★ 第14回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会連帯報告
ガッツせんべい応援団 久保 敬(元大阪市立小学校校長)
1,「提言書」が発端の「文書訓告」処分をめぐるこれまでの活動の経過
・2021.5.17 松井一郎前大阪市長と山本教育長宛に「提言書」を送付
・2021.8.20 「文書訓告」処分を受ける
・2022.1.24 教育長宛に「文書訓告」取り消しの要望書を提出
市教委からの回答がないまま2022年3月末日をもって定年退職
・2023.1.29 大阪弁護士会に「文書訓告」取り消しを求めて人権侵害救済申立
「ガッツぜんべい応援団」結成
市教委への要請書(1回目)提出と記者会見の実施
・2023.3.18 第1回応援団報告集会(国労会館)
人権侵害救済申立、市教委への「文書訓告」取消要請の報告
・2023.4.18 第1回市教委協議
3.20の「文書訓告」は取り消さない旨の市教委回答を受けて
・2023.5.19 大森不二雄特別顧問のメールについて公開請求
・2023.7.11 130通、1123枚に及ぶ大森不二雄特別顧問と教育委員会事務局総務部長、教育政策課長とのやり取りが公開
・2023.9.20 大阪弁護士会に追加資料の提出(大森メールから判明したこと)
・2023.10.9 応援団中間報告会(エルおおさか)
公開された「大森メール」から分かった衝撃の事実!!
・2023.12.16 ガッツせんべい応援団交流会(大阪公立大学内「メタセコイア」)
・2024.1.29 市教委へ第2次要請文提出、記者会見
・2024.2.6 大阪市会に「大阪市特別顧問による不当な支配服する教育行政の抜本的な改善を求める」陳情書を提出
・2024.2.19 教育こども委員会 陳情は不採択だったが、すべての会派が質問・意見
・2024.3.7 第2次要請書に対する市教委の回答
・2024.4.1 第2次要請書に基づく市教委協議に向けての事前質問を提出
・2024.5.7 日本外国特派員協会(FCCJ)での記者会見
・2024.5.21 第2回市教委協議特別顧問が役割については明確にする旨の返答
2,「文書訓告」取り消しを求める意味
2012年、当時の橋下徹大阪市長は、教職員への管理・統制を強め、教育の自由を奪う目的で、国旗国歌条例、教育行政基本条例、学校活性化条例をつくりました。学校は、子どもも教職員も競争を強いられ、数値評価で序列化され、内心の自由さえ抑圧される息苦しい場となりました。数値による成果や効率を過度に求める非人間的な教育によって、人間としての尊厳を傷つけ続けられていると言っても過言ではありません。
斉加尚代監督の映画「教育と愛国」の中では安倍元首相が「教育に政治がタッチしてはいけないはずがない」と発言し、当時の大阪維新の松井知事と握手をしていることからもわかるように、これは大阪だけの問題ではありません。
先の日本の軍国主義、侵略戦争を反省し、国に命を捧げよと教えた教育勅語を廃止して作られた民主的な教育基本法が崩されており、再び戦争できる国になって行くのではないかとさえ思います。恐ろしいことに、国家権力が支配する教育システムが、着実に進行しているのです。
しかし、このように教育が変節していく状況を「おかしい」と思いながらも、自分一人が何か言ったところで変わるわけでもないと思考停止し、やり過ごしてきた自分がいました。
子どもたちには「自分一人の意見だと思っても勇気を出して言おう、嫌なことはイヤだと言っても構わないんだよ」と言っておきながら、自分は黙ったまま…。市長への怒りは、自分への怒りにかわりました。
このまま何も行動せずに定年退職したら、一生後悔し続けると思いました。自分が自分であるための、自分が教師になった意味を失わないための「提言書」だったのです。
「提言書」によって「文書訓告」処分を受けることになりましたが、当初は、「提言書」が「卒業論文」なら、「文書訓告」は「卒業証書」だと言っておりました。
しかし、海外の研究者の方々に「『文書訓告』をこのまま放置することは、後々の教育に悪い影響を及ぼすにちがいない。正統性のない理由での『文書訓告』を許せば、さらに何も意見が言えなくなり、ますます抑圧的な学校になる」と言われたことがきっかけで、人権侵害救済申し立てを行うことを決心しました。
これは、自分個人の名誉を回復したいというような思いではありません。政治権力が不当に学校に介入してきたことへの異議申し立てが、あの「提言書」であり、その意見が「文書訓告」という形でさらに圧力をかけられたのです。もはやぼく個人の問題ではなく、子どもや教職員全体に対する人権侵害であり、許すことはできないと考えるに至ったからです。
「共に学び共に育ち共に生きる」子どもたち一人一人を大切にした豊かな教育を創りたいと願っています。経済や政治、社会の価値観そのものを、私たち一人一人が自分自身に問い直すことが必要です。必要なことは「答え」ではなく、「問い」です。考えの違いで「敵」「味方」に分かれてしまうのではなく、多様な「対話」を粘り強く続けていきたいと考えています。
3,今後のガッツせんべい応援団の活動について
これまでの行政とのやり取りから、内部の意思決定があまりにも不透明であると情報公開請求を行った結果、公開された情報から驚くべき事実が判明しました。
アドバイザーという立場であるはずの大森不二雄特別顧問が、ぼくの処分問題や教育政策に関わる案件に市教委幹部職員に直接指示したり、知事や市長の名前を出して自身の意に沿うような政策変更を強要したりする多くのメールが明らかになったのです。
大森特別顧問の教育委員会への関与のあり方を問題にしてきたのは、政治的権力による不当な介入によって教育委員会の独立性が失われていることに対してであり、2024年3月末を以て大森氏は特別顧問の職を辞しましたが、それで問題が解決したわけではありません。
教育委員会が自律性を取り戻し、子ども、保護者、教職員の声を聴き、学校現場と共に教育を創っていくことができるよう、「対話」を続けていくことが重要だと考えています。
戦前のような非民主的な教育の復活を許すようなことがあってはなりません。「おかしいことは、おかしい!」と声をあげることは当たり前の権利であることを一人でも多くの人たちと確かめ合い、連帯していきたいと思います。今、海外の教育研究者の方々を含め、連帯の輪は広がりつつあると感じています。みなさん、共に声をあげていきましょう!
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