パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

☆ 学術会議任命拒否当事者である原告6名からのメッセージ

2024年11月20日 | 平和憲法

 ☆ 「学術会議の独立性」を市民で守ろう
   ~会員任命拒否理由の情報公開訴訟~ (CALL4)

 ☆ 原告 芦名定道さん(任命拒否当時:京都大学教授/現在:関西学院大学教授/哲学=宗教学、キリスト教思想)

 日本学術会議会員任命拒否の当事者となったことは、私にとって日本における学術の役割や日本社会の現状などについて考える機会となりました。
 見えてきたのは、任命拒否問題以前から始まり、その後着々と進展しつつある平和憲法を持つ日本を戦争ができる普通の国へと変容させるプロセスです。
 これは、ウクライナ戦争を東アジアの危機と読み替えて自衛隊の南西シフトを推進し武器輸出へと踏み込む日本社会の現状に繋がっています。日本の軍事化にとって邪魔であったのが日本学術会議だったことを考えれば、任命拒否問題は起きるべくして起きたと言うべきかもしれません。

 日本学術会議会員任命拒否とは、一部の学者の些末な問題ではなく、日本社会・日本人全体に深く関わった事態であることを確認する必要があります。
 今問われているのは、任命拒否の真相を明らかにし、問題の核心を露わにすることです。


 ☆ 原告 宇野重規 さん(任命拒否当時・現在とも東京大学教授/政治学=政治思想史、政治哲学)

 自分にとって大切なことが、いつの間にか、よくわからないうちに、誰かによって決定されてしまうことに私たちは慣れ過ぎてしまったのかもしれません。
 異論を唱えても、どこにも届かない。そのような無力感が日常のものになりつつあります。
 しかしながら、このことはとても恐ろしいことではないでしょうか。

 まずは声を上げる。それが力になっていくことに期待しています。
 問うべきはまず、政府の説明責任です。誰も面倒臭いことに答えようとはしません。
 きちんと説明する責任を社会的に制度化する必要があります。
 そのことを通じて、大切なことは自分たちで決めるという、民主的社会の原則をあらためて確認していきたいと思います。
 お力添えをいただけると、とてもありがたく思います。


 ☆ 原告 岡田正則 さん(任命拒否当時・現在とも早稲田大学教授/法学=行政法)

 “辻斬り”に遭ったような感覚でした。
 2020年10月1日の学術会議会員任命拒否によって問答無用で斬りつけられたのは日本の学術でしたが、ちょうどそこに遭遇してしまったわけです。
 居合わせてしまった者の責任として、最善を尽くそうと考え、政府に拒否理由を明らかにさせるための情報公開請求を内閣官房と内閣府に行いました。
 幸い、法律家1162名がともに請求してくださいました。また同時に、拒否対象とされた6名も自己情報開示請求によって、事件の闇を明るみに出そうとしました。

 今の日本社会は曲がり角に来ていると思います。
 学術を含めて社会のさまざまな人々が政治・軍事に従属させられる状況がつくられかねません。
 拒否理由を究明することによって、日本の政治を健全化の方向に転換すること、政府による日本学術会議の破壊をやめさせること、学術と社会との建設的な関係を切り開くことに貢献できれば、私はたいへん嬉しく思います。
 みなさまのご支援をいただければ幸いです。


 ☆ 原告 小澤隆一 さん(任命拒否当時:東京慈恵会医科大学教授/現在:同大学名誉教授/法学=憲法)

 学術会議が正規の手続きに則って推薦した私たちの会員任命を首相が拒否するには、何らかの理由とその根拠となる情報があったはずです。
 またそれらは文書として残さなければならなかったはずです。

 示すことや残すことのできない根拠で私たちの任命を拒否したのであれば、あるいは何らの理由もなしに私たちの任命を拒否したのであれば、それは、学問を社会のために役立てるために設置された学術会議の存在意義を全面的に否定するものに他なりません。
 そしてそれは、憲法が保障する学問の自由を根底からくつがえすことでもあります。
 学問と学術会議がその役割をしっかりと果たせるようにするこの裁判に、多くの皆さんの注目と支援をお願いします。

 ☆ 原告 加藤陽子 さん(任命拒否当時・現在とも東京大学教授/史学=日本近現代史)

 国が資金を負担しているのならば、そのような組織は国の意思・意向に従うべきだといった暴論が世を徘徊する時代となった。
 国会や裁判所は国が資金を負担している機関だが、公(おおやけ)の国の機関であるという位置づけがあるからこそ、行政を批判する自由を持つ。
 このような関係は、時の政府と日本学術会議との関係にもあてはまる。

 学術会議は、専門家集団によって選考された者が、時の政府や社会に対して勧告や助言を行う機関だ。
 公の国の機関であることで、批判の自由・自律性が保たれる。
 人事を含めた研究者集団の自律性が保障されなければ批判はできない。
 憲法23条の学問の自由に裏付けられる批判でなければ、それは国民の将来的な利益につながらない。
 2020年10月に菅義偉内閣が行った任命拒否は、為政者が憲法にもとる行為を行ったものにほかならない。
 その決定に至る行政的な手続きの過程を明らかにし、時の政府が行った誤りを歴史に刻印したいと考えた。


 ☆ 原告 松宮孝明 さん(任命拒否当時・現在とも立命館大学教授/法学=刑事法)

 2020年10月に菅義偉内閣が行った任命拒否は、明文の法に違反する行為です。
 なぜなら、日本学術会議法には、210名の会員の半数を「任命する。」と書いてあるからです。

 210名の半数は105名。それは、学術会議の推薦する候補から任命される。
 推薦された6名を抜いた99名の任命では法に違反することは明らかです。
 その違法な行為について政府は説明すら拒否している。
 日本政府は法を守らない。これを何とかしたい。
 これが、私にとってのこの訴訟の第一の理由です。

 しかも、この任命拒否を説明しないどころか、学術会議のあり方に問題をすり替え、その民営化と人事介入まで企てています。
 これは、経済安保の名の下に日本の学術を「重要経済安保情報」として統制する動きを背景にしています。
 日本の学術研究の低落は、「選択と集中」をスローガンとするこのような統制政策の結果です。
 しかし、学術研究は人々の自由な発想に委ねられなければ発展しません。
 この訴訟は、このような日本の学術の低落を救う一助となるかもしれません。
 これが、私にとってのこの訴訟の第二の理由です。
 そのために、みなさまのご支援を要請いたします。

 

☆ 支援のお願い ☆

 学術会議会員の任命拒否理由の情報公開を求める弁護団です。
 民主主義にとって必要不可欠な情報の公開と、市民のためにこそ重要な学術会議の独立性の維持をめざす訴訟です。
 多くの方々のご支援・ご協力をお願いします。

(連絡先)〒112-0012 東京都文京区大塚5-6-15 大塚市民法律事務所
 弁護士 米倉 洋子
 TEL 03-5940-6830 FAX 03-5940-6831 Email yoneky@nifty.com

¥ 支 援 す る ¥

『CALL4』
https://www.call4.jp/info.php?type=items&id=I0000146


コメント    この記事についてブログを書く
« 第12回「国連・人権勧告の実... | トップ | ★ どうなる日本学術会議任命... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

平和憲法」カテゴリの最新記事