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育鵬社の公民教科書、現場の社会科教員の圧倒的多数が「使いにくい」

2019年09月23日 | こども危機
 ◆ 育鵬社の公民教科書に教育現場から批判の声
   国家主義濃厚 押しつけに不安
(【金曜アンテナ】)


 神奈川県横浜市や藤沢市などの教育委員会で採択され、7年間にわたって公立中学校で使われてきた育鵬社(いくほうしゃ)の教科書について、今年2月までに藤沢市の市民団体がアンケート調査を実施。現場の社会科教員の圧倒的多数(8割)が「使いにくい」と回答した。8月の教育関係の集会でレポートが報告された。
 育鵬社の公民について報告書には
 「立憲主義の理解に誤解を生じかねない内容」
 「国際協調と平和主義といった人類が到達した理念が軽んじられている
 「全体的に押し付けがましい」
 「わが国という主語を用いているが、様々な国から生徒が集まっているので、全員にとって『わが国』とはしっくりこず違和感がある」
 など意見が並ぶ。

 そんな中で特に印象深かったのが
 「生徒は教科書はすべて正しいと思っているので、知らず知らず刷り込まれる」
 「生徒は教科書を読み込んで覚えようとしがち」
 「まじめな子どもたちほど教科書を学ぼうとするので不安」
 「教科書をそのまま教えるわけではないが、子どもたちはテスト前にこの教科書で勉強する」
 という声だった。

 自立した市民・主権者としての立ち位置をないがしろにし、国家主義の姿勢が色濃く投影されている育鵬社の公民教科書は歴史教科書よりも影響が大きい。
 もちろん皇国史観に貫かれた歴史教科書も懐古趣味的などと疑問視する声があり看過(かんか)できない存在だが、同社の公民教科書には「人権・立憲主義・法の支配」への知見や認識が著しく欠如しているといった批判的な意見が多い。政権与党・国家に唯々諾々(いいだくだく)と従う子どもの育成に直結するのではとの不安もある。
 教員に問題意識と力量さえあれば、どんな教科書が採択されようと何とでもなる、工夫した授業はできるのではと思われがちだが、実際には子どもたちは教科書に左右され、影響される。学校現場の苦悩が改めて浮き彫りになった。
 池添徳明・ジャーナリスト

『週刊金曜日 1247号』(2019.9.6)

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