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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

国旗・国歌の尊重を強要 IOC憲章に反する

2016年04月25日 | 暴走する都教委
 ◆ 全校に五輪教育を強制
   都教委が年間35時間を義務化
(週刊新社会)
永野厚男(教育ライター)


――荒川静香選手らの華麗なカラー写真満載の都教委『五輪学習読本』――

 2020年開催の東京五輪に向け、東京都教育委員会がこの4月から、都の全公立学校に五輪教育実施を義務化している。都教委は「重点的に育成すべき資質」のーつに「日本人としての自覚と誇りを身に付ける」と明記。ナショナリズム教化の狙いを暴く。
 ◆ 日本人の自覚を強制
 都教委が14年9月に発足させた「東京のオリンピック・パラリンピック教育を考える有識者会議」は15年12月、「16年度から都の全公立学校で五輪教育に取り組んでいくぺき」とした『最終提言』を出した。
 『最終提言』は①ボランティアマインド、②障害者理解、③スポーツ志向、④日本人としての誇り、⑤豊かな国際感覚の、5つの資質の育成をうたう。
 ④については、「日本人としての自覚ご誇りを持てるような教育を進めていくことが望まれる」と明記。
 だが別の案件ではあるが、『都立高校改革推進計画。新実施計画骨子案』についてのパブリックコメントでは、都教委は1月28日の定例会で「都立高校には、日本国籍以外の生徒も多数在籍。『日本人としての云々』という表現は、彼らへの配慮が足りない」という意見があったと公表していた。
 『最終提言』を受け都教委は1月14日、『東京都五輪教育実施方針』を策定。全都の公立小中高・特別支援学校等に、この4月から年間35時間程度の五輪教育実施を義務化し、「日本人としての自覚と誇りを持てるような教育を進める」と明記した。
 ◆ 『五輪学習読本』の正体
 実施方針は、『最終提言』にさえない”国旗・国歌を尊する態度”も盛った。
 都教委は約9500万円かけ『五輪学習読本』を作成し、3月末までに都の公立小学校4年生以上の全児童・生徒約66万4000人分と、映像教材DVD(約7500万円)、教師用指導書(約392万円)とを合わせ、全公立2168校に発送し終えた。
 『五輪学習読本』は、見開き4頁を使い荒川静香選手らの華麗なカラー写真を満載し、「過去大会マスコット」を載せるなど、憧れや親しみを持たせる工夫をしている。一方で小中高とも、“国旗・国歌”に関する記述は見開き2頁ずつとり、起立や敬意表明まで強制。
 校種別に抜粋する。
 ●小学校
 オリンピック・パラリンピックでは、開会式で選手たちが自国の国旗を先頭に行進します。表彰式では、優勝した選手の国の国旗をかかげ、国歌を演奏します
 ……国旗と国歌には、その国を築いてきた人々の理想や文化、ほこりなどがこめられており、その国を象ちょうするものとして大切にされています。
 この記述の次の頁の、「国旗と国歌には、どのような意味や思いがこめられているでしょうか。調べてみましょう」という「学習のとびら」は、次のように記す。
 「君が代には、日本の国がいつまでもはん栄へし続け、平和であることを願う気持ちがこめられています。表彰式の国旗けいようでは、国歌が流されます」。
 筆者がJOC事務局に「IOC(国際オリンピツク委貝会〉総会は1980年、表彰式に国旗・国歌を用いるのは五輪の理念に反するとし、『選手団の旗と歌(曲)を用いる』と、憲章を改正した」という事実を確認すると、「当方も同じ見解だ」と回答があった。
 都教委はIOC憲章に反する主張を繰り返し教えることで、ナショナリズムの刷り込みを謀んでいるのだ。
 ●中学校
 「日の丸が中央」の表彰式の写真を載せ、「中央に1位、向かって左側に2位、右側に3位の国旗が掲揚され、1位の国の国歌が演奏される。国歌が演奏されるときには、敬意を表し、起立して脱帽する」と、敬意表明まで教化。
 だが、都立学校教職員の”君が代”不起立で減給以上の処分を「違法」と断じた、12年1月以降の最高裁判決は「都教委が校長に出させている職務命令と憲法第19条との関係」で「起立・斉唱は、国旗国歌に対する敬意表明の要素を含む行為であり、思想・良心の自由についての間接的な制約となる面がある」と判じている。
 ●高校
 「国際儀礼(プロトコール)というタイトルで、「『国の象徴である国旗と県や市など団体の旗とは格が異なるため併揚せず、どうしても併揚が必要な場合は、国旗は団体旗より大きく、高い位置で掲揚する』などのルールがあります」と明記。
 地方分権に反し、「国は地方自治体より上だ」という差別思想を押し付けている。
 『五輪学習読本』は、高校用で「天皇陛を下との御会見」、中学用で「平安時代に・・・天皇が見物される相撲節会」ど、敬語を使用。だが、昔の天皇にまで敬語を使うのは現在の社会科教科書では育鵬社・自由社以外にはなく、異常な敬意教化と言える。
『週刊新社会』(2016/4/12)

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