主主義の哲学に基づいて、学校共同体と一定のセクターで維持し発展させる仕組みを創出する必要があります。具体的には、市町村教育委員会と学校が自律性を確立し、地域共同体の文化と教育のセンターとしての学校を再定位し、教育委員会と学校の自律性によって教育市場に対して民主主義的な統制を行う必要があります。教育市場を基盤とする教育企業やIT企業の教育への一方的な参入と営利事業を許すのではなく、教育委員会と学校の自律性によって教育企業やIT企業とも連携した教育の公共圏を創出することが求められています。その新たな実験を各地域、各学校で始める必要があります。

資源と資本をシェアし、1人も置き去りにしないで、ケアしあい、さまざまな問題を解決して、未来の希望を開くために学び合う社会です。この「新しい社会」の建設なしには、資本とテクノロジーの暴走を食い止めることはできませんし、人類の未来はないと思います。

                        (『第四次産業革命と教育の未来』岩波ブックレット)

このことの社会を「sharing caring and learning community(シャアしあい、ケアし合い学び合う共同体)」というらしい。

ふと、足元を見ると、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の目的は新しい社会観とともにあることを確認すべきなのである。





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