◆ 教育の国家統制に楔(くさび)
君が代処分の闘いで全国交流 (『週刊新社会』)
(大阪市内をデモ行進する集会参加者、実行委提供)
教育委員会による”君が代”処分と裁判などで闘う、全国の現・元教員ら市民約130人が7月17日、大阪市内で学習・交流集会を開催した。
始めに空野佳弘弁護士の講演を受けた。
2007年2月27日の最高裁ピアノ判決(10・23通達前の99年4月、日野市立南平小学校の入学式で校長の”君が代ピアノ伴奏命令”を断った音楽専科教諭を、都教委が戒告処分に)の多数意見は、「伴奏拒否は、教諭にとっては歴史観・世界観に基づく一つの選択ではあろうが、一般的にはこれと不可分に結びつくものということはできず」と判じた。
空野弁護士は、藤田宙靖(ときやす)裁判官(当時)の反対意見を紹介しつつ、「不可分かどうか判断するのは一般人でなく当該教諭。信念に反する行為を強制される本人は、自分でいられなくなる可能性あり。教育の国家統制だ」と厳しく批判した。
次に、都立高教諭の”君が代”不起立処分撤回訴訟最高裁判決での宮川光治(こうじ)裁判官の反対意見や、18年11月1日の韓国大法院(最高裁)の「道徳的信念や宗教上の信条は兵役を拒否する正当な理由として認められる」判決などを引き合いに、「国家権力が思想・良心の自由を侵してはならない」と定めた憲法第19条の意義を語った。
闘いの報告に移り、対都教委”君が代”訴訟では、合計77件・66名に上る処分取消しを勝ち取った事例。
大阪では11年度、維新主導の”国旗国歌条例”制定後、被処分者67人(戒告64、減給3)のうち、2人取消しに加え、6月16日には最高裁が梅原聡元府立高教諭の再任用拒否は違法とし、府に約315万円の賠償を命じる勝訴判決を出した報告した。
松井一郎市長に対し、「目標管理や人事評価で教職員のやる気を失わせている教育行政」批判提言で文書訓告を受けた大阪市立木川南小校長だった久保敬(たかし)さんもビデオ出演した。
集会は最後に、これらの成果を「権力による思想表現の自由の圧殺に対する市民の抵抗の力を示し、上からの命令に従わせる教育支配体制に大きな楔(くさび)を打ち込んだ」とする集会決議を採択した。
(永井厚男・教育ジャーナリスト)
『週刊新社会』(2022年8月17日)
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