■「2006年教員勤務実態調査」
(文部科学省実施)の「暫定集計(7月分)」分析
~文部省1966年調査との比較から~
1.平日に毎日、小学校2時間28分、中学校3時間08分の超過勤務をしないと消化できない業務量がある。
教員の1日の勤務時間(出勤から退勤までの勤務時間で休憩・休息時間は除く)は、2006年調査では小学校10時間28分、中学校11時間08分に対し、1966年調査では小学校7時間55分・中学校7時間59分であった。
勤務時間の長さで比較すると、小学校で1.32倍、中学校で1.39倍となっており、明らかに業務量が増えている。
超過勤務時間は、1966年調査では、週平均で小学校2時間30分、中学校3時間56分であったのに対し、2006年調査では、1日単位で実質小学校2時間28分、中学校3時間08分。その上、持ち帰り時間が小学校53分、中学校27分あることが分かった。
《文部科学省の1966年調査と2006年暫定集計(7月分)の比較表》
中学校 一日単位
2.「授業」時間は1時間ほど増加。その一方で、「授業準備」時間は減少。
学校5日制や「ゆとり教育」に向けた学習指導要領の見直しで「授業」時間は減ったという見方が一般的である。
1966年調査と比較すると、「教科・道徳・特活」等の授業時間が、小学校では2時間47分から3時間51分(中学校:2時間28分から2時間58分)に増えている。
朝学習、朝読書の指導をはじめ、財政措置などが充分なされないまま少人数学習指導などのきめ細かな学習指導を推進してきた結果だと思われる。
その一方で、「授業準備」時間は、小学校44分、中学校55分となっている。
授業1コマに対してどれくらいの準備時間が必要かは議論が必要であるが、よりよい授業を行なう上で必要な「授業準備」時間が充分確保できない状況にあることは明らかである。
1970年に日教組が実施した「授業時間に関するアンケート調査」結果では、1時間の授業に1時間の企画・準備・整理が必要とする組合員が最も多かった。
3.週単位の「研修」時間が、小学校55分、中学校35分
1966年調査との比較では、7月という学期末にあたる月の暫定集計であることや「研修」の違いなどを考慮しなければならないが、1966年調査では、週平均で小学校6時間24分、中学校5時間43分であった。
4.「学校経営」「学年・学級経営」「事務・報告書作成」などには、小学校1時間43分、中学校2時間01分。
平日1日の勤務時間のうち、小学校16.4%、中学校18.1%を「学校経営」「学年・学級経営」「事務・報告書作成」等が占めている。
1966年調査では、1日の勤務時間のうち小学校9.0%、中学校10.2%の時間であった。
今日では教員が「学校経営」「学年・学級経営」「事務・報告書作成」等に従事する時間が、かなり必要となっていることが分かる。
5.「休憩・休息」時間が小学校09分、中学校10分
休憩45分・休息15分(国家公務員においては今年4月から休息時間が廃止され、休憩時間60分となる)と照らして、学校現場では「休憩・休息」時間がほとんどとれていない。
1966年調査では、週平均小学校6時間08分、中学校7時間10分であった。子どもが学校にいる時間帯に「休憩・休息」をとれなくなっているというのが実態である。
6.若年層ほど「授業準備」や「成績処理」にかかる時間が長い
小学校の20代と40代を比較すると、「授業」は20歳代3時間49分、40歳代3時間50分とほとんど変わらないが、「授業準備」は20歳代1時間05分、40歳代37分と、28分の差がある。
また、「成績処理」は20歳代1時間42分、40歳代1時間02分となっている。
「部活動」や「校務分掌」のように担当しているかどうかで勤務時間全体に差が出る業務もあるが、経験の豊富さで業務遂行時間が大きく左右されるものもある。
「授業準備」や「成績処理」における20歳代と40歳代の差は、業務における熟練度による差であると考えられる。
超勤時間は50分程度20歳代の方が長くなっている(20歳代11時間31分、40歳代10時間40分)。
しかしその内訳を見ると、「学校経営」では20歳代12分、40歳代27分、「事務・報告書作成」では20歳代15分、40歳代22分、「地域対応」20歳代00分、40歳代01分と、40歳代は「授業準備」「成績処理」をした上で、他の業務を多くやっていることが分かる。
『日教組教育新聞』(2006/12/20号外)
(文部科学省実施)の「暫定集計(7月分)」分析
~文部省1966年調査との比較から~
1.平日に毎日、小学校2時間28分、中学校3時間08分の超過勤務をしないと消化できない業務量がある。
教員の1日の勤務時間(出勤から退勤までの勤務時間で休憩・休息時間は除く)は、2006年調査では小学校10時間28分、中学校11時間08分に対し、1966年調査では小学校7時間55分・中学校7時間59分であった。
勤務時間の長さで比較すると、小学校で1.32倍、中学校で1.39倍となっており、明らかに業務量が増えている。
超過勤務時間は、1966年調査では、週平均で小学校2時間30分、中学校3時間56分であったのに対し、2006年調査では、1日単位で実質小学校2時間28分、中学校3時間08分。その上、持ち帰り時間が小学校53分、中学校27分あることが分かった。
《文部科学省の1966年調査と2006年暫定集計(7月分)の比較表》
中学校 一日単位
2.「授業」時間は1時間ほど増加。その一方で、「授業準備」時間は減少。
学校5日制や「ゆとり教育」に向けた学習指導要領の見直しで「授業」時間は減ったという見方が一般的である。
1966年調査と比較すると、「教科・道徳・特活」等の授業時間が、小学校では2時間47分から3時間51分(中学校:2時間28分から2時間58分)に増えている。
朝学習、朝読書の指導をはじめ、財政措置などが充分なされないまま少人数学習指導などのきめ細かな学習指導を推進してきた結果だと思われる。
その一方で、「授業準備」時間は、小学校44分、中学校55分となっている。
授業1コマに対してどれくらいの準備時間が必要かは議論が必要であるが、よりよい授業を行なう上で必要な「授業準備」時間が充分確保できない状況にあることは明らかである。
1970年に日教組が実施した「授業時間に関するアンケート調査」結果では、1時間の授業に1時間の企画・準備・整理が必要とする組合員が最も多かった。
3.週単位の「研修」時間が、小学校55分、中学校35分
1966年調査との比較では、7月という学期末にあたる月の暫定集計であることや「研修」の違いなどを考慮しなければならないが、1966年調査では、週平均で小学校6時間24分、中学校5時間43分であった。
4.「学校経営」「学年・学級経営」「事務・報告書作成」などには、小学校1時間43分、中学校2時間01分。
平日1日の勤務時間のうち、小学校16.4%、中学校18.1%を「学校経営」「学年・学級経営」「事務・報告書作成」等が占めている。
1966年調査では、1日の勤務時間のうち小学校9.0%、中学校10.2%の時間であった。
今日では教員が「学校経営」「学年・学級経営」「事務・報告書作成」等に従事する時間が、かなり必要となっていることが分かる。
5.「休憩・休息」時間が小学校09分、中学校10分
休憩45分・休息15分(国家公務員においては今年4月から休息時間が廃止され、休憩時間60分となる)と照らして、学校現場では「休憩・休息」時間がほとんどとれていない。
1966年調査では、週平均小学校6時間08分、中学校7時間10分であった。子どもが学校にいる時間帯に「休憩・休息」をとれなくなっているというのが実態である。
6.若年層ほど「授業準備」や「成績処理」にかかる時間が長い
小学校の20代と40代を比較すると、「授業」は20歳代3時間49分、40歳代3時間50分とほとんど変わらないが、「授業準備」は20歳代1時間05分、40歳代37分と、28分の差がある。
また、「成績処理」は20歳代1時間42分、40歳代1時間02分となっている。
「部活動」や「校務分掌」のように担当しているかどうかで勤務時間全体に差が出る業務もあるが、経験の豊富さで業務遂行時間が大きく左右されるものもある。
「授業準備」や「成績処理」における20歳代と40歳代の差は、業務における熟練度による差であると考えられる。
超勤時間は50分程度20歳代の方が長くなっている(20歳代11時間31分、40歳代10時間40分)。
しかしその内訳を見ると、「学校経営」では20歳代12分、40歳代27分、「事務・報告書作成」では20歳代15分、40歳代22分、「地域対応」20歳代00分、40歳代01分と、40歳代は「授業準備」「成績処理」をした上で、他の業務を多くやっていることが分かる。
『日教組教育新聞』(2006/12/20号外)
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