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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

緊急事態宣言で学校はどうなる、東京都教委と大阪府教委にISJが独自取材

2021年04月28日 | こども危機
  《interschool journal》
 ◆ 4都府県に3回目の緊急事態宣言
   都では「GW中、全生徒オンライン学習」

   平松けんじ

東京都の小池百合子知事(23日21時過ぎ、東京・新宿の都庁内=平松けんじ撮影)

 政府は、23日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、東京・大阪・京都・兵庫の4都府県に4月25日から5月11日の間、緊急事態宣言を発出することを決定した。
 菅義偉総理大臣は、23日夜に開いた会見で「大阪、兵庫の感染者数はステージ4の中でも高い水準にあり、医療提供体制はこれまでになく厳しい状況」「東京、京都も感染者数の増加ペースが日増しに高まっており、いわゆるステージ4の水準」「特に懸念されるのは変異株の動きだ。陽性者に占める割合は大阪・兵庫で約8割、京都で約7割、東京でも約3割に上昇するなど、強い警戒が必要。」と指摘。
 「ゴールデンウィークという多くの人々が休みに入る機会を捉え、効果的な対策を短期間で集中して実施をすることにより、ウイルスの勢いを抑え込む必要があると判断した」と述べた。
 ◆ 萩生田文科相「地域一斉休校要請考えていない」

 萩生田光一文部科学大臣は、宣言の再々発出決定に先立つこと数時間前の、23日9時半過ぎ、定例の閣議後会見で、緊急事態宣言を受けた学校の対応について「文科省から地域一斉の臨時休校の要請をすることは考えていない。学びの保障や子どもたちの心身への影響、また子どもを持つ医療従事者が仕事を休まざるを得ない等の観点を考慮する必要があるため、真に必要な場合に限定し、慎重に判断すべき。」と述べた。
 また、萩生田氏は会見の中で部活動の大会について「文科省として一律にやめるべきだとか、一律に何が何でもやるべきだとか進言するつもりもない」と述べ、生徒が大会に向けて努力していることを念頭に「準決勝で終わりというわけにはなかなかいかないと思う。」と述べた。
 ◆ 東京都・小池知事「都立高校はGW中、全生徒がオンライン学習」

 小池百合子東京都知事は、23日21時過ぎ、臨時の記者会見を開き、政府の緊急事態宣言発出を受けた措置として、
   ▽都立高校での時差登校の徹底と分散登校を実施、
   ▽部活動や飛沫感染の可能性の高い活動などの中止
   ▽4月29日から5月9日のゴールデンウィーク期間中に全ての都立高校でオンライン活用し、全生徒を自宅学習とすることを明らかにした。
 これまでも9日の都内23区などへのまん延防止等重点措置適用の際、都教育委員会(都教委)は、
   ▽時差通学の継続、
   ▽飛沫感染の可能性の高い活動の中止、
   ▽部活動の練習試合、合同練習、合宿等の中止
   ▽校外での活動の延期または中止、
   ▽修学旅行等の宿泊行事はGoToトラベル再開までの間延期または中止
 などを決めていたが、緊急事態宣言発出を受け、さらに踏み込んだ形だ。

 都教育委員会の太田喜子総務部企画担当課長は、23日夜、ISJの取材に応じ、緊急事態宣言期間中、
   ▽全生徒の3分の2の規模での分散登校を行う(分散登校のやり方は各学校長判断)、
   ▽部活動は文化部を含めて全面停止(大会参加は除く)とすることを明らかにした。
 また、太田氏は小池知事が表明した「GW期間中のオンラインでの自宅学習」について、「やり方は各学校でそれぞれ異なっているが、例えばクラウド学習支援サービスを活用した配信だったり、あとはオンラインを活用した同時双方向型のホームルーム」と説明。
 太田氏によると、ゴールデンウィーク期間中は、「1日1回以上すべての生徒が必ず同時双方向型の活動を実施する」という。
 前回の緊急事態宣言発出時にZOOMを用いた同時双方向型のオンライン授業を行った日比谷高校や白鴎高校の事例もある一方で、そういった環境を提供できない学校もある。すべての都立高校で本当に実現可能なのか
 太田氏は「今回はBYOD方式(※児童生徒自身の携帯端末を使用する方式)も含めてもちろんやる。そこをやってくださいという風になっている。朝から晩までやれという話ではないので、各学校で与えられた環境の中で工夫してやるという形。」と話した。
 小中学校の対応はどうするのか。
 小池知事は会見で「小中学校は同様の対応を求めないが、感染防止対策の徹底を」と述べた。
 都教育委員会の太田氏は、ISJの取材に対し、「小中について区市町村が方針を決めるし、文科省も対処方針ということでやってますので、感染不安で登校しない子どもへの学びの保障は今回に限らずこの間ずっと求めている。」と述べ、都としては学びの保障を求め続けてきているという認識を示した。
 ◆ 大阪府教委「分散も短縮もしない1教室40人」

 大阪府教育委員会は、23日、府立学校での教育活動について分散登校や短縮授業を行わず、1教室40人までの通常形態の授業を継続する。
 一方で府教委は感染リスクの高い活動は実施せず、感染不安で登校しない児童生徒へのオンラインでの学習支援を行うこととした。
 このほか府教委では修学旅行や校外学習も中止または延期とし、部活動を原則休止とした。
 また、大阪市教育委員会は、23日、学校を休校とせず、
   ▽小中学校でのオンラインを活用した自宅学習
   ▽給食の実施と対面での健康確認、
   ▽部活動は例外を除いて休止とした。
 市教育委員会が23日の市対策本部に提出した資料によると、小中学校では児童生徒が持ち帰ったICT端末を使い、教育委員会が配信する授業動画などを視聴
 その後、登校し、学校で給食を食べる形をとるという。


 ◆ オンライン授業できる学校とできない学校の格差拡大

 小池知事が発表したGW期間中のオンライン同時双方向型の教育活動だが、正直難しいのではないかと疑問を呈さざるを得ない。
 前回の緊急事態宣言時にはZoomなどを活用し、同時双方向型のオンライン授業ができる環境が整備済みの都立高校と、時差通学や分散登校で対応した都立高校がそれぞれあった。
 また、今回都教委のコメントでも「同時双方向を1日1回以上」「10分間のホームルームなどでの活用もあり得る」としていて、必ずしも同時双方向型のオンライン授業ができる環境がすべての都立高校で確保できるわけではない
 確かに子どもの心身への影響という観点でいえば、友人とZoomなどを通じて顔を合わせる機会が作られることは貴重だといえるが、同時双方向の授業をすべての都立高校生が受けられる状態にならなければ、オンライン授業ができる学校とできない学校の間で格差が生じてしまう
 大阪府教育委員会にも同様の話を聞いたところ、一部の府立高校では同時双方向型のオンライン授業が行えるところもあるが、すべての府立高校で同時にそういったことができるほどのインターネットの帯域がないという。
 このようにオンライン授業をめぐって教育格差が広がることは果たして公教育の在り方として適切なのだろうか。
『interschool journal』(2021年04月25日)
http://interschooljournal.officeblog.jp/26189477archives/20210425html
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