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東京「君が代」裁判第3次訴訟第9回口頭弁論意見陳述要旨(3)

2012年10月04日 | 日の丸・君が代関連ニュース
  2012.09.28
 ◎ 第6 損害賠償請求について
原告代理人 弁護士  兒島 英樹


「報告集会」 《撮影:平田 泉》

 1 都教委は,国賠法上,違法と認められるためには,公務員が①「職務上の法的義務」及び②「職務上通常尽くすべき注意義務」に違反したことが必要であると主張している。
  しかし,国賠法上の違法とは,客観的な法規範に違反することを意味し,これには憲法違反・法律違反だけでなく裁量の逸脱・濫用も含まれるのである。したがって,憲法19条違反の職務命令に基づく懲戒処分は違憲であるから,国賠法上違法となり,少なくとも減給以上の処分は裁量の逸脱・濫用があるから,国賠法上も違法となる。
 2 次に都教委は,減給以上の処分を裁量の範囲内と判断したことに過失はなかったと主張している。
  しかし,10.23通達及びそれに基づく職務命令は,個人の歴史観・世界観の観点から,個々人の評価が分かれる日の丸・君が代について,起立斉唱行為を強制させるという点で,憲法問題を生じさせる重大な瑕疵があったのであり,そのような合憲性に疑義がある通達を定めた都教委に過失が認められるのは明らかである。
  実際に10.23通達及び職務命令は,それが発せられた当初から圧倒的多数の学説や日弁連等の法曹団体から憲法違反であるとの批判を受け,東京地裁平成18年9月21日判決ですら,違憲・違法であると認定したほど,その合憲性に疑義が生じていたのである。
 3 さらに,都教委は,処分が取り消されれば,慰謝すべき損害も不存在になると主張する。
  しかし,処分が取り消されたとしても,取り消されるまでの間,違法不当な処分を受けていたという事実までが消え去るわけではない。
  原告らは,本来受講する必要がない研修を強制され,自己の真摯な思想信条に基づく行為をした結果として,セクハラや飲酒運転等明らかな非違行為を犯した者と同列に扱われたのであって,原告らの屈辱感・絶望感は筆舌に尽くしがたいものであった。
  また,原告らは,処分説明書において,「全体の奉仕者たるにふさわしくない」「職全体の不名誉」等と記載され,教育者として失格であると評価されたのである。それこそ違法不当な処分を行った点でむしろ「全体の奉仕者たるにふさわしくない」都教委から,原告らは教師としての自尊心,誇り等を真っ向から否定され,侮辱されたのである
  原告らは,処分が取り消されるまでの間,極めて不安定な立場・心情に置かれ続け,その間の,原告らの教育者としての活動に対する委縮効果は著しく大きく,かつ,深刻であったのである。
  このように原告らが被った精神的苦痛は,決して処分の取消しなどによって回復される性質のものではない。
 4 なお,最高裁平成24年1月16日判決(平成23年(行ツ)第242号,同年(行ヒ)第265号)は,控訴審の判断を破棄・差し戻すにあたり,「損害賠償請求について,都教委の過失の有無,慰謝すべき損害の有無等についてさらに審理を尽くさせるため」と述べ,必ずしも,懲戒処分の取消しによって,慰謝すべき損害が不存在となると判断しているわけではない。
以 上

 ◎ 傍聴者の感想・意見から
 ○ 報告会での若い弁護士さんの真っ当な意見に励まされました。
  自国の国旗を尊重するものは他国の国旗も尊重できるようになるか。今起こっている領土問題への市民の、日の丸焼き打ちなどをみれば、決してそうでないことがわかります。
  「愛国心をあおる」ことに利用される歌や旗を教育の中に命令・処分してまで持ち込むことから恐ろしい管理教育が始まっているのを感じます。人権を守る裁判所へと何とか変えていきたいですね。(本田和代・二次原告)
 ○ 都教委の準備書面は不起立の先生たちの「反省のない態度」が減給処分の「具体的事情になる」旨、主張しているのは、
  ①後付け、②04年7月の東京地裁須藤典明決定違反(特に思想信条に踏み込んでいる)等で、全く不当だと強く思う。(永野厚男・教育ライター)
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