箱根八里(三島大社→小田原城)二里付近 いよいよ古道は山中へ
そもそも保育所の目的は「子守」や「託児」だっただろう。
担った人たちは家庭やコミュニティでの自然に育っていく子どもたちの姿をイメージし、それに近づけようとしだろう。
それは近代の学校のもつ教育の機能的なあり方とは一線を画していた。
いわば「子ども(らいし)時間の確保」である。
そして、つかみどころのないそのイメージの中に子どもがいることこそが、子どもたちの将来の“大きなこと”になるように思われるし、実際そうだろう。
「予測困難で不確実、複雑で曖昧」の未来に対して確実にできうることともいえる。
もちろん、保育所も社会的機関である。
行わる保育は意図的に行われ、説明と評価とがあるべきである。
しかし、逆に、その中でこそ漠然としたイメージとしての「子ども(らしい)時間」が確かな形となって見えてくる可能性があるのではないか。
そんな作為的な無作為みたいなことができるのかどうか、あるべき「子ども(らしい)時間」にむけて、各国の知恵を訪ねたい。
テキスト:
秋田喜代美/古賀松香『世界の保育の質評価‐制度に学び、対話を開く‐』明石書店
ノルウェー1
ニュージーランドに続いて、乳幼児教育を「北欧福祉モデル」として促進させている北欧諸国の保育を見に行きたい。
ただし、安定した福祉国家に見える北欧諸国も、産業の育成、労働問題、女性の社会進出などの背景あり、保育制度のあり方の常に問われてきている。現行の保育の仕組みも比較的最近確立されていることはリアリティがある。
今回はノルウェイである。
ノルウェーは、「世界幸福度ランキング」でずっと1位で、教育制度の評価が高い。
この国の保育はどうなっているのか。
まず、「幼保一体型保育施設法」(保育施設法)という法律からである。
「子どもが必要とするケアと遊びを保障し、全人格的発達の基礎となる学びや人格形成をはむばなければならない」
保育施設は子どもたちのために存在することが第1義に明記され、
「保育施設に通う子どもたちは、日々活動に自らの見解を述べる権利がある。活動計画が評価には積極的に参加する機会が定期的に与えなければならない。その際、子どもたちの見解は、年齢や成熟度に応じて配慮されなければならない。」
として、子どもたちは保育に参加する能動的存在として規定している。
「子どものため」を強く打ち出すこの法律の第一条は、
幼保一体型保育施設は、各家庭の協力とよき理解のもとで、子どもが必要とするケアと学びを保障し、あらゆる発達の基礎となる学びや人格形成を育まなければならない。保育施設は、人間の尊厳や自然への畏敬の念、知的自由、事前、寛容、平等、そして連帯といった、キリスト教、これまで人類が築き上げてきた遺産や伝統にある価値観に基づいていなければならない。これらの価値観は、異なる宗教や信仰にも見られるだけでなく、人権に深く出したものである。
子どもたちは、自らが、創造性、物事に対する不思議に思う感覚や探究心を育んでいかなければならない。また、自分自身や他の人や自然を大切にすることを学び、基本的な知識とスキルを身に付けなければならない。そして、子どもたちは自らの年齢と能力に応じて社会参加する権利がある。
保育施設は、子どもたちに対して信頼と敬意を持って関わり、乳幼児期の本質的な価値を認識する必要がある。子どもが幸せで、楽しく遊び、学ぶことの喜びを享受し、社会生活や友情を育む難しさや安心感を与える場所でなければならない。そして、保育施設は、民主主義と平等を尊び、あらゆる差別に立ち向かう場所でなければならない。
この理念が、これから述べる「中核を占める価値観」につらなる。
そして、「子どもの必要とするケアと遊び保障し」や、「学びや人格形成を育む」ことを担保する保育所運営の両輪が、
フレームワークプラン
モニタリング制度
である。
1 フレームワークプラン
そして上記の法律では、
「教育研究省は、保育施設で提供される保育内容と業務にかんする詳細なガイドライン(フレームワークプラン)制定の法定を策定ななければならない」
とし、各保育施設は、その概要に沿って、
(1)中核を占める価値観
(2)役割と責任
(3)目的と内容
(4)子供の参加
(5)子供と保育施設との連携。
(6)家庭・保育施設内・及び小学校教育との連携
(7)教育機関としての保育施設
(8)指導方法
(9)学びの7領域
を策定し、
そして、
子どもたちが自らが進んで参加するためには、これらの療育が子どもたちにとって意味のあるものであり、かつ、楽しいものであることが重要であるとしている。
あわせて、興味関心を揺さぶられる内容を通して、様々な考え方や意見を分かち合う学びの共同体が生まれることが期待されている。
さらに、(7)教育機関としての保育施設 で規定する通り、
保育計画が保育施設法およびフレームワークプランに基づいて計画されたものであり、その計画に基づく保育実践であったかどうかを確認、分析することが重要であり、それらは、保育スタッフ全員の振り返りを基軸に行われる。
保育施設法およびフレームワークプランに則っているかどうかを示す計画、評価、実践の記録などは保管され、求めに応じて保護者や地域社会、地域行政や関係者に提供される。
で、実質的な学びの内容は以下のとおりまとめらる。
次回は、実践場面のでの有効性をユニークな仕組みによって担保していくモニタリングについてである。
《見出し写真の補足》
司馬遼太郎の墨蹟が小径沿いにありました。
幾億の足音が
吐く息が
そもそも保育所の目的は「子守」や「託児」だっただろう。
担った人たちは家庭やコミュニティでの自然に育っていく子どもたちの姿をイメージし、それに近づけようとしだろう。
それは近代の学校のもつ教育の機能的なあり方とは一線を画していた。
いわば「子ども(らいし)時間の確保」である。
そして、つかみどころのないそのイメージの中に子どもがいることこそが、子どもたちの将来の“大きなこと”になるように思われるし、実際そうだろう。
「予測困難で不確実、複雑で曖昧」の未来に対して確実にできうることともいえる。
もちろん、保育所も社会的機関である。
行わる保育は意図的に行われ、説明と評価とがあるべきである。
しかし、逆に、その中でこそ漠然としたイメージとしての「子ども(らしい)時間」が確かな形となって見えてくる可能性があるのではないか。
そんな作為的な無作為みたいなことができるのかどうか、あるべき「子ども(らしい)時間」にむけて、各国の知恵を訪ねたい。
テキスト:
秋田喜代美/古賀松香『世界の保育の質評価‐制度に学び、対話を開く‐』明石書店
ノルウェー1
ニュージーランドに続いて、乳幼児教育を「北欧福祉モデル」として促進させている北欧諸国の保育を見に行きたい。
ただし、安定した福祉国家に見える北欧諸国も、産業の育成、労働問題、女性の社会進出などの背景あり、保育制度のあり方の常に問われてきている。現行の保育の仕組みも比較的最近確立されていることはリアリティがある。
今回はノルウェイである。
ノルウェーは、「世界幸福度ランキング」でずっと1位で、教育制度の評価が高い。
この国の保育はどうなっているのか。
まず、「幼保一体型保育施設法」(保育施設法)という法律からである。
「子どもが必要とするケアと遊びを保障し、全人格的発達の基礎となる学びや人格形成をはむばなければならない」
保育施設は子どもたちのために存在することが第1義に明記され、
「保育施設に通う子どもたちは、日々活動に自らの見解を述べる権利がある。活動計画が評価には積極的に参加する機会が定期的に与えなければならない。その際、子どもたちの見解は、年齢や成熟度に応じて配慮されなければならない。」
として、子どもたちは保育に参加する能動的存在として規定している。
「子どものため」を強く打ち出すこの法律の第一条は、
幼保一体型保育施設は、各家庭の協力とよき理解のもとで、子どもが必要とするケアと学びを保障し、あらゆる発達の基礎となる学びや人格形成を育まなければならない。保育施設は、人間の尊厳や自然への畏敬の念、知的自由、事前、寛容、平等、そして連帯といった、キリスト教、これまで人類が築き上げてきた遺産や伝統にある価値観に基づいていなければならない。これらの価値観は、異なる宗教や信仰にも見られるだけでなく、人権に深く出したものである。
子どもたちは、自らが、創造性、物事に対する不思議に思う感覚や探究心を育んでいかなければならない。また、自分自身や他の人や自然を大切にすることを学び、基本的な知識とスキルを身に付けなければならない。そして、子どもたちは自らの年齢と能力に応じて社会参加する権利がある。
保育施設は、子どもたちに対して信頼と敬意を持って関わり、乳幼児期の本質的な価値を認識する必要がある。子どもが幸せで、楽しく遊び、学ぶことの喜びを享受し、社会生活や友情を育む難しさや安心感を与える場所でなければならない。そして、保育施設は、民主主義と平等を尊び、あらゆる差別に立ち向かう場所でなければならない。
この理念が、これから述べる「中核を占める価値観」につらなる。
そして、「子どもの必要とするケアと遊び保障し」や、「学びや人格形成を育む」ことを担保する保育所運営の両輪が、
フレームワークプラン
モニタリング制度
である。
1 フレームワークプラン
そして上記の法律では、
「教育研究省は、保育施設で提供される保育内容と業務にかんする詳細なガイドライン(フレームワークプラン)制定の法定を策定ななければならない」
とし、各保育施設は、その概要に沿って、
(1)中核を占める価値観
(2)役割と責任
(3)目的と内容
(4)子供の参加
(5)子供と保育施設との連携。
(6)家庭・保育施設内・及び小学校教育との連携
(7)教育機関としての保育施設
(8)指導方法
(9)学びの7領域
を策定し、
そして、
子どもたちが自らが進んで参加するためには、これらの療育が子どもたちにとって意味のあるものであり、かつ、楽しいものであることが重要であるとしている。
あわせて、興味関心を揺さぶられる内容を通して、様々な考え方や意見を分かち合う学びの共同体が生まれることが期待されている。
さらに、(7)教育機関としての保育施設 で規定する通り、
保育計画が保育施設法およびフレームワークプランに基づいて計画されたものであり、その計画に基づく保育実践であったかどうかを確認、分析することが重要であり、それらは、保育スタッフ全員の振り返りを基軸に行われる。
保育施設法およびフレームワークプランに則っているかどうかを示す計画、評価、実践の記録などは保管され、求めに応じて保護者や地域社会、地域行政や関係者に提供される。
で、実質的な学びの内容は以下のとおりまとめらる。
次回は、実践場面のでの有効性をユニークな仕組みによって担保していくモニタリングについてである。
《見出し写真の補足》
司馬遼太郎の墨蹟が小径沿いにありました。
幾億の足音が
坂に積り
吐く息が
谷を埋める
わが箱根にこそ