パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

世田谷区『日本語教育』

2008年01月08日 | 平和憲法
 ▲ 問題だらけの世田谷「日本語教育」
徳永恭子(東京教育文化研究所コーディネーター・世田谷区教員)

 世田谷では二〇〇七年度から教科「日本語」が導入された。もともと〇三年、当時の世田谷教育委員会指導課長の「美しい日本語を世田谷の学校から」という提案を受けて検討が始められた。
 国語とどこが違うのか、どういう時間を使うのか、子どもの負担にならないか、など様々の問題が指摘されたものの、一方的な伝達で実施に至った。
 そして現在教室で指導されでいるが、小学校、中学校様々な問題点、矛盾点、子どもや教師へのストレスが指摘されている。世田谷区教職員組合は指導部交渉をしたり、プロジェクトチームを立ち上げ問題点を指摘したり、現場の教師のアンケートを取り分析したりしている。この内容の一部はそのアンケートを参考にさせてもらった。

 ▲一年生の教室は寺子屋と化す

 子ども達がやっと漢字を習い始めた二学期早々教室では「子日く、学びて時にこれを習う。亦た悦ばしからずや。朋あり。遠方より来る。亦た楽しからすや…」と暗唱の声が響く。大きな模造紙に文字がかかれているが、この中に習った漢字は一つもない。しかし子どもたちは意味がわからず呪文のように唄えているのはもちろん、「悦ばしからずや」の言葉襲は発音さえ出来ない子がいる。江戸時代の寺子屋が想起された。子どもたちを混乱させているという点では、それ以下の教育内容かもしれない。

 この時期の一年生はひらがなをやっと覚え、カタカナと漢字が一気に出てくるので、覚えるのに負担が大きい時期でもある。これが発達段階をうるさく言う教育委員会の作成した教科書である。指導計画をきちんと立てるように、子どもの自発性、自主性を育てるようにと校内研究に来る指導主事がいつも言うことと、まるっきり反対のことを現場に強要している。指導案は一応来るが、指導予定のぎりぎりに配布され、使える教材は何も提示されない。教材研究の時間は皆無である。しかも論語が何故日本語かという疑問には何一つ教育委員会からの返答はない。
 「太子堂橋の子連れきつね」という民話もはいっている。世田谷の民話という点から選択されたのだろうが、漢字で書かれている。一応ルビは振ってあるが、とても小さい字でかかれているから、子どもにとって読むだけでも拷問である。民話への興味関心よりも難しいなという感想が先にきて、嫌いになる子どもが出てきても不思議ではない。おもしろい民話やお話をたくさん読み聞かせした方が興味を広げ、楽しい授業になると思う。

 ▲日本語ぎらいの子どもがふえる

 新学期が始まってからも、教科書は届かない、もちろん指導書も届かない。やっと到着してから、見ていた教師が「ワー難しくて私もわからない」と低学年の教科書を見て悲鳴をあげた。高校生の教科書かと見違えてしまうほどである。
 杜甫「遅日、江山麗しく、春風花草香し。泥融けて、燕子飛び、沙暖かにしで、鴛鴦睡る」大人でも読みがながついていなくてはさっと読めない。ましてや一、二年生にこの深い意味や風景や作者の心情を読み取るのは困難である。
 世田谷教組のプロジェクトが一○月に調査したアンケートに小学校の一一八名の教員が次のように答えている。

 *指導案の内容はどうですか。
  ・難しく実態に合わない・・・50%
  ・指導資料不足・補助が必要・47%
  ・単調で効果的授業が難しい・57%
 *導入にあたっての準備は
  ・不十分な面がある・・・・・23%
  ・準備不足・・・・・・・・・43%
  ・導入すべきではなかった・・34%


 これは小学校の実態で中学校は専門以外の教師が教えざるをえないなど、また別の問題がある。子どもや教師への負担を増加させ、「日本文化・伝統への理解」や「美しい日本語」などと違憲教育基本法の先取りした内容の押し付けば早急に中上すべきである。「日本語」嫌いの子どもを増やさないためにも、早く日本語教育を検討しなおすべきである。(とくながきょうこ)

『子どもと教科書 全国ネット21NEW』S vol.57(2007.12/15)

コメント    この記事についてブログを書く
« 新宿区、新人教員自殺の公務... | トップ | 「君が代」強制・処分・解雇... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

平和憲法」カテゴリの最新記事