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★ <なぜ教員が集まらないのか>
<転送歓迎>(重複ご容赦)・「新芽ML」・「ひのきみ全国ネット」・「戦争をさせない杉並1000人委員会」・「杉並コモンズ」の渡部です。(少し長いです)
現在、あちこちで教員不足が叫ばれている。
教員採用試験の倍率はどんどん低下している。
なぜ教員は集まらないのか。
一般には残業代も出ない長時間労働が原因だとも言われいる。
だから教員の「働き方改革」が必要だなどと述べられている。
しかし果して本当にそうだろうか。
採用試験の倍率が下がり始めたのは2000年ころからである。
この頃に一体何があったのか。少し見てみたい。
戦後多くの教員たちは「教え子を再び戦場に送るな!」を掲げ、教育活動をやってきた。また職場の民主化にも取り組んできた。
そのため、戦争のシンボルであった「日の丸・君が代」の強制には強く反対してきた。
また学習指導要領の一方的押しつけや、教科書改悪にも反対してきた。
また職場の民主化にも取り組んできた。
ところが、1995年から日教組本部は、現場の大きな反対を無視し、文部省との「パートナー路線」を取るようになった。
その中味は
①「日の丸・君が代」、
② 学習指導要領、
③ 職員会議、
④ 官製研修、
⑤ 主任制
の五項目の反対の旗を降ろして、文部省とパートナーとなるというものだった。
しかし実際に起きた事は、これらの問題すべてで、文部省が何でも勝手にできるようになったことだった。その結果、
①は法制化(1999年)され、反対する教員たちは処分されるようになった。
②は学習指導要領は法律と同じようなものになった。
③は職員会議での挙手採決はできなくなり、すべて校長が決めるようになった。
④は官製研修への参加強制と校外での自主研修が実質的に否認された。
⑤は職階制の導入でトップダウンの職場が出来上がった。
その上で2006年には民主的な「教育基本法」が改悪され、「愛国心」とともに「教育振興基本計画」が導入された。
それにより、全国の小中高校、幼児や大学、生涯教育も、国の定めた教育振興計画を推進することとされた。
また自治体の教育委員会は独立性を奪われ、首長の下請け機関となった。
これによって、日本の教育制度は「民主主義的」なものから「国家主義的」なものになってしまった。
さらに具体的には次のようなことも起きてきた。
・主任制でも足りずその上に主幹制を導入。教員管理体制の更なる強化。
・教員への業績評価導入。これで教員は分断されることになった。
・教員免許更新制(2009年~2022年)。 これは「国定教員」づくりに他ならなかった。
・自己目標申告制度(学校経営方針を踏まえ自ら目標を設定し、どこまで達成できたかを自己評価する制度。管理職との面談がある)出さなければ評価が悪くなり、昇給がおそくなる。
・週案・年間業計画案・参考資料までの管理職によるチェック。
・学校ごとの校長の評価。
などなど。
改悪教育基本法以降 教員はこれほどまでに分断され、がんじがらめに管理・統制されるようになってきた。
自分の思いや教育への情熱などは持てないほどにロボット化されてきたのである。
さらに、過労死ラインとも言われる長時間労働である。
これでは、精神的に追い込まれて、休職や定年前退職する教員が多数出るのも当然である。
だから、こうした現実を聞いている大学生たちは、教員という仕事に夢を持てず、教員採用試験を敬遠するようになるのである。
したがって、「なぜ教員が集まらないのか」の答えは、民主主義的な教育を破壊し、国家主義的な教育を強制してきた政府・文科省のこの間の教員政策にあったのである。
その大きな転換点が現場の声を無視した日教組本部と文部省のパートナー路線にあった。
そして、それによってもたらされる結果となった①「日の丸・君が代」の強制こそはその後の諸政策を推進する役割を果たしたといっても過言ではない。
東京都教育庁は2003年7月に、「都立高等学校における『国旗・国歌』の現状と課題」と題する文書を出した。その中には次のように書かれていた。
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「都立高等学校における国旗・国歌の適正な実施」は、学校経営上の弱点や矛盾、校長の経営姿勢、教職員の意識レベル等がすべて集約される学校経営上の最大の課題であり、この課題の解決なくして学校経営の正常化は図れない。
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つまり、学校経営(もはや教育ではなく経営なのである)上、何よりも大事なのは、「国旗・国歌の適正実施」だというのである。
その年の10月23日には、校長あてに「入学式、卒業式等における国旗掲揚・国歌斉唱の実施について(通達)」(10・23通達)を出し、「君が代」(天皇主権の歌)斉唱の際に、ピアノを弾かなかったり、不起立などをした教職員を処分するようになった。
これまで延べ484名が処分されている(最高は6か月もの停職)。
同じような動きは「維新の会」が支配する大阪でも起きている。
それでも闘いは、現在でも旗を降ろさず粘り強く継続されている。
昨年の10月には「国連・人権規約委員会」が日本政府に対し「総括所見」を出したが、その中には以下のような事が書かれるにいたった。
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当委員会は学校の儀式において国旗にむかって起立し国歌を斉唱することに対する静かで破壊的でない不服従の結果、教師が最高6か月の停職を含む処分を受けたことを懸念する。更に儀式において生徒に起立を強制するために物理的な力が用いられたという申し立てに対しても懸念を抱く。
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これはこれまでの粘り強い闘いの成果である。
ところで、私の属する「都教委包囲首都圏ネットワーク」では、来る2月4日(土)に、日比谷図書文化館で、
・「日の丸・君が代」強制反対!
・「10・23通達」処分撤回!
をメインスローガンとする第19回「2・4総決起集会」を開きます。(詳しくは添付を参照してください。)
「教え子を再び戦場に送るな!」のスローガンも掲げています。
多くの皆さん、是非お集り下さい。
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「都教委包囲首都圏ネットワーク」のブログのアドレス
http://houinet.blogspot.jp/
千葉高教組『日の丸・君が代』対策委員会」のホームページ
http://hinokimitcb.web.fc2.com/
「ひのきみ全国ネット」のウェブサイト
http://hinokimi.web.fc2.com/
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