◆ <ご用心>改憲派が「家庭科教科書」攻撃に着手!
狙いは憲法24条改悪
皆さま 高嶋伸欣です
安倍首相の9条加筆改憲案の下地を作ったと言われている「日本会議」のシンクタンクが、次は24条(男女同権の規定)の改悪に向けた動きを早くも見せ始めました。 ご用心 ご用心!
1.安倍首相による9条加筆改憲案は、「日本会議」のシンクタンク「日本政策研究センター」が、護憲派の分断と9条2項の事実上の無意味化という効果があるとして提案したものが下地になっていると言われています。
そうした提案をしていたのが同「センター」の機関誌『明日への選択』(月刊)でした。
2.その『明日への選択』の最新号(17年6月号)に「これでいいのか?高校家庭科教科書」と題した、同「センター」研究部長の論考が登場しました。
3.ここしばらくの間、教科書攻撃の対象は社会科にほぼ限定されていたのですが、いよいよ家庭科にも広げられたようです。
4.ポイントは「ジェンダー」批判と読めます。彼らはもともと「ジェンダーフリー」批判であるのですが、それを教科書では「ジェンダー」と「ジェンダーフリー」とが事実上は同じ意味に使われていると曲解した読み取りをしています(5P目の上段)。そのようなすり替えによって「ジェンダー」記述まで不当とする手法です。
5.彼らはなぜこのことに拘るのか?
6.そのヒントの一つが6月13日の衆議院憲法審査会での自民党・河野太郎議員による自民党改憲案批判発言とそれに対する改憲派の反論続出の事態です。
7.詳しくはネットで<自民党 改憲 家族観>から検索して頂くと経過が分かりますが、河野議員は「家族は助け合わなければならない」などという道徳を憲法に明記する(自民党案では、前文と24条に記述)のには反対と述べたところ、他の自民党議員や日本維新の会議員などから反論が続いたというものです。
8.改憲派が24条を9条に並ぶ改憲の標的にしていたことは、早くから指摘されていましたが、あまり注目はされていませんでした。
9.けれども安倍首相と「日本会議」の結託による改憲の動きがこれだけ具体化されるところまできてしまうと、安穏とはしていられません。
10.24条はGHQの女性スタッフ、ベアテ・シロタさんの努力でGHQ案に組み込まれたことがよく知られています。その一方で、GHQ案を示された日本側がもっとも強く反発したのが天皇の象徴扱いなどの1~8条や9条ではなく、24条の男女平等の規定だったことは、あまり知られていないように思われます。
11.24条の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本とし」関連の事項についての法律は「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」という規定が、当時の日本政府には驚天動地のものだったのです。
12.なぜか? その理由を明快に語っているのが島袋純・琉球大学助教授(当時)による「シロタさんの講演を聴いて」と題した『沖縄タイムス』2001年5月8日のコラム次の一節です(直前の5月3日にシロタさんの講演会が那覇市で開催されたのに呼応したものです)。
13.「なぜ、こうも激しく日本政府は24条の受け入れを拒絶したのか。それは、戦前日本の基盤そのものと言っていい「イエ」のしくみを根底からたたきつぶすものだったからである。
戦前の日本は、天皇を最高の権威とする権威主義、「富国強兵」を柱とする強力な暴力装置、すなわち軍隊・警察、臣民の義務を満たせない人々の排除という、権威主義、暴力、異端異質の排除の三原則に貫かれていた。
これを人々の日々の生活で具体化するものが家父長制度ともいわれる「イエ」であった。合理性や合意は無視し、男性、父親というだけで絶対に服従しろという権威主義、しつけに名を借りた体罰と暴力による家庭支配、らい予防法に見られるように障碍者や異質のものを家族の中からさえ追放していく仕組みである。
占領軍の改革を表面的なものに終わらせ、戦前の日本の本質を温存しておきたい人々にとって、24条は他のどの条項よりも何よりも受け入れがたいことであったに違いない」
14.ちなみに、島袋氏は琉球大学教育学部社会科教育教室所属で、私の同僚でもありました。このコラムを読んだ翌日の教室会議で顔を合わせた際に「あのコラムはとても分かり易いので、教材として使わせてもらいます。『本土』の仲間にも紹介するつもり」と語ったところ、「皆さん注目してくれているのですね。今も廊下に出たら、エレベータ-の前にいた家庭科の@@さん(女性)が急に走ってきて『あのコラムとてもよかった。嬉しかったのでお礼を言いたかったのよ』とだけ言うとまた走っていってしまったんです」という、体験したばかりことを語ってくれました。
女性にはなおさら嬉しい説明だったのだと、改めて認識させられたことを、今思いだしています。
15.本題に戻りますが、戦後の民主化を嫌い、戦前・戦中の大日本帝国憲法下の社会への回帰を目指しているのが「日本会議」です。その「日本会議」を政治的に利用するつもりでいて実は利用されているのが安倍晋三という歴史に無知同然の政治家であることが、最近の不祥事の発覚で次々と裏付けられてきています。
16.「日本会議」は9条の加筆改憲が具体化し始めたのを見極め、次のターゲットである24条骨抜きに向けて動き出すのではないかと、予想していたところに登場したのが『明日への選択』誌上の「ジェンダー」批判の論考という訳です。
17.次には『世界日報』『産経』さらには最近の変節が著しい『読売』などに同様の動きがみられるかもしれません。
教育実践や市民運動などの揚げ足取りは『産経』の得意わざです。
「ジェンダー」に取り組んでいる皆さんは、十分にご用心下さい。
以上 ご参考までに 文責は高嶋です
拡散・転送は自由です
狙いは憲法24条改悪
皆さま 高嶋伸欣です
安倍首相の9条加筆改憲案の下地を作ったと言われている「日本会議」のシンクタンクが、次は24条(男女同権の規定)の改悪に向けた動きを早くも見せ始めました。 ご用心 ご用心!
1.安倍首相による9条加筆改憲案は、「日本会議」のシンクタンク「日本政策研究センター」が、護憲派の分断と9条2項の事実上の無意味化という効果があるとして提案したものが下地になっていると言われています。
そうした提案をしていたのが同「センター」の機関誌『明日への選択』(月刊)でした。
2.その『明日への選択』の最新号(17年6月号)に「これでいいのか?高校家庭科教科書」と題した、同「センター」研究部長の論考が登場しました。
3.ここしばらくの間、教科書攻撃の対象は社会科にほぼ限定されていたのですが、いよいよ家庭科にも広げられたようです。
4.ポイントは「ジェンダー」批判と読めます。彼らはもともと「ジェンダーフリー」批判であるのですが、それを教科書では「ジェンダー」と「ジェンダーフリー」とが事実上は同じ意味に使われていると曲解した読み取りをしています(5P目の上段)。そのようなすり替えによって「ジェンダー」記述まで不当とする手法です。
5.彼らはなぜこのことに拘るのか?
6.そのヒントの一つが6月13日の衆議院憲法審査会での自民党・河野太郎議員による自民党改憲案批判発言とそれに対する改憲派の反論続出の事態です。
7.詳しくはネットで<自民党 改憲 家族観>から検索して頂くと経過が分かりますが、河野議員は「家族は助け合わなければならない」などという道徳を憲法に明記する(自民党案では、前文と24条に記述)のには反対と述べたところ、他の自民党議員や日本維新の会議員などから反論が続いたというものです。
8.改憲派が24条を9条に並ぶ改憲の標的にしていたことは、早くから指摘されていましたが、あまり注目はされていませんでした。
9.けれども安倍首相と「日本会議」の結託による改憲の動きがこれだけ具体化されるところまできてしまうと、安穏とはしていられません。
10.24条はGHQの女性スタッフ、ベアテ・シロタさんの努力でGHQ案に組み込まれたことがよく知られています。その一方で、GHQ案を示された日本側がもっとも強く反発したのが天皇の象徴扱いなどの1~8条や9条ではなく、24条の男女平等の規定だったことは、あまり知られていないように思われます。
11.24条の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本とし」関連の事項についての法律は「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」という規定が、当時の日本政府には驚天動地のものだったのです。
12.なぜか? その理由を明快に語っているのが島袋純・琉球大学助教授(当時)による「シロタさんの講演を聴いて」と題した『沖縄タイムス』2001年5月8日のコラム次の一節です(直前の5月3日にシロタさんの講演会が那覇市で開催されたのに呼応したものです)。
13.「なぜ、こうも激しく日本政府は24条の受け入れを拒絶したのか。それは、戦前日本の基盤そのものと言っていい「イエ」のしくみを根底からたたきつぶすものだったからである。
戦前の日本は、天皇を最高の権威とする権威主義、「富国強兵」を柱とする強力な暴力装置、すなわち軍隊・警察、臣民の義務を満たせない人々の排除という、権威主義、暴力、異端異質の排除の三原則に貫かれていた。
これを人々の日々の生活で具体化するものが家父長制度ともいわれる「イエ」であった。合理性や合意は無視し、男性、父親というだけで絶対に服従しろという権威主義、しつけに名を借りた体罰と暴力による家庭支配、らい予防法に見られるように障碍者や異質のものを家族の中からさえ追放していく仕組みである。
占領軍の改革を表面的なものに終わらせ、戦前の日本の本質を温存しておきたい人々にとって、24条は他のどの条項よりも何よりも受け入れがたいことであったに違いない」
14.ちなみに、島袋氏は琉球大学教育学部社会科教育教室所属で、私の同僚でもありました。このコラムを読んだ翌日の教室会議で顔を合わせた際に「あのコラムはとても分かり易いので、教材として使わせてもらいます。『本土』の仲間にも紹介するつもり」と語ったところ、「皆さん注目してくれているのですね。今も廊下に出たら、エレベータ-の前にいた家庭科の@@さん(女性)が急に走ってきて『あのコラムとてもよかった。嬉しかったのでお礼を言いたかったのよ』とだけ言うとまた走っていってしまったんです」という、体験したばかりことを語ってくれました。
女性にはなおさら嬉しい説明だったのだと、改めて認識させられたことを、今思いだしています。
15.本題に戻りますが、戦後の民主化を嫌い、戦前・戦中の大日本帝国憲法下の社会への回帰を目指しているのが「日本会議」です。その「日本会議」を政治的に利用するつもりでいて実は利用されているのが安倍晋三という歴史に無知同然の政治家であることが、最近の不祥事の発覚で次々と裏付けられてきています。
16.「日本会議」は9条の加筆改憲が具体化し始めたのを見極め、次のターゲットである24条骨抜きに向けて動き出すのではないかと、予想していたところに登場したのが『明日への選択』誌上の「ジェンダー」批判の論考という訳です。
17.次には『世界日報』『産経』さらには最近の変節が著しい『読売』などに同様の動きがみられるかもしれません。
教育実践や市民運動などの揚げ足取りは『産経』の得意わざです。
「ジェンダー」に取り組んでいる皆さんは、十分にご用心下さい。
以上 ご参考までに 文責は高嶋です
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