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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教員免許更新制 予備講習

2008年12月13日 | 暴走する都教委
 【どうなる学校】 来年度から導入
 ◆ 教員免許更新制 予備講習で課題噴出


 「先生たちも知識技能のリニューアルを」と来年度から導入される教員免許更新制。本年度は試行として、各地の大学や研究機関で予備講習が行われている。本講習開始まであと半年。同制度や講習の課題を探った。 (井上圭子)

 ◆ 「ニーズに合わない」

 「畳面と背中が平行になるように頭を下げて。首だけ下げず背を伸ばして」
 八月、日本私学教育研究所が行った免許状更新予備講習「礼法」。家庭科の女性教員に交じり高校理科の男性教員(53)は「いやぁ、思いがけない内容で…。失効したら大変だからと、片っ端から申し込んで当たったのがここ」と苦笑い。希望する講習の抽選からもれ、低倍率の講習を受けた教員にはこんな事態になった人もいた。

 文部科学省は同制度の目的を「定期的に最新の知識技能を身に付けることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指す」と位置付ける。「役立つ」との評価がある一方で、希望する講習を受けられた受講者にもある不満が「内容がニーズに合わない」ことだ。予備講習では十二月までに千三十一講習が用意された。

 東京学芸大の講習では「高校レベルの『解析幾何学の基礎』は中学教員には難解すぎ」と話す教員がいた。愛知教育大の講習では「ネット社会の現状について『もう知ってる』三十代と『難しくてついていけない』五十代の双方が不満」との声もあり、何が最新技能や知識で、どの現場がそれを求めているのか、不明確な部分がある。講師からも「誰に向けて話せばいいのか。年齢層、教科、学校の種類を絞ってほしい」と指摘が出た。

 既に各教委が実施する研修に類似のものがあるとの指摘もあり、あらためて講習を実施することを疑問視する人もいる。

 ◆ 試験方法・費用にも不満

 試験方法にも受講者、講師双方から批判が出た。横浜市内の私立中学教員(53)は「試験勉強に没頭したが、感想を書くだけで合格する会場もあったと後で聞き、不公平感でいっぱい」と憤る。講師からは「断片的な知識を問う試験より、内容の消化度を測るリポートを課したい」(愛教大)との声もある。

 講習時間の三十時間の確保も教員には負担だ。公立中学教員は「部活顧問をしていると夏休みは無理。平日夜間は希望者が多く狭き門」と言う。

 地方の教員には交通費や宿泊費の負担も重い。東京都内の講習に参加した静岡県内の小学校教員(33)は「約十万円の出費。『個人資格だから』と自己負担を強いられるのはきつい」とこぼす。

 同省教職員課教員免許企画室の宮内健二室長は「課題が出てきてこその実験。課題が出るのは良いこと」と話すが、ある大学関係者は「誰もやりたくないまま制度が走り出し、早くも問題が噴き出した。文科省は『不適格教員排除が目的ではない』というが、教育再生会議の本音は違った」と教員の技能向上が目的との主張には懐疑的。「来年度は受講対象者が十一万人に増え、さらに混乱するだろう」と危ぶむ。

※ 教員免許更新制
 免許の有効期限を10年間とし、更新には30時間の講習受講が来年度から義務づけられる。講習は教育政策などの最新事情を学ぶ「必修」を12時間以上、各教科の指導法などを学ぶ「選択」を18時間以上受講。開講者が行う試験に合格すれば、都道府県教育委員会に更新申請できる。受講対象者は、その年度か翌年度に35、45、55歳になる教員ら。


『東京新聞』(2008年10月5日【暮らし】)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2008100502000079.html

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