◆ 3000万人署名も集めた高校卒業式校門前ビラまき (『多面体F』)
今年も卒業式の季節がやってきた。わたくしが校門前チラシ配布に参加したのは2008年で、一度だけ行けない年があったので今年で10回目になる。
都教委包囲・首都圏ネットワークのビラの表面はいつもと同じく「卒業生・在校生、教職員、保護者の皆さん 誰にも立たない、歌わない自由があります」というものでこの14年で被処分者はのべ480人を超えたことを述べる。今年は安倍首相の自衛隊明記の憲法9条「改正」、さらに「ひとりひとりが考え、いっしょに考えて行動していきましょう」と訴える。
裏面は、トランプ大統領の戦争政策、安倍首相も戦争にまっしぐら、憲法9条改定を狙う安倍、改憲項目の教育無償化も落とし穴、と時事解説を行い最後は吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」を引用し「若者たちが政治に関心を持ち声を上げるとき、社会は変わります。力強く未来を切り開いていきましょう」と結んでいる。
3月3日ひな祭りの日、今年ははじめて工業高校でビラまきをした。墨田区森下5丁目にある墨田工業高校だ。都営地下鉄新宿線菊川駅から400m、三つ目通りと小名木川にはさまれ、向かいは深川一中、東京都現代美術館(現在、大規模修繕のため休館中)まで600mの場所だ。
この学校はたいへん古い歴史を持つ。明治33(1900)年2月東京府職工学校として菊川1丁目に設立されたので118年もの歴史がある。1948年から2004年まで50年以上中央区月島に分校があった。もうひとつ、2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士が1958年から5年間定時制に勤務していた。墨工学友会作成の顕彰記念石碑が、敷地内でいちばん目立つ三つ目通りの交差点に立っていた。「実践 躬行」という大村さんの揮毫、研究業績、さらに石なのに顔写真が入っていた。
機械、電気、自動車、建築の4学科があり、電気のみ2クラスで1学年定員175人ほど(全日制)の小規模校である。
天気は快晴で、比較的暖かかったが、さすがに2時間立っていると体の芯から冷えてしまった。生徒はほとんど学生服の制服なので見分けやすい。女子は1割未満だが、かつての工業高校に比べると多くなったようだ。超ミニの制服だった。
半分以上が自転車通学。生徒は「読んでください」と声をかけると、8割くらい受け取ってくれた。素直で、自転車の生徒には渡せないものの、「お早うございます」と声をかけると半分くらい会釈してくれた。逆に保護者の受取があまりよくなく半数くらいの受取だった。路上でビラは受け取らないという世相の反映だと思われる。お母さんたちは、下町だからかきれいな和服姿の方が多かったように感じた。
校門内で案内係の教職員が6人ほどいたので、「先生、1枚どうぞ」というと「どんな内容ですか」と問われた。「ご卒業おめでとうございます。立たない、歌わない自由があります」というものですと答えると「いりません」ときっぱり拒否されてしまった。チーフ格のようにみえたが、ひょっとすると立場もあり受け取らなかったのかもしれない。
またビラを手にわざわざ話しかけてくれた生徒が1人いて「こういうビラは生徒には渡さないほうがよいと思います」という。「どうしてですか? 国旗国歌の起立斉唱のとき、強制だと勘違いしている人もいるかもしれないので、そんなことはないことを知らせるビラなのですが・・・」と答えると、「もう時間がないので」と立ち去ろうとするので「話しかけてくれてありがとう」と答えておいた。態度はていねいでまじめだったが、こういう体験は初めてだった。
学校側からは、8時半ごろ副校長がビラを手に出て来て「生徒に撒くなとはいえませんが、生徒に影響が出ないよう配慮をお願いします」と一度言われただけだった。「自転車の生徒には気をつけており、渡さないようにしています」と答えておいた。
朝8時5分から10時までで1人で172枚撒けた。自転車通学の生徒が多いことを考えると、かなりの受取だったと思う。
◆ 3月10日は東京大空襲73周年の日だった。「安倍9条改憲NO! 中央区民アクション」の方といっしょに晴海総合高校の校門前で8人で撒いた。地下鉄月島駅から徒歩8分、1学年270人、女子が8割の学校だ。
「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」(3000万人署名ともいう)は昨年9月にはじまったが、中央区の会は11月に準備会からスタートし、正式発足したのは1月末である。わたくし個人としては、9月からいろんな場所で集め130筆ほどになった。
署名の内容は、 1 憲法9条を変えないでください 2 憲法の平和・人権・民主主義が生かされる政治を実現してください。という2項目のシンプルな内容だ。
中央区の都立高校はここ1校しかないので、この学校でやることになった。正面入り口には「第20回卒業式」という立て看板が1枚あるのみ、校舎側面の掲揚ポールに国旗、都旗、学校旗の3本が翻っていた。
生徒はほぼ全員制服姿だった。昨年同様、生徒も保護者も受取が悪く、枚数は152枚にとどまった。
学校側からははじめて10分ほどしたころに校門前指導をしていた生徒部の教師が「過度には生徒に渡さないでください」と言ってきたので、「受け取ってくれる生徒にしか渡していません」と答えておいた。学校からの注意はその1回だけだった。
教師がそばで立っていた数分間は、ほぼすべての生徒がビラを受け取ってくれた。皮肉なものである。
生徒の出欠確認が8時半、保護者の受付開始が9時20分と聞いていたので、その間、時間が空いてしまうと思っていたのだが、出欠確認は在校生だけで、卒業生は8時40分くらいから9時半くらいまでにボツボツ登校していたようだった。わたくしは3000万人署名はゼロ筆だったが、グループ全体で、通行人も合わせて14筆集まったのは収穫だった。
校門前行動のあと、14階建て100戸ほどの都営団地の全戸訪問を10人で行った。わたくしが戸別訪問をするのは初めての体験だった。半分以上は不在か空き家、インターフォンが通じるかドアを開けてくれた家も「お断り」「いま出かけるところで忙しい」などの対応で収穫はゼロ、しかし全体では18筆集まった。1週間前にチラシの全戸配布をしたせいもあるのだろうが、この率はすごいと思う。
メンバーのなかには、30代くらいの男性と長話ができ、「改憲にはもっと議論が必要だ。ただ平和ボケしているのは確かなので、そういう意味でも議論が必要」といっておられた方や、署名用紙を渡すとわざわざ追いかけてきて署名を届けてくださった方もいたそうだ。
そのあと駅前で署名集めをした。月に一度、太陽のマルシェというイベントをやっているので、その日時に合わせた。たしかにいつもより通行量が多い。わたくしは1時間弱で4人、グループ全体では26筆集まった。隣では英会話学校のチラシ配りをしていた。早朝から4時間屋外で立っていると、体がすっかり冷え切った。
これに先立ち2月25日に今年も飯田橋の◆ 東京しごとセンターで総決起集会があった。10.23通達で処分された教員は14年で480人に上る。わたくしの印象に残った3人の報告の一部を紹介する。
●2016年の卒業式の不起立で480人目の被処分者となった現職高校教員の方
10.23通達以前は職員会議などでも「こんなのはおかしい」という議論があった。それから14年議論もなく、疑問も持たなくなった。2月末に包括的職務命令書が配布されたが、それに対し「ありがとうございます」という若い教員すらいた。いま50代後半の教員が定年退職すると、さらに状況は難しくなりそうだ。
●今春から教科になる道徳を研究されている小学校教員の方
入学者説明会で、入学前に身につけたい習慣を学校側が執拗に説明する。公が私に平気で介入して何とも思っていない。フランスでは、いろんな教育を受けデコボコ状態の子どもをいかに公教育に受け入れるかがスタートになっているのに、日本は、とくに最近では初めからパーッと均(なら)し、みな同じ状況にしてから学校に来させる。そんななか道徳の教科化が始まり、教科書を使い評価が始まるのは恐ろしい。ところが現場では、教科書や評価を全面的に受け入れる雰囲気になっている。なおどのように教科書を使うか、など具体的な提案もいくつか話されたが、対抗措置を取られてもいけないので、あえて紹介しない。
●「オリンピック災害」おことわり連絡会の方
東京都庁では「都民・国民の心を一つにする必要がある」との認識から昨年6月16日「音楽を流せばいつでも誰でも一緒に体を動かすことができる」ラジオ体操の普及促進を決定し、庁舎内で2020年まで毎日14時55分から体操をしている。この発想はまさにファシスト的なものだ。それだけでなく、8月には全国の都道府県に「ゆるキャラや知事自身が参加するラジオ体操動画の送付」を依頼し、京都、愛媛、熊本、徳島、神奈川など1府12県の動画が届いた。「ゆりーと君」の「みんなでラジオ体操プロジェクト」のぼりまで作成した。
この団体は、学校での「オリンピック・パラリンピック教育」の撤回・中止を求める署名を募っている(ウェブ署名もできるこのサイトを参照)
最後は、恒例の「団結がんばろう!」で締めた。
『多面体F』(2018年03月12日)
https://blog.goo.ne.jp/polyhedron-f/e/83abf492a0900bffe0e0489ac10d1429
今年も卒業式の季節がやってきた。わたくしが校門前チラシ配布に参加したのは2008年で、一度だけ行けない年があったので今年で10回目になる。
都教委包囲・首都圏ネットワークのビラの表面はいつもと同じく「卒業生・在校生、教職員、保護者の皆さん 誰にも立たない、歌わない自由があります」というものでこの14年で被処分者はのべ480人を超えたことを述べる。今年は安倍首相の自衛隊明記の憲法9条「改正」、さらに「ひとりひとりが考え、いっしょに考えて行動していきましょう」と訴える。
裏面は、トランプ大統領の戦争政策、安倍首相も戦争にまっしぐら、憲法9条改定を狙う安倍、改憲項目の教育無償化も落とし穴、と時事解説を行い最後は吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」を引用し「若者たちが政治に関心を持ち声を上げるとき、社会は変わります。力強く未来を切り開いていきましょう」と結んでいる。
3月3日ひな祭りの日、今年ははじめて工業高校でビラまきをした。墨田区森下5丁目にある墨田工業高校だ。都営地下鉄新宿線菊川駅から400m、三つ目通りと小名木川にはさまれ、向かいは深川一中、東京都現代美術館(現在、大規模修繕のため休館中)まで600mの場所だ。
この学校はたいへん古い歴史を持つ。明治33(1900)年2月東京府職工学校として菊川1丁目に設立されたので118年もの歴史がある。1948年から2004年まで50年以上中央区月島に分校があった。もうひとつ、2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智博士が1958年から5年間定時制に勤務していた。墨工学友会作成の顕彰記念石碑が、敷地内でいちばん目立つ三つ目通りの交差点に立っていた。「実践 躬行」という大村さんの揮毫、研究業績、さらに石なのに顔写真が入っていた。
機械、電気、自動車、建築の4学科があり、電気のみ2クラスで1学年定員175人ほど(全日制)の小規模校である。
天気は快晴で、比較的暖かかったが、さすがに2時間立っていると体の芯から冷えてしまった。生徒はほとんど学生服の制服なので見分けやすい。女子は1割未満だが、かつての工業高校に比べると多くなったようだ。超ミニの制服だった。
半分以上が自転車通学。生徒は「読んでください」と声をかけると、8割くらい受け取ってくれた。素直で、自転車の生徒には渡せないものの、「お早うございます」と声をかけると半分くらい会釈してくれた。逆に保護者の受取があまりよくなく半数くらいの受取だった。路上でビラは受け取らないという世相の反映だと思われる。お母さんたちは、下町だからかきれいな和服姿の方が多かったように感じた。
校門内で案内係の教職員が6人ほどいたので、「先生、1枚どうぞ」というと「どんな内容ですか」と問われた。「ご卒業おめでとうございます。立たない、歌わない自由があります」というものですと答えると「いりません」ときっぱり拒否されてしまった。チーフ格のようにみえたが、ひょっとすると立場もあり受け取らなかったのかもしれない。
またビラを手にわざわざ話しかけてくれた生徒が1人いて「こういうビラは生徒には渡さないほうがよいと思います」という。「どうしてですか? 国旗国歌の起立斉唱のとき、強制だと勘違いしている人もいるかもしれないので、そんなことはないことを知らせるビラなのですが・・・」と答えると、「もう時間がないので」と立ち去ろうとするので「話しかけてくれてありがとう」と答えておいた。態度はていねいでまじめだったが、こういう体験は初めてだった。
学校側からは、8時半ごろ副校長がビラを手に出て来て「生徒に撒くなとはいえませんが、生徒に影響が出ないよう配慮をお願いします」と一度言われただけだった。「自転車の生徒には気をつけており、渡さないようにしています」と答えておいた。
朝8時5分から10時までで1人で172枚撒けた。自転車通学の生徒が多いことを考えると、かなりの受取だったと思う。
◆ 3月10日は東京大空襲73周年の日だった。「安倍9条改憲NO! 中央区民アクション」の方といっしょに晴海総合高校の校門前で8人で撒いた。地下鉄月島駅から徒歩8分、1学年270人、女子が8割の学校だ。
「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」(3000万人署名ともいう)は昨年9月にはじまったが、中央区の会は11月に準備会からスタートし、正式発足したのは1月末である。わたくし個人としては、9月からいろんな場所で集め130筆ほどになった。
署名の内容は、 1 憲法9条を変えないでください 2 憲法の平和・人権・民主主義が生かされる政治を実現してください。という2項目のシンプルな内容だ。
中央区の都立高校はここ1校しかないので、この学校でやることになった。正面入り口には「第20回卒業式」という立て看板が1枚あるのみ、校舎側面の掲揚ポールに国旗、都旗、学校旗の3本が翻っていた。
生徒はほぼ全員制服姿だった。昨年同様、生徒も保護者も受取が悪く、枚数は152枚にとどまった。
学校側からははじめて10分ほどしたころに校門前指導をしていた生徒部の教師が「過度には生徒に渡さないでください」と言ってきたので、「受け取ってくれる生徒にしか渡していません」と答えておいた。学校からの注意はその1回だけだった。
教師がそばで立っていた数分間は、ほぼすべての生徒がビラを受け取ってくれた。皮肉なものである。
生徒の出欠確認が8時半、保護者の受付開始が9時20分と聞いていたので、その間、時間が空いてしまうと思っていたのだが、出欠確認は在校生だけで、卒業生は8時40分くらいから9時半くらいまでにボツボツ登校していたようだった。わたくしは3000万人署名はゼロ筆だったが、グループ全体で、通行人も合わせて14筆集まったのは収穫だった。
校門前行動のあと、14階建て100戸ほどの都営団地の全戸訪問を10人で行った。わたくしが戸別訪問をするのは初めての体験だった。半分以上は不在か空き家、インターフォンが通じるかドアを開けてくれた家も「お断り」「いま出かけるところで忙しい」などの対応で収穫はゼロ、しかし全体では18筆集まった。1週間前にチラシの全戸配布をしたせいもあるのだろうが、この率はすごいと思う。
メンバーのなかには、30代くらいの男性と長話ができ、「改憲にはもっと議論が必要だ。ただ平和ボケしているのは確かなので、そういう意味でも議論が必要」といっておられた方や、署名用紙を渡すとわざわざ追いかけてきて署名を届けてくださった方もいたそうだ。
そのあと駅前で署名集めをした。月に一度、太陽のマルシェというイベントをやっているので、その日時に合わせた。たしかにいつもより通行量が多い。わたくしは1時間弱で4人、グループ全体では26筆集まった。隣では英会話学校のチラシ配りをしていた。早朝から4時間屋外で立っていると、体がすっかり冷え切った。
これに先立ち2月25日に今年も飯田橋の◆ 東京しごとセンターで総決起集会があった。10.23通達で処分された教員は14年で480人に上る。わたくしの印象に残った3人の報告の一部を紹介する。
●2016年の卒業式の不起立で480人目の被処分者となった現職高校教員の方
10.23通達以前は職員会議などでも「こんなのはおかしい」という議論があった。それから14年議論もなく、疑問も持たなくなった。2月末に包括的職務命令書が配布されたが、それに対し「ありがとうございます」という若い教員すらいた。いま50代後半の教員が定年退職すると、さらに状況は難しくなりそうだ。
●今春から教科になる道徳を研究されている小学校教員の方
入学者説明会で、入学前に身につけたい習慣を学校側が執拗に説明する。公が私に平気で介入して何とも思っていない。フランスでは、いろんな教育を受けデコボコ状態の子どもをいかに公教育に受け入れるかがスタートになっているのに、日本は、とくに最近では初めからパーッと均(なら)し、みな同じ状況にしてから学校に来させる。そんななか道徳の教科化が始まり、教科書を使い評価が始まるのは恐ろしい。ところが現場では、教科書や評価を全面的に受け入れる雰囲気になっている。なおどのように教科書を使うか、など具体的な提案もいくつか話されたが、対抗措置を取られてもいけないので、あえて紹介しない。
●「オリンピック災害」おことわり連絡会の方
東京都庁では「都民・国民の心を一つにする必要がある」との認識から昨年6月16日「音楽を流せばいつでも誰でも一緒に体を動かすことができる」ラジオ体操の普及促進を決定し、庁舎内で2020年まで毎日14時55分から体操をしている。この発想はまさにファシスト的なものだ。それだけでなく、8月には全国の都道府県に「ゆるキャラや知事自身が参加するラジオ体操動画の送付」を依頼し、京都、愛媛、熊本、徳島、神奈川など1府12県の動画が届いた。「ゆりーと君」の「みんなでラジオ体操プロジェクト」のぼりまで作成した。
この団体は、学校での「オリンピック・パラリンピック教育」の撤回・中止を求める署名を募っている(ウェブ署名もできるこのサイトを参照)
最後は、恒例の「団結がんばろう!」で締めた。
『多面体F』(2018年03月12日)
https://blog.goo.ne.jp/polyhedron-f/e/83abf492a0900bffe0e0489ac10d1429
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