パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

高校生の政治活動と部活動、教育目的の達成のため規制が必要なのはどちらか

2016年02月10日 | こども危機
  《小川勝の直言タックル》
 ◆ スポーツ強豪校 長時間練習規制して


 部活動における監督の暴力問題に対して出た「指導のガイドライン」もそうだったが、文部科学省の出す対策には、どうにも筋の通らないものがある。
 高校生の政治活動をめぐって、学校現場向けに配布したというQ&Aも、そのひとつだ。
 校外での政治活動を「届け出制」にすることを容認しているという。「教育目的の達成等の観点から必要かつ合理的な範囲で(政治活動は)制約を受ける」というのが文科省の見解らしい。また、政治的活動に没頭して、夜遅くまで電話やメールをしていた結果、授業への集中力がなくなった場合には、学校の指導が求められるとの見解も示しているという。
 これは、政治活動に熱心な生徒が、その結果、睡眠不足で学校に来て授業中に眠そうな様子だった場合、政治活動は抑制して、十分睡眠を取るように指導する、ということだろうか。
 それでは、例えばスポーツの強豪校において、日常的に行われている夜の練習、あるいは朝の練習によって、授業中に睡魔に襲われている生徒たちについては、どうなのだろうか。
 日本のプロ野球から米大リーグに行って活躍したある選手は、著作の中で、高校時代を次のように回想している。朝は四時に起きて、六時には家を出る。練習が終わって帰宅すると夜の十時。なにしろ眠くて、家で勉強する時間などほとんど取れないだけでなく、昼間の授業中も、内容に習熟できなかったという。
 こういった高校生活は甲子園の常連校では珍しいものではない。全員が寮で暮らしている四国のある強豪校では、就寝したあと、監督が選起こして、外を走られることもあったと、その甲子園出場経験を持つ元選手から聞いたことがある。
 そのような生活で、昼間の授業で集中力があったのかどうか、はなはだ疑問と言わざるを得ない。
 しかしながら、そのような長時間練習を監督が強要していたとしても、それに対して、文科省が規制を設けたり、学校が指導するように要請したことがあるのだろうか?
 政治活動が合理的な範囲で規制を受けるというのなら、スポーツの練習時間も規制を受けるべきだ。
 高校生が、例えば大学の授業料が下がるように、せめてOECD諸国の平均並みに、教育に税金を回してほしい政治活動を行うことは、まっとうなことではないだろうか。
 文科省は筋の通った見解を示してもらいたい。(スポーツライター)

『東京新聞』(2016/2/8)

コメント    この記事についてブログを書く
« ミサイルか、人工衛星か、6... | トップ | 再雇用拒否二次・控訴審判決... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

こども危機」カテゴリの最新記事