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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

学童保育は「サービス」でなく「児童福祉」、子どもの立場で指導する力が求められている

2019年04月13日 | こども危機
 ◆ 学童保育の預かり拒否
   自治体は福祉の視点を
(『東京新聞』【視点】)
生活部・今川綾音

 小学生が放課後を過ごす学童保育(放課後児童クラブ)。共働きやひとり親の家庭が増え必要性が高まる中、児童福祉が専門でない事業者の参入によるトラブルを取材した。
 神奈川県横須賀市にある民設民営の学童保育が一年前、「指導員の言うことを聞かない」と児童二人の預かりを拒否した。保護者は、事業者に補助金を出している市に相談したが、いまだに学童を利用できずにいることを報じた(二月二十六日夕刊)。
 この記事に対し、本紙の子育てサイト「東京すくすく」に「断られても仕方がない」との指摘が多数寄せられた。
 「子どもに問題があるのに受け入れうと要求するのはモンスターペアレント」「学童にそこまで求めるな。現場は回らない」。つまり「事業者が子を選ぶのは仕方がない」という意見だ。
 一定数はあると思ったが、ここまでとは正直やり切れない思いだった。

 私も手のかかる「問題児」の親として、二年前まで「受け入れを拒否されても仕方がない」と思っていた。
 息子は一年生の時、同学年の友だちに乱暴する、指導員の言うことを聞かない、ルールを守らないーと問題行動のオンパレードだった。
 毎日学童に預けるのが指導員に申し訳なく、夏休みは遠方の両祖父母宅へ何日も行かせた。
 そんな息子に粘り強く付き合い、学童生活に徐々になじませてくれたのは指導員たちだった。
 「いろんな子がいるが、それが学童。任せていただいて大丈夫ですよ」。
 その言葉に励まされ、学童と密に連絡を取りながら二年間息子を見守ってきた。

 三年生になった今、息子は生き生きと学童に通い、目立った問題行動もなく落ち着いている。
 たしかに、受け入れ側の苦労もあるだろう。
 ただ、そもそも学童保育は「サービス」でなく「児童福祉」と位置づけられている。その視点は見落とされがちだ。
 全国学童保育連絡協議会の佐藤愛子事務局次長は言う。
 「『学童はお金になる』と参入し、『言うことを聞かないならやめてもらう』との意識で運営する事業者が増えている。でも本来は指導員に、問題のある子が納得できる指導をする力が求められる
 二月の市議会では、「子どもの立場で考えていない」との指摘も出たが、市は「事業者と保護者が話し合いにより解決してほしい」と繰り返すばかり。まるで人ごとだ。
 補助金も出しているのに当事者意識が欠けていないか。

 子どもが安全に過ごせ、保護者が安心して預けられるー。取材では、学童保育にとって一番大事な視点が置き去りにされていると強く感じた。
 二〇一五年に見直された子育て支援制度で「市町村事業」と位置付けられた学童保育。
 必要な支援を受けられない人をなくすためにも、「保育の質」の担保について、自治体がもっと手厚く関わる必要がある。
『東京新聞』(2019年4月9日)

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