◆ 「オリ・パラ観戦への子どもたちの動員止めよう」と教育委員はなぜ言わない!
「オリ・パラ観戦への子どもたちの動員止めよう」。今日の定例会でこの発言があるかが、私の一番の関心ごとであった。しかし、今日もなかった。
JOCの理事でもある山口香教育委員は、「個人的見解」と断ったうえで、五輪開催自体を止めるよう発言している。ならば、東京都の教育委員として、全都の子どもたちの安全を真っ先に考え発言し行動すべきではないか。
教育委員は「人格が高潔で、教育、学術及び文化…に関し識見を有するもの」とされる。識見を有する者の「個人的見解」を、職務の中で生かすことこそ、教育委員の職務であり責任ではないか。政権への加担を看過することはできない。
さて、今日の議題は
公開報告が①来年度の教科書採択に当たっての選定審議会の答申について ②昨年度下半期に寄せられた都民の声、
非公開報告が③「いじめ防止対策推進法」30条第1項及び第28条に基づく報告について。
はじめに③について。
「いじめ防止対策推進法」30条は「重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告しなければならない」であり、同28条は「学校の設置者又は学校は…学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする」というもの。
いじめによる重大事態が、またも発生したということだ。
①来年度の教科書採択に当たっての選定審議会の答申について
今夏の小中学校教科書採択についての基本は次の3点。ウについては、「採択替えを行うことも可能」と文科省が各都道府県教委に通知したことによる。
ア.小中学校の教科書は、採択から4年間は同一の教科書を使うことになっていて、小学校は一昨年、中学校は昨年採択したので、原則、今年は採択しない。
イ.来年度開校となる立川国際中等教育学校附属小学校で使用する教科書の採択
ウ.中学校社会科歴史的分野の教科書は、自由社が1年遅れで検定に合格したことから、採択替え(再採決)を行うことも可能。
選定審議会の答申「調査研究資料」のうち、小学校、特別支援学校用教科書調査研究資料については割愛し、今年の採択の焦点となる中学校社会科歴史的分野について、以下述べる。
自由社歴史的分野についての調査研究資料は、昨年度までの歴史的分野と同様に、
「時代区分別のページ数、割合」
「取り上げられている歴史上の人物とその数」
「東京に関する歴史的事象を取り上げている箇所数」
などの一覧のほかに、
「領土をめぐる問題の扱い」
「国旗・国歌」
「神話や伝承」
「北朝鮮による拉致問題」
「オリンピック・パラリンピック」
等についての記述を調査している。都教委の基本方針に沿ってのこと。
「国旗・国歌」では、「明治国家を背負った伊藤博文 感銘を与えた『日の丸演説』国旗日の丸を指し『あの赤い丸は今まさに昇ろうとする太陽を象徴し、日本が欧米文明のただ中に向かって躍進する印であります』と述べ、大きな拍手を浴びました。『日の丸演説』と言われています。(P197)」等と、
「神話や伝承」では、「以上のほか、日本には皇紀があります。日本書紀に書かれた初代・神武天皇が即位したとされる伝説上の年を元年とする年の数え方で、皇紀元年は西暦紀元前660年にあたります。(P10)」等
というように教科書の記述を紹介する。
こうした記述を読めば、自由社版がいかに偏った内容であるかがわかる。
昨年度まで都立中学校・中等教育学校及び特別支援学校が使っていた歴史教科書は、育鵬社版。特別支援学校は一時、自由社版を使っていた時期もある。
自由社と育鵬社は内紛で別会社になったが、もともとは扶桑社で、従来の歴史教科書は日本を貶める「自虐史観」だと主張してきた人たちが作った教科書であり、どちらも子どもたちに渡してはならない。
今年度、都立中学校・中等教育学校が使用している教科書は、「新しい歴史教科書をつくる会」系が嫌う「いわゆる従軍慰安婦」を記述する山川出版であり、肢体不自由・病弱特別支援学校は東京書籍である。
都立中学校等がやっとのこと、育鵬社、自由社教科書を使わなくなったのだった。
すでに横浜市教委は、社会科歴史的分野について、採択替え(再採決)をすると決定した。都教委は7月後半の定例会で教科書採択を議案にする予定にしているから、そこで採択替えを行うかどうかも決めるのだろう。注視していきたい。
②昨年度下半期(10~3月)に寄せられた都民の声
寄せられた都民の声は5440件。
そのうち、性質別では「苦情」が73,9%、「要望」が17,2%、
分野別では「生徒指導」が44,9%、「健康管理」が16,3%。
「苦情」は「新型コロナ感染防止のため、電車内での会話は控えめにするのが当然なのに、高校生とは思えない騒ぎ方をしている」など。
「健康管理」のほとんどは新型コロナ感染症に関するもの。
こうしたことについては都教委はすぐに対応し、対応を報告する。
しかし、「日の丸・君が代」等については、依然として聞く耳を持たない。
『レイバーネット日本』(2021-06-11)
http://www.labornetjp.org/news/2021/0610nezu
「オリ・パラ観戦への子どもたちの動員止めよう」。今日の定例会でこの発言があるかが、私の一番の関心ごとであった。しかし、今日もなかった。
JOCの理事でもある山口香教育委員は、「個人的見解」と断ったうえで、五輪開催自体を止めるよう発言している。ならば、東京都の教育委員として、全都の子どもたちの安全を真っ先に考え発言し行動すべきではないか。
教育委員は「人格が高潔で、教育、学術及び文化…に関し識見を有するもの」とされる。識見を有する者の「個人的見解」を、職務の中で生かすことこそ、教育委員の職務であり責任ではないか。政権への加担を看過することはできない。
さて、今日の議題は
公開報告が①来年度の教科書採択に当たっての選定審議会の答申について ②昨年度下半期に寄せられた都民の声、
非公開報告が③「いじめ防止対策推進法」30条第1項及び第28条に基づく報告について。
はじめに③について。
「いじめ防止対策推進法」30条は「重大事態が発生した旨を、当該地方公共団体の長に報告しなければならない」であり、同28条は「学校の設置者又は学校は…学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする」というもの。
いじめによる重大事態が、またも発生したということだ。
①来年度の教科書採択に当たっての選定審議会の答申について
今夏の小中学校教科書採択についての基本は次の3点。ウについては、「採択替えを行うことも可能」と文科省が各都道府県教委に通知したことによる。
ア.小中学校の教科書は、採択から4年間は同一の教科書を使うことになっていて、小学校は一昨年、中学校は昨年採択したので、原則、今年は採択しない。
イ.来年度開校となる立川国際中等教育学校附属小学校で使用する教科書の採択
ウ.中学校社会科歴史的分野の教科書は、自由社が1年遅れで検定に合格したことから、採択替え(再採決)を行うことも可能。
選定審議会の答申「調査研究資料」のうち、小学校、特別支援学校用教科書調査研究資料については割愛し、今年の採択の焦点となる中学校社会科歴史的分野について、以下述べる。
自由社歴史的分野についての調査研究資料は、昨年度までの歴史的分野と同様に、
「時代区分別のページ数、割合」
「取り上げられている歴史上の人物とその数」
「東京に関する歴史的事象を取り上げている箇所数」
などの一覧のほかに、
「領土をめぐる問題の扱い」
「国旗・国歌」
「神話や伝承」
「北朝鮮による拉致問題」
「オリンピック・パラリンピック」
等についての記述を調査している。都教委の基本方針に沿ってのこと。
「国旗・国歌」では、「明治国家を背負った伊藤博文 感銘を与えた『日の丸演説』国旗日の丸を指し『あの赤い丸は今まさに昇ろうとする太陽を象徴し、日本が欧米文明のただ中に向かって躍進する印であります』と述べ、大きな拍手を浴びました。『日の丸演説』と言われています。(P197)」等と、
「神話や伝承」では、「以上のほか、日本には皇紀があります。日本書紀に書かれた初代・神武天皇が即位したとされる伝説上の年を元年とする年の数え方で、皇紀元年は西暦紀元前660年にあたります。(P10)」等
というように教科書の記述を紹介する。
こうした記述を読めば、自由社版がいかに偏った内容であるかがわかる。
昨年度まで都立中学校・中等教育学校及び特別支援学校が使っていた歴史教科書は、育鵬社版。特別支援学校は一時、自由社版を使っていた時期もある。
自由社と育鵬社は内紛で別会社になったが、もともとは扶桑社で、従来の歴史教科書は日本を貶める「自虐史観」だと主張してきた人たちが作った教科書であり、どちらも子どもたちに渡してはならない。
今年度、都立中学校・中等教育学校が使用している教科書は、「新しい歴史教科書をつくる会」系が嫌う「いわゆる従軍慰安婦」を記述する山川出版であり、肢体不自由・病弱特別支援学校は東京書籍である。
都立中学校等がやっとのこと、育鵬社、自由社教科書を使わなくなったのだった。
すでに横浜市教委は、社会科歴史的分野について、採択替え(再採決)をすると決定した。都教委は7月後半の定例会で教科書採択を議案にする予定にしているから、そこで採択替えを行うかどうかも決めるのだろう。注視していきたい。
②昨年度下半期(10~3月)に寄せられた都民の声
寄せられた都民の声は5440件。
そのうち、性質別では「苦情」が73,9%、「要望」が17,2%、
分野別では「生徒指導」が44,9%、「健康管理」が16,3%。
「苦情」は「新型コロナ感染防止のため、電車内での会話は控えめにするのが当然なのに、高校生とは思えない騒ぎ方をしている」など。
「健康管理」のほとんどは新型コロナ感染症に関するもの。
こうしたことについては都教委はすぐに対応し、対応を報告する。
しかし、「日の丸・君が代」等については、依然として聞く耳を持たない。
『レイバーネット日本』(2021-06-11)
http://www.labornetjp.org/news/2021/0610nezu
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