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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

ロンドン高層アパート火災は対岸の火事ではない

2017年06月25日 | 格差社会
 ◆ 規制緩和 (東京新聞【本音のコラム】)
竹田茂夫(法政大教授)

 先週のロンドン高層アパート火災は英国の現在を映し出す事故で、選挙での労働党の善戦に加えて、一九八○年代以降の新自由主義からの反転につながるはずだ。
 悲惨な火災で露呈したのは規制緩和の負の効果だが、格差や人種間のあつれき等も複雑な背景をなす。
 火災にあったアパートはケンジントン地区の北部貧困地域にあり、約百二十世帯の多くは移民や難民の家族だが、同区南部の高級住宅街には億ションが立ち並ぶ。
 二〇一〇年に政権に就いた保守党は公営住宅の民営化や地上げを進める一方で、専門家の勧告やアパート住民の不安の声に耳を傾けずに、最低限の安全規制さえ怠ってきたことが事故後に暴露されている。
 「規制を一つ設ければ二つの廃止」という標語は規制緩和の危うい自己目的化を意味する。
 対岸の火事ではない。

 二〇一五年の山手線の電化柱倒壊(大事故の一歩手前)や福知山線事故は、民営化・外注化と競争圧力で安全性より収益性を重視した結果であり、運輸の規制緩和のあげく昨年の軽井沢バス事故で学生らが犠牲になったのだ。
 規制緩和の大義のために加計学園問題を公正に議論したと言い張る戦略特区会議の経済学者は、背後の政治力学に踊らされるピエロなのか。
 不要な規制に対置すべきは市場原理ではなく、政策過程の透明性だ。

『東京新聞』(2017年6月22日)【本音のコラム】

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