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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

現在の日本政府はまるで独裁政権<New YorkTimes>質問を妨害される新聞記者

2019年07月13日 | 平和憲法
 ◆ 戦う!東京新聞 望月記者 《前編》 (星の金貨new)
   モトコ・リッチ / ニューヨークタイムズ 2019年7月5日

The reporter Isoko Mochizuki at The Tokyo Shimbun’s offices. Her interrogations of Japanese officials have made her something of a celebrity.

 首都圏最大の地方新聞の望月衣塑子(いそこ)記者は、ノートパソコン、本、メモを収めたワインレッドの車輪付きのスーツケースを引いて政府の記者会見場に入って行きました。
 彼女は背を向けて座りました。
 そして他の社の新聞記者たちがお行儀良く質問をした後、飛びかかるように質問を発しました。
 日本政府の担当者たちはぐずぐず意味不明の話をしたり、取るに足らない細部について話をして聞く者をウンザリさせますが、望月記者はひるまず答えを要求します。
 政府関係者は一様に彼女の質問が長すぎると批判し、ひどい時には完全に無視します。
 菅内閣官房長官は北朝鮮について質問する望月記者に対し「私はあなたの発問に答える義務はない。」と言い放ち、演壇から飛び降りてつかつかと歩き去っていきました。
 43歳の望月記者はまだ大きな政治的なスキャンダルを暴いたり、実業界を揺るがすような事実を暴いたりといったことはまだしていませんが、鋭く追及する質問を数多く行っています。
 その姿勢が望月記者を日本の報道の自由を守る民衆の英雄のような存在にしています。
 日本の大手メディアの記者たちの多くは、真理の探求者というよりは単なる速記者です。
 しかし望月記者がノーという返事を受け入れることはなく、政治家や官僚を繰り返しイライラさせながら事実について問いただすことをやめません。
 望月記者は自分の使命について
 「権力を持つ人間たちがどのように行動しているのかを実際に監視する」ことだと語り、
 「政府というものは常に国民の目から事実を隠そうとするものなのです。」とつけ加えました。
 質問を繰り返して事実をつきとめる、このような説明はいかなる新聞記者であっても最も基本的な当たり前のことのように聞こえます。
 「(質問を繰り返し事実をつきとめるという定義は)私たちの中では「だから何?」というほど当然の事です。」表現の自由に関する国連特別報告者であり、カリフォルニア大学アーバイン校医学部のデイヴィッド・ケイ教授がこう語りました。
 ケイ教授は日本の報道機関の独立が保たれているかどうか、そのことに懸念を表明しています。
 報道の自由が危ぶまれる状況にある日本において、望月記者の徹底して質問を続ける姿勢は「非常に価値があると考えられます。」ケイ教授がこう語りました。
 少なくとも迎合的に過ぎる日本の報道機関の姿勢に従うことを拒否することはできるのだということを、望月記者は身をもって証明しているのです。
 望月記者は日本政府主催の記者会見に出席できる首都圏担当の取材記者であるという点で珍しい存在ですが、男性支配が続く日本の政治の世界で発言力がひときわ高い女性としても際立っています。
 「彼女はこうした男性社会のなあなあの関係を攻撃しているのです。」
 東京大学で社会科学・メディア研究を専攻する林香織教授がこう語りました。
 望月記者の姿勢は「記者会見場で日本のジャーナリストはどう振る舞うべきかという暗黙の了解に反しているのです。」
 日本は戦後アメリカ軍の占領下で起草された憲法の条文に報道の自由が明記されている近代的民主主義国家であり、ジャーナリストが「国民の敵」と非難されるような場所ではありません。
 しかし現在の日本政府は時に特定のジャーナリストの記者会見場への入場を拒否したり、政治家と報道機関の経営陣との親密な関係を利用して記者たちの行動に制約を加えるなど、まるで独裁政権のような方針の下で行動しています。
 日本の報道界で望月記者の存在を一躍有名にした舞台は政府の記者会見場ですが、ここには内閣府のいわゆる日本記者クラブのメンバーが出席しています。
 記者会見の質問に際しては記者クラブのメンバーが優先され、ときには質問内容を日本政府の役人の検閲が入ります。
 (望月記者の雇用主である東京新聞は記者クラブのメンバーです。東京新聞の記者であるために彼女は参加を許されています。)
 こうした記者クラブは地方の警察署のような小さな組織から首相官邸に至るまで個別に存在し、会員ではないジャーナリストが記者会見に参加することすら妨げたり、政府機関からもたらされる情報を厳しく管理しています
 具体的には今年5月に東京郊外で発生した無差別大量殺人事件では、地元の警察機関は記者クラブのメンバーではないジャーナリストが事件の説明会場に入ることを許可せず、事件についての基本的な事実さえ彼らに明らかにすることを拒否したのです。
https://www.nytimes.com/2019/07/05/world/asia/japan-media.html?searchResultPosition=1
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 こういう記事がいつか掲載されないかな、と願っていたところ、ニューヨークタイムズに掲載されました。
 執筆したのは福島第一原発事故について精力的な報道を行ったマーティン・ファクラー氏の後任のモトコ・リッチさん(女性)です。
 かつて翻訳したガーディアンの【 危機の時代のジャーナリズム 】https://kobajun.biz/?p=32830 / https://kobajun.biz/?p=33171 )にこんな一節がありました。
「ジャーナリズムの本質は、市民一人一人が抱く疑問の答えを一緒に探し続けること。権力者の代弁者や応援団であることはジャーナリズムの本質に悖(もと)る行為」
「『これまでの秩序と態勢を崩壊させる』転換点に立つわたしたちには、ありのままの事実をありのままに伝える報道が必要」
「変化の時代に必要なのは、市民目線でものごとを考えるメディア、そして報道」
 まさに望月記者の姿勢そのものといった感じがします。
 そういえば【 危機の時代のジャーナリズム 】を執筆したのもガーディアンの主筆、女性のキャサリン・ヴァイナーさんでした。
 幸いなことに望月記者にはその報道姿勢を応援する人々がいて、日本の民主主義がまだ死んでいないことにホッとする思いですが、現政権を見る限りホッとばかりしていられません。
 私たちが生きているのはその民主主義を実現させるために数え切れないほどの人々が悲劇に見舞われ、血を流し、苦しい思いをした挙句に実現した社会です。
 決して安易に崩壊させて良いものであるはずがありません

『星の金貨 new』
https://kobajun.biz/%e6%9d%b1%e4%ba%ac%e6%96%b0%e8%81%9e-%e6%9c%9b%e6%9c%88%e8%a8%98%e8%80%85%e3%81%ae%e6%88%a6%e3%81%84%e3%80%8a%e5%89%8d%e7%b7%a8%e3%80%8b/
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