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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

国旗国歌強制是正を求めるILO・ユネスコ勧告をめぐって文科省交渉と都教委交渉

2020年11月15日 | 人権
 ◆ 「日の丸・君が代」ILO・ユネスコ勧告実施市民会議
   (通称「CCIU」)の活動報告
(『リベルテ 60号』)
弁護士 山本紘太郎

 国旗・国歌強制について、2019年春にILOとユネスコが日本政府に対して是正勧告(以下「勧告」という。)を行った。
 勧告実施の実現のため、CCIUは、今年3月1日に発足し、6月20日に発足集会の報告集を発行した。その後、本稿作成の10月30日までの主な活動を、簡略ではあるが報告する。
 1 7月21日(火)13時~14時37分 文科省交渉

 CCIUより、事前に2回の質問書を提出し、回答書を得た。7月21日の交渉は、前2回の回答を踏まえた3回目の質問書に対する回答を口頭で得て、さらに質疑応答を行ったものである。
 回答は、「勧告に法的拘束力はない」「勧告は我が国の実情や法制が十分に斟酌されていない」など、概ね予想通りの回答であった。
 和訳の作成、都教委など関係機関や国民への周知、教育現場の実態把握など、日本政府には勧告実施に向けた対応措置を講じる責任があるが、これを果たすつもりがないことは、より明らかになった。
 交渉終了後には記者会見の時間を設け、交渉の様子は東京新聞としんぶん赤旗で報道された。
 9月20日には文科省交渉についても報告集を発行したので、詳しい交渉内容は報告集をご覧頂きたい。
 そして、今回の文科省交渉までの活動については10月末、ILOとユネスコの合同委員会(セアート)にアイム’89東京教育労働者組合と合同でフォローアップ情報を送付する。
 セアートは、日本の法制度や最高裁判例を理解した上で、なお法制度や教育現場の実情が国際基準に達していないことについて是正勧告している。
 上記のような日本政府の態度は国際基準を無視するものであり、CCIUとアイムの報告を基に、国際機関から再び厳しい評価を受けることになると予想される。
 2 10月7日(水)17時~18時10分 都教委交渉

 共産党都議会議員のとや英津子先生にご尽力いただき、都教委担当部署の指導企画課長と質疑応答をする機会が設けられた。
 今回は、指導企画課長が、とや議員に対し、CCIUの質問及び要請に対する都教委の立場を説明し、これに市民(CCIU関係者及び記者1名)が立会い、追加の質問や要請を行う場となった。
 回答は、従前と同様、「見解を述べる立場にない」など当事者意識のない内容であった。悪い意味で会合の趣旨通り、新たな質問に対しても都教委は基本的に情報提供・要請として受け取るのみであり、実質的には無回答であった。
 しかし、今回、都教委担当課で権限のある者も表に出てくることがあると分かったことは有意義であった。実に17年ぶりとのことと聞いている。
 また、都教委は、勧告文を読んですらいない可能性があることが明らかになった。直接的には和訳すらしない文科省の問題とは思われるが、都教委の当事者意識の無さもまた明らかとなり、セアートへの報告材料を得たという意味では有意義であった。
 3 その他

 ビデオ会議システムを活用して月1~2回程度の会議を開き、活動準備や意見交換を行っている。
 7月には若い人やまだ関心のない人をターゲットに勧告の内容や意義を分かり易く説明するチラシを作成した。
 また10月12日には内閣総理大臣への日本学術会議会員任命拒否の撤回要望書を送付した。
 4 今後の活動

 今後も、文科省や都教委との交渉継続、自由権規約委員会や普遍的定期審査(UPR)のレポート提出など活動を続ける。
 また啓発のため、ホームページの立ち上げや学習会の準備も進めている。
 もっとも活動を続けるにも人員的・財政的には厳しい状況が続いており、引き続き皆様の温かいご支援を頂ければ幸いである。
『リベルテ 60号』(2020年11月6日)


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